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ある在宅ワーカーのつぶやき

みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

年度末、年度初めで忙しかった方も、そこまででもなかった方も、お疲れさまでした。私も今日ようやく前年度の仕事が終わりました。

それで、これからようやく閑散期に入るんですけど、現在ほぼ灰ですし、しばらく手をつけられなかった家事やらもあるし、繁忙期中に試したできるときに更新する方針で(現実逃避のため)意外と更新できていたので、これからもしばらく毎日更新ではなく、できるときに更新という方針でいきたいと思います。

目標が下がったなと感じられた方もおられると思いますけど、アラフィフになって頑張りが継続できません……。御理解のほどよろしくお願いいたします。

 

ところで、冒頭書きましたように私はつい今朝方まで年度末の繁忙期中で、主に地方議会の予算審議の関係の仕事をしていたんですけど、その中でちょっと思ったことがあったので、今日はそのことについて書いておきたいと思います。

 

議会で予算を認めていただくために、市町村の職員さんは時には1時間を超えるような詳細な説明をするんですが、それにはもちろん原稿があります。そして、お客様によってはそれを私もデータとして頂けることがあって、その原稿を見ながら入力したりするんですけど、もちろん文字起こしのように厳密な表記のルールがあるわけでなくてそれぞれ自由な体裁で作られているわけですが、その中で、表記の仕方によって明らかに読み上げミスが多くなるものがあります。それは、数字です。

 

というのが、自治体の予算は数億円、数十億円、数百億円などの数字がばんばん出てくるのでありまして、そんなに慣れ親しんでいない桁であるため、書き方によっては一瞬見ただけでは金額が分からないことがあるのです。例えば、12003154289円という数字があったとしましょう。これ、ぱっと見てすぐ読み上げられる方はいらっしゃいますでしょうか。

 

カンマを入れると12,003,154,289円で少し分かりやすくなるかもしれませんが、このカンマというのは、英語圏などのルールの3桁ごとで区切っているものですから、日本のように億や万の4桁ごとの区切りとは違うため、カンマがあってもやはりちょっと戸惑いがあると思います。

しかも、これをさらに1,000円単位で丸めて12,003,154千円なんて書かれることもありまして……!! 読めるか!!!(逆ギレ)

 

読み上げる方が一瞬止まっていることもあります。私も原稿がPDFだったときには、少し止まって考えます。(時間短縮のため、ワードなどのテキストデータで来たときには、カンマを入れるのを応用して原稿に置換をかけます)

時間はかかりますが、これ、ちゃんと止まって考えないと、読み上げを間違っていることがあるのです。特に上記例のように途中にゼロが並んだ上に億と万の間をまたがっていた日には、かなりの高確率で読み上げ間違いが生じているような感じがします。

もちろん私たち反訳者はそういう間違いに突っ込みを入れないといけませんから、きっちり確認しておく必要があるわけです。

 

これを考えると、用字用例辞典の横書きのルールの単位字(兆、億、万)と数字の併用は何と分かりやすいんだろうと思います。上記数字を用字用例辞典的に書いてみますと、120億315万4,289円です。止まることも読み間違うこともまずないですよね。

間違いは人間だからどうしても生じるし、訂正すればいい話なんですけど、間違いが起こらないにこしたことはありませんし、その間違いをできるだけ減らすように工夫することはできます。予算の表は全部数字でいいんですけど、桁の多い数字の単位字なしのそのままの転記は読み上げ原稿には向いていない、そう強く実感した年度末でありました。

 

読み上げ原稿を作る方は多分部下の方だと思うんですけど、読み上げ原稿を作る側の皆さん、原稿の数字には兆や億、万を入れると読みやすくて読み上げる方にちょっぴり喜ばれるかもしれません。手間はかかりますが、置換でいけますので、ぜひ試してみてください。

前回の記事に引き続き、記号についてです。

用字用例辞典冒頭の「表記の基準」の最後にある「Ⅷ 区切り符号等の使い方」における記述が変わっていたので、一応記載しておきます。

具体的には、旧版では、「横書きで「…から…まで」の意味を示す場合に使う」だったのが、新訂では「「…から…まで」の意味を示す場合で、「から」と発言されたときに使う」になっていました。

 
つまり、旧版では、「…から…まで」の意味で「から」の発言がなかったとき、具体的には「1月から3月まで」の意味で「1、3月」と発言されたものを、旧版では横書きに限って「1~3月」と表記していたものが、新版では「1-3月」という表記になり、新版で「1~3月」と表記するのは実際に「1月から3月」と発言された場合ということになります。多分。
 
ええ、多分です。細か過ぎて頭がこんがらがってきまして、ちょっと自信がないです……。
漢字の使い分けのみならず、記号までこんなに細かく変わってしまって、本当速記協会は私たちをどうしたいのかと聞きたいです。

タイトルを見ただけでは意味が分からないと思いますが、これは、用字用例辞典冒頭の「表記の基準」の最後にある「Ⅷ 区切り符号等の使い方」に記載されているものです。つまり、記号の使い方が今回変わりました。

 

「―」は「1字ダッシュ」、「-」は「全角マイナス」と用字用例辞典には読みが記載されています。それぞれの記載は旧版と新訂それぞれにしかなく、旧版で「―」の表記だったものが新訂で「-」にそっくりそのまま変更になりました。

どういうものに用いるかというと、用字用例辞典の記載をそのまま引用しますと、「期間・区間・数量等について「…から…まで」の意味を表す場合、郵便番号の枝番を示す場合、丁目番地の略記等に使う」とあります。あと、数字の書き方のところに記載があるのですが、電話番号の区切りにも用いるようです。ただし、道路名の場合は用いません。

 

ただし、「-」は縦書きにしてもそのままの表示で、ワードの「縦中横」の機能を使ってもなぜか横向きのままです。では縦書きのときはどうすればいいのかと用字用例辞典の縦書き数字の部分を見ると、そこは「―」のままになっていました。また、国会議事録でも、「COVID-19」は「COVID―19」になっています。(※縦書き数字の表記の例外で、この「19」は漢数字でなくアラビア数字の半角を用い、ワードでは「縦中横」の機能を用いて縦書きにします)
用字用例辞典に記載はありませんが、縦書きのときは引き続き「―」でよいのかもしれません。今現在、「COVID-19」によってめちゃくちゃ「-」の出現頻度が上がっていますので、縦書きの仕事に当たったときにはそれぞれの会社に御確認ください。

旧ルールでこの言葉に触れたときはさらっと流していたんですけど、内心では「何でこんなの使い分けが必要なの??」と絶叫していました。ちなみに、「一つずつ」は「順に」のときで「1つずつ」は「1個ずつ」のときでした。

 

そんな細か過ぎて多分見ている人にはほとんど伝わらないであろう使い分けの一つでありましたこの言葉は、このたびの改訂で項目としては消え去っていまして、速記協会の新旧対照表にもなく、悪いことにいつも参考にしている国会議事録は縦書き仕様(※インターネット検索は一見横書きですが、PDFを見ていただくと分かるのですが本来縦書きです)のため、参考にならずしばらく困っていたところ、しばらくしてから「ずつ」の項目にしれっと用例として記載されているのを発見しました。

 

前も何かの記事で書いたと思うんですけど、表記ルールを変更したのにしれっと項目だけ消し去るのはどうにかしてくれないですかね……。いや、使い分けが簡単になるのは大歓迎なんですが。

というかそれ以前に、用例は「1つずつ」のみさらっと書いてありますので「一つずつ」との使い分けはしなくなったと判断したんですけど、それでいいんですよね……?

 

去年新訂用字用例辞典を初めてじっくり見て度肝を抜かれてからもう1年が過ぎたんですが、表記の変更に慣れることはなくむしろ困ることが増えているような気がします。本当にこれに慣れる日がやってくるのか、不安しかない私でありました。

前の記事に引き続き、新訂の表記変更と関係ないものです。

「ひも」も「解く」も前のルールのままです。

 

……と書くと、「あれ、「解く」は漢字なのに「ひもとく」は平仮名なのか」と思われた方もいらっしゃるでしょう。私もそうです。

なぜこうなっているかというと、辞書を見てみますと、この「ひもとく」は、日本語としては二つ漢字の表記の仕方があります。上の誤解の一因となるであろう「ひも」と「解く」を足したものである「紐解く」と、「繙く」です。

 

なげうつ」「ちりばめる」がそうでありますように、用字用例辞典のルールでは、このような複数の表記方法がある場合、1文字で書けるほう、難しい漢字のほうを優先して平仮名表記になるパターンが多かったように思います。

 

と何とか隠れたルールを読み取ろうとしたんですが、「手のひら」は違いますね……。やはり地道に覚えるしかないようです。