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横浜トリエンナーレ2024 家にほしくなった絵

またまた話はさかのぼりますが5月4日、横浜美術館で

『横浜トリエンナーレ2024』を鑑賞いたしました。

巨大バッタの出た2001年には行きましたが、その後は行っていませんでした。今回は中国の作家魯迅の作品、思想がモチーフと聞いたので

見たいと思ったのです。

 

今回の展示の中で「家にほしい」と思ったのはリタ・ジークフリートの作品。

居心地のよさそうな室内から見た雪景色。でも大きな葉のついた枝がちょっと不思議。観葉植物? 題はツィマーリンデ。地名?

 

これは『突破口』という題。一緒に行った友人も眼をみはっていました。

 

今回見た中で一番好きなのはこの『隣の家』。ジークフリートはスイスの人。

ただなんとなくこの庭の踏み石の並び、家の作りなど日本の家みたいな

気がするのですが…スイスにもこういう庭はあるのでしょうか?

『隣の家』とはこの手前の犬が座っている家なのか? 木立の向こうに見える

窓の家なのか…私はなぜだかわからないけど、子供のころ、こんな光景を

見たような気がします。

 

 

他に家にあってもいいなと思うのが児島善三郎の『薔薇』

 

川西英の『画家の庭』も好きです。

『画家の庭』の説明はこちら

 

一緒に行った友人が熱心に見ていたのがオズギュル・カーの『ヴァイオリンを弾く死人』動画です。

家にほしくないけど(笑)迫力の作品です。

 

これも家にほしいというものではないけれど、見ていて心地よかったのが

フランスのエリーズ・キャロン&ファニー・ドゥヴォーのシーツを中心に布を使った作品。

 

魯迅がモチーフとあって中国の版画の展示が充実していました。

 

日中の版画交流のキーパーソン、李平凡の『華僑小学生』

ガラス越しだからよく撮れてないけど魯迅が中国に紹介したドイツの版画家

ケーテ・コルビッツの作品。

写真撮影禁止だったのですが、魯迅に影響を受けた日本の画家

富山妙子の作品展もすてきでした。この画家については

いずれ本を探して読んでみようと思います。

 

グレース・ド・モナコ、グエン・ロビンズ共著 『モナコ公国グレース公妃の花の本』

木幡和枝訳 1982年4月中央公論社
表紙の写真はこちら
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A2%E3%83%8A%E3%82%B3%E5%85%AC%E5%9B%BD%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%85%AC%E5%A6%83%E3%81%AE%E8%8A%B1%E3%81%AE%E6%9C%AC-1982%E5%B9%B4-%E3%82%B0%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%BA/dp/B000J7PQQW/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8
 
この本が出た年の9月、主著者モナコのグレース公妃は交通事故で亡くなりました。よりによって運転中に脳の病気が起きるなんて、前半生にハリウッドでアカデミー賞に輝き、高貴な身分の人と結ばれて~妃と呼ばれる位につくどちらか一つでも大変なのを一人で両方という栄華を極めた反動?で悲運に見舞われたのかなと思いました。この本を買ったのはその訃報の前か後か、記憶が定かではありません。4,800円とまだ社会人ではなかった私には高価で公妃のファンでもなかったのになぜこの本を入手したのか?それも不思議です(笑)。父が女優時代の公妃をわりと好きだったらしいので、ああいう女性になることを期待して買ってくれたのかもしれません

なぜこの本を久しぶりにひっぱりだしたかと申しますと先月のブログでも書きましたがこの春は例年よりもスズランの花を見る機会にめぐまれたからです。このブログの写真は4月25日に用事があって行った神田へ行った時、書店街に近いあるマンションの植え込みで咲いていたものです。数年前、
神田で働いていたころに見つけていたスズラン、あれからオリンピックやら
いろいろありましたが、今も同じ場所で咲き続けてくれていてラッキー。

グレース公妃もスズランを愛し、この本の第16章にレーニエ大公との結婚式のブーケにドイツスズランを選んだと書き、その時の写真も載っています。
ドイツスズランですから上記の写真のものより花も草丈も大きいようですが、
写真でみるとバラなど他の花も入れず、スズランだけなので細かな花が点々としている感じでウェディングブーケにしてはやや寂しい感じもします。
スズランはてっぺんまで咲いてしまうと最初に開いた下の花はしぼみかけて
しまうものですから、もしかすると生花ではなく造花なのかなという気もするのですが、モノクロの写真なので定かにはわかりません。
第1章の初めに上質のコットンのように見える白いレース風の生地に可憐な花柄を散らしたドレスの公妃の写真と共にある言葉。
 
 花と、生活の一部となって融け込んできた花の楽しさについて書いてみました。専門家による専門家のための本ではなく、むしろ、この本を通して花が与えてくれる歓びと満足をみなさまにお届けできれば。というのが私の願いです。
 
花の伝説、美術、文学、バレエや音楽、アートフラワーや貝細工の花、織物刺繍、陶器などさまざまな分野に登場する花について豊富な図版と共に解説しています。ポプリと香料、食べ物と飲み物まで…思えば、ローズマリーという植物を初めて知ったのはこの本の「薬草」の章です。ローズマリーの現物を見たのはそれよりずいぶん後だったように思います。この章によれば「頭から悪魔を追い出すには一本のマリーゴールドがあればよい」「マリーゴールドの花弁を煎じた液ですすぐのも、髪を清潔につややかにします」とのこと。マリーゴールドが庭にいっぱい生えているという方は試してもいいのではないでしょうか。
 
とくに眼の不自由な人びとのために設計された「香りの庭園」についての
章にはスイセン、ジャスミン、ライラック、ジンチョウゲ、ユリ、タイサンボクなどが紹介されています。
 
「バラ」の章はシートン卿夫人がグレース公妃の庭を訪ねて来た時の
「あら、私の庭には妃殿下がいらっしゃるのにこちらの庭には私がおりませんわ」という言葉で始まります。つまり公妃の名をつけたピンクのバラ「グレース・ド・モナコ」がシートン卿夫人の庭にあるのに、「レディー・シートン」という名のバラがモナコの宮殿にないということ。セレブの方々の間でのみ成立する会話ですね。このグレース・ド・モナコの写真は第1章に載っています。私は後年鎌倉文学館のバラ園でこの現物も見ました。 ちなみに上の写真はやはり神田のビルの前に咲いていた短く仕立てられたバラですがグレース・ド・モナコではありません。念のため(笑)。
 
もしかするとハリウッドの映画より情熱を注いだではないかと思われる公妃の
押し花画やその制作中の写真も掲載されています。公妃は押し花の良い材料が見つかることを期待して、いつも小さな折りたたみの持って出かけたのだとか。
 
今回、拾い再読?をして気づいたのですが、「詩」の章に日本でマンガの
題になったエミリー・ディキンソンの詩もシェークスピアやワーズワースと共に紹介されています。この本によればシェークスピアにはスミレが18回、マリーゴールドが5回登場するとか。どちらも日本でもよく見かける花ですがそう聞くとなんだかありがたいような…。公妃は「学校に行っている頃からシェークスピアのソネットが大好きで、旅行に行くときには必ず1冊持つように心がけています」とのこと。また「ポプリと香料」の章の最後では「これまでに出会ったなかで顔の色艶が一番美しいと思った女性は、もう80歳もかなり越された
ベイトマン卿夫人です」とあります。毎年冬をモンテカルロで過ごすベイトマン
卿夫人の秘訣は毎日顔の手入れにバラ水を使うこと。バラ水っていわゆる
ローズウォーターとして売られているものでいいのでしょうか? 赤いバラの花びらが手に入るなら自宅で作るレシピも書かれていますが、ともあれ
スキンケアはシンプルなのがいいってことですね。
 
「私の好きな庭」の章ではモナコの観光名所として知られる異国風庭園(サボテン公園)を紹介。人の背丈よりも大きいにょきにょきしたサボテンが林立する中を楽し気に散策したり、日本の100円ショップにもありそうな小さなサボテンがずらりと並んでいるのを身をかがめて眺める公妃の写真があります。
夫君の曽祖父アルベール1世がサボテンをコレクションし始めたとのこと。
 
日本の文化と日本人に好感を持ち、日本の読者のために特別に前文を
書き加えてくださったグレース公妃。もしももう少し長く生きられたら
日本の70年代にサボテンが巨大化して暴れるお話が作られたことを
この本の改訂版に書いてくださったでしょうか?(『ウルトラマンA』第12話)
 
巻末に索引もありますから、花のブログを書く時などに引用
しても面白いかもしれません。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

東京藝術大学大学美術館『大吉原展』ついでに上野駅中央改札前の桜?

チケットが2000円しますから迷ったのですが、東京藝術大学大学美術館の
 『大吉原展』に行ってしまいました。

 

通信制大学の卒論が吉原を舞台にした歌舞伎だったのです。だから遊廓や遊女についてはずいぶん本を読みました。

ちなみに次の3枚の写真は春に上野駅中央改札前に飾られていた桜と動物たち。この展覧会も3月下旬から開催されていたのですから、3月には桜が植えられた吉原にちなんで花見のついでに観た方が気分があがったのかもしれません。

SNS上で話題になったこともあって混雑しておりました。展示番号にとらわれず展示物の前に人がいないところ、少ないところから見ていく感じ。絵草紙など小さいものはあまりに人だかりがしているから断念したものもあります。

https://daiyoshiwara2024.jp/

最初の方で「家にほしい?」と思ったのは鍬形蕙斎画大田南畝賛の掛け軸『遊女と侍図』。遊女の着物に描かれた藤の花、全体にほっこりした感じがすてきです。写真撮影は最後のコーナーの遊廓模型以外は禁止でした。この作品を所蔵しているところに一部だけ画像が出ています。そのうち鍬形蕙斎(北尾政美)や大田南畝についての本で探してみましょう。
https://tekisuiken-collection.com/event/%e6%b2%a1%e5%be%8c200%e5%b9%b4-%e6%b1%9f%e6%88%b8%e3%81%ae%e7%9f%a5%e3%81%ae%e5%b7%a8%e6%98%9f%e3%83%bb%e5%a4%aa%e7%94%b0%e5%8d%97%e7%95%9d%e3%81%ae%e4%b8%96%e7%95%8c/

 

浮世絵などは今まで他の展覧会で見たことがあるものもありました。
喜多川歌麿の『青楼十二時』シリーズも書籍などでゆっくり見たいです。

着物の柄の描き方が繊細で見入ってしまったのが菱川師胤筆 『中村竹三郎・三浦屋小紫図』。

来年の大河ドラマの主人公だからか蔦屋重三郎の『吉原細見』などの出版関係の展示が充実していました。

正月の遊女の装いを描いた菊川英山の『花魁図』。打掛の柄は朝日に烏(カラス)。黒くて嫌われ者?のカラスを着物の柄、それも縁起のよい柄としていたなんて初めて知りました。

 

千葉市美術館サイト
https://www.ccma-net.jp/collection/works/3585/

第3会場の花魁の教養のコーナーの渓斎英泉『見立よしはら五十三つゐ佐野松屋内桂木』は
たくさんの書物に囲まれた遊女。しかも机の上に広げられているのは漢文の本。紫式部並みの博学? 下記サイトでごらんになれます。
https://ld.cultural.jp/snorql/?describe=https://jpsearch.go.jp/data/arc_nishikie-RV_360_4553

浮世絵や歌舞伎の展覧会などでは見られない下級の遊女がいた切見世、旧幕時代制度が廃止された後の吉原の近代、自分たちの立場に異を唱えた遊女白縫などの展示はとても有意義と思います。

 

吉原はまちがいなく江戸時代までの日本の文化の魅力の泉。ですが表面は華やかできらきらしていても吉原に生きた女性たちが幸せでなかったことは確か。利用者?だった男性もお金で得られる幸せの限界を感じることもあったでしょう。歌舞伎で遊女にふりまわされる意休や佐野次郎左衛門のように。

吉原の女性たちの苦しみは今も過去のものではないと思います。自分に関していえば…ずっと独身でいるのは何かの主義とか信念とかではありません。人並みに誰かを好きにもなりました…が相手は同じ思いにならず、数は多くはありませんが関心を示してくれた男性もいましたがこちらが関心がもてなかったり、相手の親から攻撃されたりという歳月の積み重ねに過ぎません。

「なぜ結婚しないの?」と尋ねる人に上記の答えを言うと人によっては
「それならどうしてそれを何とかしようとしなかったの?」と責めます。
大枚をはたいて紹介組織に登録するとか…おしゃれに関心が低いのが原因だろうから「ファッション雑誌を読んでかわいいと言われている女性を徹底してまねしなさい」と言われたこともあります。

そういう人に出会う度に昔の遊女が楼主ややり手に「お茶ひいてないで客を取れ」といわれた時はこんな気分だったのかなと思うのです。誤解がないように書いておきますが男女ともに婚活されている方々を悪くいうつもりはなく、
ただ男女ともに気が進まないことはしなくても生きていけるようであってほしいだけです。
 

現代もある吉原?問題は女性だけに起きるわけではないことは最近注目された大手芸能事務所の騒動でもわかります。

話を展覧会に戻しますと最後の模型と人形は写真撮影OKだったので

裏側の人気のないところまで撮ってしまいました。これから時代物の

小説の本レビューを書く時に使えそうです。

 

 





 

上野東照宮ぼたん祭り2024 スズランを立てればボタンがたたず?

恐縮ですがまたまた話はさかのぼりますが、4月18日木曜日、自治会の用事で早退するので、ついでに?上野東照宮ぼたん祭りを鑑賞しました。

 

今年一番の収穫?はこのぼたん苑のスズランの盛りを見られたこと。昨年も

一昨年も訪れた時にはもうスズランは終わっていましたので、今年はがんばって会期の早いうちに訪れてみました。

ちなみにここの見学コースの前半?にも一叢のスズランがあるのですが、

そちらはもう花がしぼんでいました。ここもこの日が満開。土曜まで延ばしたらアウトだったかも。まだよくみるとつぼみもあります。

先日書きました上野両大師のものに比べると手入れがいいのか、花が

沢山です。また石垣?の上に植えられていてとても写真がとりやすいので

ぜひスズランの花期に訪れたかったのです。

 

ここのぼたん祭りは端午の節句の飾りもすてき。

 

今年初めて見たボタンの品種で印象的だったのは『深夜の星』。いくらか

黒味?を帯びた深い深い赤。

ピンク系で昨年もたくさん見た『八千代椿』

そして『明日香』

 

これは今年初めて見る『向原』(むこうばら)という品種。少しオレンジ?がかったピンク。この品種を今年は沢山見かけました。

 

大河ドラマコラボでしょうか? 少し小さめの花の『紫の上』

 

続けて紫系ピンクの『紫紅殿』

 

似た名前だけど『紫雲殿』

藤色系かな。『鎌田藤』

 

今年はスズランに的をしぼったせいか、ボタンが今一つ…早咲きと遅咲きの

端境期にあたってしまったようです。花が終わっているのとまだ咲いていない

のが目立ちました。

 

黄色系でよい写真が撮れたのはここでは『金閣』だけでした。少し小さめの

花でフランス品種だそうです。

 

白色系?では白に近いごくごく淡いピンクの『貴夫人』

純白で写真が撮れたのは『連鶴』だけ。しかも下向いてます。

 

ボタン以外で見事だったのは『ネモフィラ』。『瑠璃唐草』という雅やかな

和名なのですね。

モッコウバラもきれいでした。

そしてシャクナゲ

やはり時期が早いのか、4月下旬からが見ごろというシャクヤクが

見られませんでした。GW中に再訪すればいいのでしょうが、そこまでの

元気は出ませんでした(笑)。

 

 

 

 

4月の記録 花祭りの両大師

話はさかのぼりますが4月8日、上野両大師へいきましたらたまたま花祭りでした。一か月以上前?
 

 

ここにしかない御車返しの桜も満開でした。

 

 

幸田露伴旧宅の門をくぐった輪王殿からの眺め。山門前のヤエベニシダレ

はまだちょっと早め?

ヤエベニシダレの花はかんざしにしたい感じ。ただ少し去年よりピンクが淡い気がします?

 

山門脇の垣根際のハナカイドウも花盛りでした。

ちなみにハナカイドウは信州の墓のある寺にもありますが、4月12日に行った時はまだ咲いていませんでした。またこの日にここのスズランを下見したのですが、まだ芽が出たばかりって感じでした。

 

 

南夕子、あるいはナンシーの桜…アマギヨシノ、コマツオトメ

先日、天女アプラサの桜を勝手に考えましたので、南夕子の桜も選びたいと思います。

 

上野の科学博物館の敷地内にある2本のアマギヨシノ、4月4日の写真です。大きな樹で線路沿いの通りに枝をさしかけていますから博物館に入館しなくても楽しめます。


同じ純白の桜でも花が大きく、ソメイヨシノと同じく葉を展開する前に咲くアマギヨシノは家の近所のオオシマザクラよりもより南夕子の桜にふさわしいのではないかと…満開時には遠目にも白いドレスの美女のようです。
 

例年純白の花が黒い幹に映えるのを樹の下でめでていたのですが、今年はどういうものかピンク色の花があります。あるいは咲き始めか、散り際のどちらかがピンク色なのを私が今まで気づかなかっただけなのでしょうか?
 

ちなみに同じ日の写真ですが、つぼみばまだたくさんあるのに同じ枝で散ってしまっているものがあるのも気温が寒くなったり急に暖かくなったりした

せいでしょうか?

ちなみに南夕子の中国語読み,ピンインは nan xi zi 
カタカナで読みをメモしたりすると「カタカナで発音をおぼえちゃいけません」と叱られるのは中国語も英語も同じですが、あえてカタカナにしますと

南(ナン)夕(シー)子(ツ)となります。北斗星司のピンインはbei dou xing si,北(ペイ)斗(ドウ)星(シン)司(ス)です。星のよみは鼻にかかります。

もしも英語圏で『ウルトラマンA』がリメイクされると南夕子の英語名は
ナンシーになるのでしょうか。

 

他に…上野公園大噴水脇のコマツオトメも天女アプラサの桜でもいいかもしれません(笑)。4月3日の写真です。

コマツオトメもつぼみと同じかたまりに散りかけというか傷んでいる花が

ありますね。

 

ちなみにこれは同じ日、近くにあるソメイヨシノ。比べていただくと

コマツオトメの方がつぼみと花びらの縁のピンクが濃いのをわかって

いただけるかと思います。

コマツオトメは花が長く続くようで同時に咲き始めていた隣の吉野の山桜が
すっかり散った後も遠目にはピンク色でした。

 

5月の末には美川典子隊員のようにクールで凛とした美しさのアジサイが咲きはじめますね。

きれいだけどいくらかどぎつさもあるタチアオイは女ヤプール、秋に咲くダリアは水瓶座第3星人かしら(むりやり?)

4月の記録―本物?のうぐいすの声、上田城址公園の桜、赤松小三郎記念館

友人の車で墓地のある寺へ。この周辺でもクマが出没しているらしいので、

無理を言って付き添ってもらいました。除草剤をまいているおかげで

草はあまり生えていなかったけど杉落ち葉がたくさん。

 

でもおがんでいる時、うぐいすの声が…ほんもののホーホケキョ、

それもかなり歌唱力?のあるオス、この季節に来て本当によかったと

思いました。

 

その後、友人の案内で坂城町名物のねずみ大根のおしぼりうどんの昼食。

写真撮り忘れたけど美味でした。

 

おしぼりうどんについてはこちら

 

 

 

桜祭りが延長された上田城址公園へ。

堀に映える桜。

例年大手門のあたりで満足して帰ってしまうのですが、上田に住んでいたこともある友人の案内で奥まで歩きました。

この日はとても気温が高く、金魚すくいや風船釣りの店も出ていて

まるで夏祭り、浴衣を着たいくらいでした。

何よりの収穫は『朝敵と呼ばれようとも』という本を読んで以来、興味を持っていた赤松小三郎の記念館を見られたこと。

上田の偉人は真田親子だけではありません。もっと知られていい人物です。

 

赤松小三郎についてはこちら。

 


幕末に活躍した信州の知識人として知られる佐久間象山とも交流があった

とのこと。

何の因果か?象山も小三郎も京都で暗殺されています。信州人が

京都に行くと危ない?…私は知識人でも先覚者でもないから暗殺される心配はないかな。

 

赤松記念館近くで咲いていたのがおそらくは関東ではとっくに葉桜に

なっている河津桜。関東では順次に咲いていく梅や桜がいっせいに

咲くのは寒い土地ならでは。

 

 

友人お勧めの立礼カフェ百余亭へ。

薄茶と上生菓子のセット、税込み800円

お菓子もとてもおいしくて…近年にないみやびやかな時間でした。

 

 

友人と上田駅で別れ、みすず飴の飯島商店で友人たちにキンカン、三宝柑、

かりんのジャムなどを発送手配。自宅用にかりんジャムも買って帰りの

新幹線に乗りました。

 

車内での早めの夕食も三つのおやきでした。

 

今回の旅は赤松小三郎でお腹がいっぱい?(頭?)になったので

真田関連はお休み?駅で甲冑の写真だけ撮りました。

 

 

 

4月の記録―信州弾丸の旅、善光寺御朝事など

4月12日深夜のバスで恒例の信州墓参へ行きました。今回もホテルを使わない弾丸です。

 

仕事を終え、バスに乗る前にお茶の水駅近くのRakuスパ神田に立ち寄ります。勤め先からは近くないのですが、ここが一番安心して使えます。銭湯料金520円で入浴、食事、歯磨きまでできるのです。

 

レストランフロアの飾り棚がとてもおしゃれ。

メニューはハンバーグ、ピザ、パスタなどが中心…つまり風呂上りに一杯飲む人たち向け、バスで乗り物酔いをする可能性のある私が食べられそうなのは讃岐うどんだけ。でも思いがけず薄めの味つけが仕事の疲れた体にしっくりする気がしました。

 

新幹線よりバスの方が乗車料金は安いのですが、こうしてお風呂や夕食の

出費を総合するとどうなのかな?

ちなみに今回初めてアルピコ交通のバスに乗りましたが、これまで使った

ウィラートラベルに比べて座席の心地が今一つ。終点近くになってもバスの

照明がつかないのがちょっと不便・

 

せっかく早朝に着くので善光寺の「お朝事」を見学。

 

お朝事についてはこちら

善光寺サイト

 

 

お朝事の前に所定の場所で合掌してひざまずいていると、お導師様が

念仏を唱えながら数珠を頭にのせてくださいます。となりの団体さんの

一人の女性が「大きなお数珠なのね、わりと痛かったわ」と言っていました。

お朝事は前半30分が天台宗のお勤め、後半30分は浄土宗のお勤め。この

団体さんは前半に内陣に入っていたのできっと天台宗の集まりなのでしょうか。私は内陣には入らず、本堂の賽銭箱近くの畳に座らせていただきました。正直なところ、天台宗の部分は「南無阿弥陀仏」って言わないということ

ぐらいしか理解できないのですが、ひたすら読経に耳を傾けていると

とても気持ちが落ち着きました。

 

お朝事が終わった本堂からの眺め。

 

お朝事がおわったばかり、まだ朝8時前ですが、絵馬やお守りの販売所は

営業開始、牛さんの絵馬を買って母が遺した千羽鶴を奉納。世界で起きている戦乱が収まりますように。

ちなみに今回の発見?…スニーカーの空き箱が千羽鶴を入れるのに最適だということ。奉納後、ちぎって捨てられますし。

 

参道のおやきの店も営業しており、朝食は「山賊ねぎ焼き」のおやき。

お店の前のベンチに掛けて食べました。味は…この山賊さんと私は

好みがちがうみたい(笑)。

 

朝の参道を歩くのもとてもさわやか。

 

参道沿いの建物の前にあった祐天桜。

 

これは推定ですが八重紅枝垂れ、関東ではこの頃すでに散っていますが、

ここで再び楽しむことができました。朝の光を浴びる黒い石に映えています。

この後、友人と待ち合わせをして墓参に向かいました。



 

4月の記録―白い桜、父、デイサービスを拒否する

父をよく散歩させる公園の桜です。花が純白なのと花といっしょに葉も伸びる
ことからおそらくはオオシマザクラではないかなと思うのですが、
はっきりとは知りません。
​​​

花の白と若葉のコントラストがとてもさわやかで、母も生前喜んで見ていました。

 

勤め帰りにもこの樹の下へ行き、スマホを向けて視たら…思いがけず

みずみずしい感じに撮れました。

2021年に脳梗塞を患ってから続けてきたリハビリ専門のデイサービスを

父はひどくいやがるので止めることにしました。

デイサービスの朝になると「家の鍵をどっかにやっちゃったから行かれない」とかなんとかいう父を見ていると…私は、子供の頃学校に行くのが嫌だったのを思い出してしまうのです。

 

私がいやいやでもなんとか、いわゆる不登校にはならなかったように。

父も「行ってもよくならない」「意味がない」と思っても

何とか続けてほしかったのですが。

 

これまで通っていたところはもう3年になるのでやめてもいいけど、

代わりに母が亡くなる直前まで行っていた別の施設、有名な温泉地からの

湯でお風呂に入れてもらって昼食も出してくれるところに水曜か、

木曜あたりに行ってくれると私はずいぶん楽になるのですが。

 

先日、ケアマネさんも訪問してくれて説得してくれたのですが、

どこかに行くのはいやで、リハビリの人が家に来るのもいやだと

いいます。

 

その話しあいの時に父が言うには「母が死んだ時から自分も死んだも

同然で」「今まで思う通りになったこともないし、孫もないしこの先の

楽しみもない」…思う通りにならなかった一番のことはどうも

父が望んでいた電動車いすを手配しなかったことをうらみに

思っているようです。

 

父の夢?は電動車椅子が使えれば、自分一人で医者でも床屋でも

自分の好きな時に好きなところへ行けるような気がしているみたいなのですが…我が家が一階が商店街になっているタイプのマンションだったら

その商店街の中は動けるかもしれないけど、現在の家の周りは…

無理です。いちばん近いコンビニに行くにも傾斜があちこちにありますし。

 

医者や床屋までに坂も障害物もないところに住まわせてやれたら

一番いいのですがそれも非現実的。

 

プッチーニの『ジャンニ・スキッキ』の『私のお父さん』のメロディで

「パパ、お願い、デイサービスに行って、でないと千曲川に身を投げるから」と歌いたい私です。なぜ千曲川?遠いのに?筆者の身近にある隅田川、神田川、鶴見川、大岡川などにはあまり飛び込みたくないので(笑)。

 

『プリマス行急行列車』―『教会で死んだ男』(早川書房クリスティ文庫62)より

宇野 輝雄訳 2003年刊
表紙の写真はこちら

 

この棚の写真は4月12日夜、長野への深夜バスに乗る前に立ち寄ったらくスパ1010神田のレストランフロアのディスプレイです。今回の旅の友はこの本でした。

題名からわかる通り、英国風鉄道ミステリーです。プリマス行急行列車の一等客室に乗り込んできた海軍大尉はかすかなクロロホルムの匂いに気づきます。重い大きなスーツケースを座席の下に入れようとした彼が発見したのは女性の刺殺体!
座席の下に大人の死体がすっぽり隠せるなんて、この時代の英国の一等客車はゆったりしていたのですね。
 
被害者はルーパート・キャリントン卿夫人、独身時代の名はフロッシー・ハリディ。アメリカの鉄鋼王の娘。有り金をぜんぶはたいても犯人をつきとめようと望む被害者の父から依頼を受けたポワロ。
 
フロッシーがこの列車に乗ったのはエーボンミード・コートにある公爵夫人邸でのパーティに参加するため。彼女が携えていた十万ドル相当の宝石の装身具の入った青いモロッコ皮のケースがなくなっていました。
 
目的地へ行くには、ブリストルで乗り換えなくてはなりません。同じ列車の三等車で同行していたメイドのジェーン・メイスンが言うにはフロッシーは突然自分はブリストルでは降りずにこのまま乗っていく、手荷物だけはおろしてメイドには駅の食堂でお茶でも飲みつつ、自分を待つよう命じたとのこと。その時フロッシーの客室には男が一人いたが、顔はよく見えなかったと言います。
 
その男こそ、彼女にクロロホルムをかがせて刺殺し、宝石類を持ち去った犯人?…捜査陣はフロッシーと離婚調停中だった夫ルーパート・キャリントンに注目。~卿と呼ばれるにはふさわしくない競馬で財産をつぶした男。結婚後まもなく、自分が惹かれたのは、相手の女性じゃなくて、持参金のほうにだと暴露してしまったらしく、夫婦仲はたちまち冷えて…それでもこの時点では
被害者の遺産の相続権がありました。
 
被害者が結婚前に恋に落ちたが父に引き裂かれたロシュフール侯爵なる
男の手紙が被害者のハンドバッグに入っていました。彼もメイドが語る客室内の男の風体に似ています。フロッシーの離婚話を知って旧交をあたためようと考えていたのかも。
 
どうでもいいのですが、私も宝石類を青いモロッコ皮ではなくてビニール貼りのケースで保管しております。もともとはバルタン星人がぶら下げているペンダント(DVDのおまけ)が入っていたケースですが他の宝石も間借り?
しています。総額数万円相当のものしか入っていません(笑)。

捜査により被害者と見られる女性がウエストン駅で雑誌を2冊購入したことが判明。新聞売りの話では被害者は半クラウンというチップとしては高い金をくれて雑誌の1冊の表紙にブルーの服を着た女性の写真があるのを指さし、

こういうのが私にも似合うと言いました。この日被害者が着ていたのも

派手なブルーのウールのワンピースに白いレースのベールのついた

白ギツネの毛皮の縁なし帽。この人目をひくファッションが事件のカギと

なります。フロッシーはブルーが好きだったのですね。

離婚成立前に財産を手にいれようとする夫の犯行か…それとも昔の恋人との
もつれからか…ネタバレになりますからこれ以上は書けませんが、
真犯人は被害者もその父も思いもしない、ノーマークの存在…
 
真相から浮かび上がってくるのは鉄鋼王の娘に生まれ、今風にいうと
親ガチャに当たっているのに、父以外には誰からも心からかかわってもらえなかった被害者の人生。それがつらいとも思っていなかったのかも
知れません。
 
デビット・スーシェ主演のドラマでは原作では生きている姿は描かれない被害者が美しく驕慢なエピソードのヒロインとして登場。名前はフロレンスと呼ばれています。フロッシーはフロレンスの略称なのかしら? ドラマでは事件発生前から被害者の父はポワロに娘の男性関係について相談しています。
 
パーティでどれをつけるか決められないから宝石をケースごと持って行く、
離婚は成立していないのに昔の恋人に週末に乗る列車を教えて
見送りに来いと誘う…いかにもわがままいっぱいに育ったらしい被害者の気まますぎる性格、日本でいうところの身持ちの悪さ、そして30歳にもなる娘の自立を認めず、恋愛や結婚にも干渉する父の存在がこの残酷な犯罪を誘発したことがドラマでは描かれます。ただ原作とちがって彼女が関わった男の一人が財産にひかれていたのではないと語るのが救いです。
 
私事ながら…事件の舞台となった列車の終点プリマスを1991年のGWに
訪れました。ロンドンのパディントン駅からインターシティのスリーパーサービスを使ったのです。
 
朝、車掌さんが運んでくれた紅茶とクッキーを食べた後、歩き出したプリマスの街は明るく暖かく、当時若かったせいもあるけれど背負っていた重いリュックが苦にならないほど快適でした。ロンドンではまだダウンコートが必要なほど寒いのに、プリマスの海岸では若いお母さんと3歳ぐらいの男の子が水着姿で遊んでいました。