東京藝術大学大学美術館『大吉原展』ついでに上野駅中央改札前の桜? | 実以のブログ

東京藝術大学大学美術館『大吉原展』ついでに上野駅中央改札前の桜?

チケットが2000円しますから迷ったのですが、東京藝術大学大学美術館の
 『大吉原展』に行ってしまいました。

 

通信制大学の卒論が吉原を舞台にした歌舞伎だったのです。だから遊廓や遊女についてはずいぶん本を読みました。

ちなみに次の3枚の写真は春に上野駅中央改札前に飾られていた桜と動物たち。この展覧会も3月下旬から開催されていたのですから、3月には桜が植えられた吉原にちなんで花見のついでに観た方が気分があがったのかもしれません。

SNS上で話題になったこともあって混雑しておりました。展示番号にとらわれず展示物の前に人がいないところ、少ないところから見ていく感じ。絵草紙など小さいものはあまりに人だかりがしているから断念したものもあります。

https://daiyoshiwara2024.jp/

最初の方で「家にほしい?」と思ったのは鍬形蕙斎画大田南畝賛の掛け軸『遊女と侍図』。遊女の着物に描かれた藤の花、全体にほっこりした感じがすてきです。写真撮影は最後のコーナーの遊廓模型以外は禁止でした。この作品を所蔵しているところに一部だけ画像が出ています。そのうち鍬形蕙斎(北尾政美)や大田南畝についての本で探してみましょう。
https://tekisuiken-collection.com/event/%e6%b2%a1%e5%be%8c200%e5%b9%b4-%e6%b1%9f%e6%88%b8%e3%81%ae%e7%9f%a5%e3%81%ae%e5%b7%a8%e6%98%9f%e3%83%bb%e5%a4%aa%e7%94%b0%e5%8d%97%e7%95%9d%e3%81%ae%e4%b8%96%e7%95%8c/

 

浮世絵などは今まで他の展覧会で見たことがあるものもありました。
喜多川歌麿の『青楼十二時』シリーズも書籍などでゆっくり見たいです。

着物の柄の描き方が繊細で見入ってしまったのが菱川師胤筆 『中村竹三郎・三浦屋小紫図』。

来年の大河ドラマの主人公だからか蔦屋重三郎の『吉原細見』などの出版関係の展示が充実していました。

正月の遊女の装いを描いた菊川英山の『花魁図』。打掛の柄は朝日に烏(カラス)。黒くて嫌われ者?のカラスを着物の柄、それも縁起のよい柄としていたなんて初めて知りました。

 

千葉市美術館サイト
https://www.ccma-net.jp/collection/works/3585/

第3会場の花魁の教養のコーナーの渓斎英泉『見立よしはら五十三つゐ佐野松屋内桂木』は
たくさんの書物に囲まれた遊女。しかも机の上に広げられているのは漢文の本。紫式部並みの博学? 下記サイトでごらんになれます。
https://ld.cultural.jp/snorql/?describe=https://jpsearch.go.jp/data/arc_nishikie-RV_360_4553

浮世絵や歌舞伎の展覧会などでは見られない下級の遊女がいた切見世、旧幕時代制度が廃止された後の吉原の近代、自分たちの立場に異を唱えた遊女白縫などの展示はとても有意義と思います。

 

吉原はまちがいなく江戸時代までの日本の文化の魅力の泉。ですが表面は華やかできらきらしていても吉原に生きた女性たちが幸せでなかったことは確か。利用者?だった男性もお金で得られる幸せの限界を感じることもあったでしょう。歌舞伎で遊女にふりまわされる意休や佐野次郎左衛門のように。

吉原の女性たちの苦しみは今も過去のものではないと思います。自分に関していえば…ずっと独身でいるのは何かの主義とか信念とかではありません。人並みに誰かを好きにもなりました…が相手は同じ思いにならず、数は多くはありませんが関心を示してくれた男性もいましたがこちらが関心がもてなかったり、相手の親から攻撃されたりという歳月の積み重ねに過ぎません。

「なぜ結婚しないの?」と尋ねる人に上記の答えを言うと人によっては
「それならどうしてそれを何とかしようとしなかったの?」と責めます。
大枚をはたいて紹介組織に登録するとか…おしゃれに関心が低いのが原因だろうから「ファッション雑誌を読んでかわいいと言われている女性を徹底してまねしなさい」と言われたこともあります。

そういう人に出会う度に昔の遊女が楼主ややり手に「お茶ひいてないで客を取れ」といわれた時はこんな気分だったのかなと思うのです。誤解がないように書いておきますが男女ともに婚活されている方々を悪くいうつもりはなく、
ただ男女ともに気が進まないことはしなくても生きていけるようであってほしいだけです。
 

現代もある吉原?問題は女性だけに起きるわけではないことは最近注目された大手芸能事務所の騒動でもわかります。

話を展覧会に戻しますと最後の模型と人形は写真撮影OKだったので

裏側の人気のないところまで撮ってしまいました。これから時代物の

小説の本レビューを書く時に使えそうです。