なにかと興味ある物事を極めるのが好きです。
最近はスコーンを極めようとしています。
今日は「粉とふくらし粉」のお話。とてもマニアックなので、飽きると思います。。笑
1、スコーンの主成分、小麦粉。
スコーンの主成分は小麦粉です。
小麦粉にも色々ありますが、イギリスのレシピでは、セルフライジングフラワーを指定していることが多いです。
これは、Mary Berryさんのレシピ。
450グラムのセルフライジングフラワーとあります。
今年で86歳の料理研究家Mary Berryを知らないイギリス人はいないでしょう。
彼女を紹介する文章につく形容詞はthe nation's favourite(国家のご贔屓)や、Britain’s best-loved(英国で一番愛された)などと大層なもの。大英帝国勲章(CBE)を授与されたことも。
彼女が出版するレシピ本は、アマゾンのレビュー数が3000件を超えるものばかり…!BBCで放送されていたBake Offのジャッジもやっていましたね。
何が言いたいかというと、彼女のレシピ=イギリスのレシピ。
現代のイギリス料理の基本形というわけ。
現代の、とつけたのは、彼女のレシピには家庭でも作りやすいようなテクニックや材料を取り入れたものが多いので、”伝統的”とはまた違うと思ったから。
別のレシピも見てみましょう。
ヨークを中心に展開している人気ティールームが運営する「Betty’s Cookery School 」の創設者が出版したレシピ本です。
500gのセルフライジングフラワー。
もう一つレシピ。
登録者数の300万人超えの英Youtuberが出版したレシピ本です。ここにも250gのセルフライジングフラワーという文字。
気になるセルフライジングフラワー…
セルフ(自ら)ライジング(膨らむ)フラワー(小麦粉)。
自ら膨らむ小麦粉のことです。
これはイギリス留学中大変お世話になったスーパー、M&Sのセルフライジングフラワーです。500gで約50円。イギリスの食料品は安かったなあ。
これが材料です。小麦粉、ふくらし粉と書いてあります。
こちらも英スーパー、ウェイトローズのセルフライジングフラワーです。1.5キロで約90円。安いなあ。ちなみにどちらのスーパーも、イギリスでは金持ちが行くスーパーと揶揄されているんですよ。正直なところ、庶民派スーパーとそこまで値段は変わらなかったような。アルディはもっと安かったかな。偏見だけで物事をジャッジする人が多いなと思いました。(ひみつね)
こちらも材料は小麦粉と、ふくらし粉。
要するに、セルフライジングフラワーとは、小麦粉に最初からふくらし粉が混ざっている粉なのです。
3、日本でセルフライジングフラワーを手に入れたい。
この魔法の粉ですが、小麦粉もふくらし粉も日本のスーパーにあるので、自家製のセルフライジングフラワーを作ってしまえばいいのです。
私は使う小麦粉の重さの3.6%のベーキングパウダー(以下BP)を混ぜて作っています。
例えば250gのセルフライジングフラワーが必要なら、250×0.036=9で、BPが9g。しかし、小麦粉250gにBP9gを足すと259gなので、とりあえず9引いて、小麦粉を241gにしてみる。241×0.036=8.67g…BPは結局約9g。小麦粉241gとBP9gで合わせてちょうど250gです。
さて、お次は小麦粉について…
小麦粉といっても色々あります、と言いました。
砂糖と塩を間違えるとえらいことになりますが、小麦粉なら何を使っても、食べられるものに仕上がります。しかし理想を求めると、使う小麦粉の種類って結構大事。
日本で小麦粉というと大抵薄力粉を指しますが、英国で小麦粉というのは、大抵オールパーパスフラワーを指しています。
オール(全ての)パーパス(目的)フラワー(小麦粉)。
何にでも使える小麦粉のことです。
小麦粉の主な違いは目の細かさと、タンパク質の含有量です。
オールパーパスフラワーのタンパク質含有率は10%(100gの粉のうち、10gがタンパク質)です。
これに一番近い日本の粉は、中力粉!
中力粉のタンパク質含有率は10%前後です。
ただ中力粉にはあまり馴染みがないので、買い置きがある薄力粉と強力粉でタンパク質含有率10%の粉を作ります。
薄力粉のタンパク質含有率は6.5〜8.5%。
強力粉のタンパク質含有率は11.5〜13%。
70gの薄力粉(8.5%で計算するとタンパク質量5.95g)に、40gの強力粉(13%で計算するとタンパク質量5.2g。)を混ぜて作る110gの小麦粉には、11.15g(5.95+5.2)のタンパク質が入っているので、タンパク質含有率が約10%の小麦粉が完成します。
薄力粉7:強力粉4で覚えていればいいですね。
5、450gのセルフライジングフラワー
一番最初のレシピにはセルフライジングフラワーが450gと書いてありました。
まずはBPの量を決めてしまいましょう。
0.036倍してみると、16.2gです。
450から16.2引くと、433.8ですね。
小麦粉434gと、BP16gで合わせて450gでいいんじゃないでしょうか。
(434gを0.036倍してみても15.6なので、多少の誤差は無視無視。)
では434gの小麦粉のうち、薄力粉と強力粉をそれぞれいくらずつにするか考えなくてはなりません。
434を11(7+4)で割ってみると、約39.45と出ました。薄力粉は7欲しいので、その数字に×7して、276.15。強力粉は4欲しいので、×4して157.8です。合わせて433.95。小数点以下を四捨五入して、薄力粉276gと、強力粉158g、合わせて434gでいきましょう。
450gのセルフライジングの代わりに、276gの薄力粉と、158gの強力粉と、16gのベーキングパウダーを使います。
なんて、スコーン焼くたびにこんな面倒な計算してると思いましたか?
スコーンの良いところは適当に焼けて、あっという間に出来上がるところなのに、こんなことしていたら、作る時間より計算する時間の方が長くなってしまう。
私の焼くスコーンはいつも小麦粉225gと、ベーキングパウダー大さじ1(山盛りではなく、少なめに。グラムでいうと10〜11gくらい。)です。
どうしてこの数字になったのかは覚えていません。色々やっているうちにこうなりました。
小麦粉に使う粉の割合は適当です。
基本的には、強力粉が総量の半分を上回らないように薄力粉と混ぜています。(小麦粉225gなので、強力粉が112.5gを上回らないように薄力粉と合わせています。)
気分で強力粉だけにしてみたり、薄力粉だけにしてみたり、粉の一部を全粒粉やコーンミールに置き換えてみたり、自由に作っています。
強力粉で作るスコーンは、強めに焼くとザクザクします。少しもさっと粉っぽく、重ためで、ちょっとパンに近いです。
薄力粉で作るスコーンは、強めに焼くとサクッとして、軽めに焼き上がります。パンよりも焼き菓子寄りの仕上がりです。