朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -172ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。



「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの 室生犀星」


読んでいるときにぼくはこれを思い浮かべていました。


これは遠方にあって故郷を思う詩ではなく、上京した犀星が、志を得ず、郷里金沢との間を往復していた苦闘時代に帰郷した折に作った詩。


故郷は、ふと立ち止まって気にしないとうまく見えてこないものだろうか。



豊かな自然の恵みをふんだんに享受していること、

当たり前に広がっている田園風景などの景色が実は当たり前ではないこと、

絹織物業や高岡銅器などのように連綿と続いている伝統工芸の影で革新的な力が働いていること等々。



無彩色だと思っていた故郷にふと光を当てて見てみると、思いがけない色がどんどんと浮かび上がってくるものです。



「車は1人に1台」、「真面目、生真面目、くそ真面目」、「富山の有名人BIG3 立川志の輔、室井滋、柴田理恵」、「仏壇にお金をかける」、「昆布消費量が多い」等等。



読んでいて「そうだ!やっぱり!」とうなずくほどに面白い!



富山県民ならはたと納得する箇所が満載なのです!



客観的、多面的、根本的によくこれだけのことを調べたものだと思いますね!


よくここまでやった、えらいぞとほめてあげたくなります!



県外の人に対しては、富山の魅力を強くアピールできる本です。



逆に、富山県民に対しては、いぶし銀のような富山の素晴らしい宝物を再発見できるような本です。




 <目次>

はじめに

1 富山が一番やちゃ!編

2 なーん―方言編

3 あんた、なんしとんが?―習慣編

4 美味しいから食べてみられ―グルメ編

5 遊びにいかんまいけ?―県民性&レジャースポット編

6 なんちゅー、寒いが!―立地、雪国編

7 みんな知っとっちゃ―自慢・有名人編

8 こんな時代もあったがいねー―学生生活編

おわりに




画:若(わか)さん

富山県在住漫画家兼イラストレーター。世界一富山を愛する女。挿絵やコミックエッセイ、キャラクターデザインなど様々な分野で活躍。現在富山を愛する一枚マンガを連載、配信中。





ぼくは、高校野球が好き!



まだ汚れていないピュアなシャツのような、生徒たちのひたむきで真剣なプレーを見ると胸がきゅんと熱くなります。



この熱い気持ちをこころに込めて観戦をしています。



実際に野球場で声を出しのどをからしながら、贔屓の高校の応援を楽しんでいます。




野球などのスポーツは、やはり臨場感のあるライブが楽しいですね。




あの呉西の高校が勝てるのには、何か理由があるのではないか!



勝てる高校と負ける高校の差は何なのか?



才能や練習量だけじゃないぞ!



ピンチをしのげる選手たちと、チャンスを活かせるチームには、なにか特別な理由があるのではないか!……。




実力が伯仲している高校同士の試合を見ていて、頭のなかでふと考えていました。




例えば、星陵高校の奇跡の逆転劇を目の当たりにしなくても、甲子園などに出場させた今までの実績を知らなくても、このとおりにやれれば、よい結果が自然と現れてくるものと、読んでいればこころで感じますね。




ぼくは、メンタルの微妙な差が勝敗につながっていることに気づいたのです!





メンタルトレーニングの方法は、野球などのスポーツだけではなく、生徒の指導や子どもの育て方などに悩んでいる大人たちにとって、ヒントが満載でそのコツをつかむためにとても役に立つ本だと思いますよ。




これから自分のそばでも活用していきたい。



 <目次>

はじめに

第1章 やる気がない子を前向きにする9つの言い方(「なぜできないんだ?」ではなく「なにが原因だ?」と聞く―相手を責めない聞き方をすれば、本音の意見が聞き出せる、「何度言ったらわかるんだ」と叱るのではなく「わからないだな」と受け止める―受け止めて安心感を与えれば、積極的に相談してくるようになる ほか)


第2章 自信のない子を勇気づける8つの言い方(「甘えてんじゃない!」と叱るのではなく「不安そうだな」と思いやる―「自分のことを気にかけてくれている」という信頼感が本音を引き出す、「他人のせいにするな!」と叱るのではなく「そうか」と受け止める―いったん受け止めて安心させてあげれば、改善点に意識が向くようになる ほか)


第3章 不満ばかり口にする子に使命感を与える6つの言い方(「自分のために頑張れ」ではなく「誰かのために頑張れ」と言う―「喜ばせたい人」の存在が、燃え尽きにくい心を育てる、「諦めるな!」ではなく「お前はエースだ!」と言う―「自分はこのような人間だ」という自覚が行動を変える ほか)


第4章 なかなか行動を起こさない子を動かす8つの言い方(「なれたらいいな」ではなく「なった!」と言わせる―「できたつもり」にさせれば、本当にできるようになる。「努力します」ではなく「やります!」と言わせる―言い直してもらうだけで、やる気モードに切り替わる ほか)


第5章 ピンチに弱い子のメンタルを強くする8つの言い方(「落ち着け」と声をかけるのではなく「息を吐いてみろ!」と言う―息を吐くだけで、自律神経はコントロールできる、「力むな!」ではなく「力を入れてみろ」と言う―いったん力を入れてから力を抜けば、力みがほぐれる ほか)






154P

「なれたらいいな」ではなく「なった!」と言わせる。「できたつもり」にさせれば、本当にできるようになる。







188P

「チャレンジすることが成長をもたらす」

仕事や人生において選択肢があるとき、どっちの道を選べばいいのだろうかと迷うことはよくあります。

そんなとき、さまざまな判断基準があると思いますが、私がお薦めしたのは「より成長できる方を選ぶ」というものです。


232P

「反省しろ」ではなく「気持ちを切り替えろ」と言う。気持ちを切り替えることが、次の結果につながる。



◎メンタルコーチ・経営コンサルタント。富山県高岡市出身。石川県金沢市にオフィスを構え全国で活動している。中小企業診断士。銀座コーチングスクール認定プロフエッショナルコーチ。JADA(日本能力開発分析)協会認定SBT1級コーチ。週末起業フォーラム認定シニアコンサルタント。金沢大学非常勤講師




94P「名無しでやって来たナナフシに似た娘の七不思議」



家族も仕事も希望も失った男が行きつくところは?



下の下の地の底の底まで舐めるような経験をした人は、こんなに強く生きられるものなのか!



経験したことがない人にはよくわらない。




誇りを無くした男と夢を失った少女が偶然に出会う。



深尾と彩弓は、愛情と夢を介して持ちつ持たれつの親子のような関係となる。



まったくの他人同志で、ここまで相互に相手に介入できたら素敵。



なんとも暗い話だが、だんだんと中に引き込まれる。



自分のそばに守ってあげたい人がいると、どんなに不遇に会っても、出口を見つけて再生が出来る。



ここで終わりだと思ったら、そこで終わりなのだ!



男はどん底から立ち上がり、かつて自分が活躍していた金融市場で再生をしていく。




大事なものを亡くした人が、なんとか夢を叶えるように努力する姿は、見ていてすがすがしい。




「ナナフシのように何度も蘇生する」




おわりには感動するドラマがあり読後感は良い。




 <目次>

プロローグ 

第一章 自切 

第二章 擬態 

第三章 生餌 

第四章 脱皮 

第五章 再生 

第六章 飛翔 

エピローグ 




◎1951年生まれ。米国系金融機関で債券ディーラーなどを経て、作家に転身。「天佑なり」で第33回新田次郎文学賞を受賞。ほかの著書に「日本国債」など。




105P

その昔、深尾がもっとも輝いていた時代は、たしかにここに存在した。あの事件から七年間、屈辱的などん底を舐め、頑なまでに背を向けて、見ない振りを決め込んでいた世界である。小さく小さく折り畳んで、二度と開かぬように固く封印し、過去のなかに深く葬って、近づくことも、思い出すことすらもみずからに禁じていたあの錬金術だ。


254P

夢に飢えた男が、みずから仕立てた夢に染まって、酔っている。娘に便乗して、夢のおこぼれを欲しがっている。だが、それをただの夢で終わらせないためには、明日からはやるべきことが山のようにある。

それでいいではないか。深尾は思った。誰しも孤独から逃れたいと願う権利はあるはずだ。彩弓と二人で救われたい。夢を追いかけてみたい。たとえそれがつかのまの、どんなに儚いものであったとしても、誰がそれを責められるものか。

深尾は、久し振りに彩弓と二人で声をあげて笑っている自分に気がついた。


318P

塩の街、ザルツブルグ。この街と、このナナフシがいたからこそ、深尾は蘇生した。もしかしたら、ナナフシの前脚のように、そのうち娘の右腕も本当に再生するのではないか。サングラスを外し、目を射るようなヨーロッパの夏の光を顔いっぱいに浴びながら、深尾は心の底から湧きあがってくるような晴れやかな笑みを浮かべた。




奇妙な殺人事件には、名探偵「あぶない叔父さん」がすべて関わってます。




麻耶さんの「さよなら神様」は、面白く、だからこの本も読みたくなりました。




あぶない叔父さんは、とても怪しすぎる外見で行動も意味不明なくらい不思議なんですね。




事件が起こり主人公がいろいろと調査をしていき、最後に叔父さんが事件を解決。




あり得ない犯人や常識破りの結末に度胆を抜かれ目が離せなくなります。






物語の終わりに叔父さんが真実を語ると、麻耶さんのミステリーを読んだなという充足感に浸れました。






 <目次>

失くした御守り 5

転校生と放火魔 67

最後の海 107

旧友 161

あかずの扉 207

藁をも掴む 261







◎1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。91年「翼ある闇」でデビュー。2011年「隻眼の少女」で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞






42P

「こういうのは運だから。見つかるときは見つかるし、駄目なときは手を尽くしても駄目なんだ。この手の仕事が一番難しくてね。なぜだか必死になればなるほど逃げていくものだし。僕もこの仕事を始めた頃は、空回りして失敗したことがたくさんあったよ。一番悪いのは失敗したことを隠すことだしね。優斗も腹をくくって真紀ちゃんに謝ったほうがいいんじゃないかな。そしてまた二人でうさぎ神社まで御守を買いに行けばいいんだし」



「自分を見つめ直す時間を持つことが、人を成長させる」



「どこにも関係のない、どこにも属さない一人の人間としての時間は、人間を人間としてよみがえらせ、より大きく育て上げる時間となる」




彼の体験からは、ぼくは身につまされる思いがしてなりません。



周りの人やご家族の苦労も推し量ることができます。





心と体の乖離もあって、パニック障害となってしまった主人公。



病気になってから立ち戻ることができれば、以前より強くなるのであろうか。



人生は少し遠回りしてもいいんじゃなかろうか。



今まで生き急いでいたように忙しかったから、すこし立ち止まって休んでもいいのではなかろうか。




目標に向けてただやみくもに前に進むよりも、ちょっと立ち止まってみたら周りがすこし見えてくるのです。




自分ひとりだけでは生きていけない。




身近な家族が気づかせてくれた「家族の絆」




間近にあった大切なものを、心を亡くして見過ごしてきたのですね。




病気にならなければわからなかったことなのですが、病気になったからこそと考えることができれば!





彼と息子との旅行のため、黙って百万円を渡してくれた奥さんは素敵!





「電車や地下鉄に乗れない」 日経トレンディの敏腕編集長を突然襲ったパニック障害。



会社を辞め、息子とのふたり旅を何度も繰り返しながら、病気と闘い、家族の再生を目指した実体験を綴っています。






 <目次>

序章

第1章  はじまり

第2章  突然起こったパニック

第3章  息子と初めての長旅

第4章  退職、立山へ

第5章  「とうたん、無職だから」

第6章  「パニック障害」と診断されて

第7章  元の木阿弥

第8章  一年ぶりの地下鉄

第9章  元編集長の賞味期限

第10章 スイッチをオフにする

第11章 沖縄行きの飛行機

第12章 家族の絆

終章





◎1966年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。1992年日経ホーム出版社に入社。2005年から2008年春まで日経トレンディ編集長を務め退社。

現在、商品ジャーナリストとして、原稿執筆、メディア出演、講演活動、地域おこしのアドバイザー業務などに携わる。サイバー大学客員教授(ITマーケティング論)





「最後に、百万円ちょうだい」

それは息子との旅だった。家族を取り戻すための旅であり、自分を取り戻す旅でもある。お願いだからと私は繰り返した。

私と息子の二人旅は、こうして始まった。旅することだけでなく、私の再生も家族の再生も、そのときから始まった。

本書は、そんな私と家族の実体験を基に構成した。息子との二人旅を何度も繰り返しながら、パニック障害と闘い、家族の再生を誓う、私の歩みを綴った。







パニック障害を完全に忘れるとまではいかないまでも、日常生活にさほどの支障をきたさなくなるまでは来た。あとは、自然に忘れていくことができればいいと、のんびり構えている。

将来なにが起こるかは想像がつかないし、ずっと平穏でいられるとも思えないが、この何年かを過ごして、私たちは会話の多い家族になったのは確かだった。













142P「相手を輝かせ、店が喜ぶことで、結果として自分も光る」

「連れていく相手を輝かせ、店の人にも喜んでもらえる場を作り出すことで、結果的に自分自身も光ることができる」




さすが元「日経トレンディ」編集長!



北村森さんのような高いレベルではないけれども、名店での所作の大切さの意味合いはわかりますよ。



自分もそのような経験をしてきたから。






仕事の出来は、「場」と「振る舞い」で決まる。



仕事ができる人は、遊びにおいても上手に対処ができる。



仕事ができる人と遊ぶと納得して面白い!





社外での振る舞いによって、仕事と人生が充実しますね。



それらのコツがみっちりとこの中に包まれています。








意味合いがよく分からない人にとっては朗報。



これから経験する人、まだ経験していない人たちにとっては、何よりの有難い情報だと思いますよ。










 <目次>

まえがき

第1章 仕事の成果は「場」と「振る舞い」で決まる(できる人、できない人の違いは、店での所作に現れる、「ルール」は自分のため、「マナー」は人のため ほか)

第2章 できる人はなぜ、いつも支払いがスマートなのか?(引き戸に手をかける場面で、すでに始まっている、靴は玄関に脱ぎ捨てていい ほか)

第3章 仕事と人に恵まれている人は、「いい店」を知っている(店の名前で自分をおおきく見せようとしてはいけない、予約の電話+ひと手間で店を味方につける方法 ほか)

第4章 信頼されて出世する人がやっている凄腕の接待術(メールでも見逃かされる上手な誘い方と断り方、会食の成否は予約の時点で決まる ほか)

第5章 店と対話できる「いい客」こそ優秀なビジネスパーソン(店や職人と“呼吸”を合わせる、いい客も仕事ができる人も“間合い”が上手 ほか)

あとがき





◎1966年富山県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。92年日経ホーム出版社に入社。20年以上にわたり、鮨屋や割烹、レストランなど数千軒の実力店に足を運び、また、老舗旅館や一線級ホテルの覆面宿泊チェックを続けるなど、取材・執筆活動に勤しむ。「日経トレンディ」編集長を経て、2008年に独立、商品ジャーナリストとしての活動をスタート。原稿執筆、メディア出演、商品づくりを通した地域おこしのアドバイザーとして活躍している。サイバー大学客員教授(ITマーケティング論)著書に「途中下車」がある。





94P

こうして、何軒かの店を、お気に入りとして大事にしているうちに、ひとつの能力が徐々に備わっていくようにも思います。それは何かというと、「見知らぬ土地を訪ねたときに、前情報なしで、どの店ががよさそうか、鼻が利くようになる」というもの。







110P

(作家の)伊集院(静)さんが、先輩作家の城山三郎さんから聞いた言葉といいます。

他の何にも属さない“無所属の時間”を持つことが大事。その時間の過ごし方で、その人の価値のようなものが見えることもあります。





最終まで読み進めないと、感情を押し殺して生きている峰岸晄の復讐の動機がわからない。



興味本位だけでは読みすすめてはいけない。

そんな気持ちが暗くなるような小説。



読後感のけだるさ、



気持ち悪さ、



空気の重さを感じる。




悲愴感と暗い影が漂っているような憐れな雰囲気がものすごく滲み出ている。



男の心の奥底に差す光は何!




絶望の幼年期を過ごした男。



なんとか生き延びて犯罪に手を染めていく男。



この男を突き動かしているものは?



自分の心を殺し続けた男が最後に見せる想いは、じつは驚くほどにピュアな気持ちだった。






 <目次>

二〇〇一年 晄、十四歳 5

二〇〇三年 晄、十六歳 39

二〇〇六年 晄、十九歳 73

二〇〇八年 晄、二十一歳 131

二〇一二年 晄、二十五歳 169

二〇一六年 晄、二十九歳 229



◎1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。「慟哭」でデビュー。「乱反射」で日本推理作家協会賞、「後悔と真実の色」で山本周五郎賞を受賞。






75P

電話の向こうから聞こえる声は、明らかに狼狽していた。人間はある程度予想していることでも、実際に自分の身に起きてみないと真実と感じられないものだ。まさか、ひと言釘を刺しておけばこちらが素直に従いと思っていたわけではあるまい。頭が悪い人間は、想像力がない。想像力がないからこそ、いざ現実に直面すると慌てるのである。この仕事に就いてから晄は、頭が悪い人間を山ほど見てきた。

「ちょ、ちょっと、職場には電話しないでくれって頼んだじゃないですか」



285P「僕たちは、死んでも構わないと思っているだ」




明日にも、将来においても、何が起こるかは誰もわからない。



だからこそ、



「素晴らしい人生だったよ」



「やりたいことをやったから満足」



「本や人とのご縁が深まってとても楽しかったよ」



「面白い一生だったね」……。




などというような素敵な言葉を抱きながら、毎日を生きていきたいものです。








 <目次>

第一部 復帰

第二部 苦闘

第三部 復活の日

第四部 再びの栄光へ

第五部 闇と光







◎1963年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。警察小説とスポーツ小説の両ジャンルを軸に、意欲的に多数の作品を発表している




124P

竜神を通俗なハンサムと評するのは簡単だが、それだけではないのだ。勝利への強い意志、今まで積み上げてきた練習が支えた自信、しかし自分を客観的に、厳しく観察できる能力。それらの複雑な内面が滲み出て、強い表情を作っている。最近の日本人にはすっかり見られなくなった顔つきで、往時の侍はまさにこんなイメージだったのではないか。

私が女だったら、すぐにでも結婚したい。




285P
「僕たちは、死んでも構わないと思っているだ」

突然、ライコネンの口から飛び出した「死」という言葉に、私はぎょっとした。ライコネンの眼差しは真剣で、冗談を言っているとは思えない。

「トップレベルに近づけば近づくほど、目標のレベルは高くなるんだ。メダル一つでは満足できなくなって、次のメダルが、あるいはもっと輝くメダルが欲しくなる。そうやって選手たちが競い合う姿を、観客も望む。僕たちは、見せ物なんだから」

「見せ物って……」

「僕たちを支えてくれるのは、観客なんだ。彼らの懐から出る金が、僕らのキャリアを支えている。期待は裏切れないんだよ」

「プレッシャー?」

ライコネンが無言でうなずく。唾を呑んだが、いかにも億劫そうだった。




情景が目に浮かぶように、杉山さんの言葉が綺麗だと思います。



例えば、動物と触れ合うと、交感神経を穏やかにし副交感神経が刺激されるなどして血圧が下がってくるよい効果があることを聞いています。



犬は言葉がしゃべれなくても、表情や体のぬくもりを通じて飼い主と気持ちが通じ合うものなのです。



「私(夫)と、妻と」だけでは、けっして救われないのです。




「妻の犬」が、当事者でしかわからない夫婦間の危機を回避させてくれるのですよ。






しばらくの間、ほのぼのと時間が過ぎていきます。



しかしながら、やっぱり最後は……。



こうなってしまうのか!?





読んで見られたらわかりますよ。






中年の男の心の危機を描く哀愁の物語。


















◎27p

子供はよちよち歩きができるようになった頃から四つや五つくらいまでが可愛い盛りで、その後の親としての苦労は、可愛い盛りの可愛さを親としてまるごと楽しませてもらったある種のツケのようなものだ。と誰かが書いていたのを読んだことがある。親になったことがない私にも、なんとなくわかったような気にさせてくれる言葉だった。







◎112P

会えなくなれば、当然のことながら時間の経過とともに相手の存在はどんどん薄れて記憶から抜け落ちていく。

時間が距離を決定づけることというのはひとつの真理なのだろう。もちろん会っている時間が多ければ距離が縮まるのかと言えば、それは会っている時間の密度、質によって変わってくるのだろうが、ひとたびその時間がゼロになり、ゼロのまま封印されてしまったら、二人をへだてる距離は限りなくひらいていく。







◎240P

半年ほど前、やはりこの緑道の人口で、さわってもいいですか、と聞いてきた女の子だ。そのときはたしか、つば広の紺の制帽に同色のセーラー服を着ていたはずだが、季節を先どりしてもう衣替えをすませているのだろう。五月のみずみずしい日差しの中、女の子の夏服は、撮影に使うレフ板でも当てたみたいにきらきらと無数の光の粒子をまとい、まわりの風景から何倍もの明るさで、くっきり浮き立って見える。女の子が駈けてくる方から、初夏のさわやかな香りが運ばれてくるようだった。








◎1952(昭和27)年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て著作活動に入る。86年『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞、96年『兵士に聞け』で新潮学芸賞を受賞



山内桜良さんや志賀春樹さんらの想いなどを、男女や世代、異業種間でじっくり語り合いたいな。



例えば、読書会の課題本としたいような素晴らしい本。



ぼく以外の感想も聞いてみたい。



ラスト40ページは感涙!!



タイトルの重みがしっかりと受け止められます。




「内容が濃い選択した人生」





(ぼくはこの著者さんの作風が好き。)





ぼくはまだ1回しか読んでいません。



それだけでは、主人公たちを深く分かりあえていないような気がします。



もう一度最初から読みたいな。





情景や心理描写も素敵。




もっと意味をわかりたいし、彼らのそば近くでいたいから。




共感できる人に想いをつなげていきたいな!




◎兼業作家。高校時代より執筆活動を開始。大阪府在住。『君の膵臓をたべたい』がデビュー作






◎15-16P

彼女の姿の向こう、夏の空はまだオレンジとピンクとほんの少しの群青の間で僕らを照らしている。

手を振り返さず、僕も今度こそ彼女に背を向けて家に帰る。

騒がしい笑い声がしなくなって、空の群青が占める割合が少しずつ増えてきて、僕はいつもの道を歩く。きっと、僕が見ているいつもの帰り道と彼女が見るいつもの帰り道では、その一歩一歩の見え方がまるで違うのだろうなと思う。

僕はきっとこの道を卒業するまで歩き続けるだろう。

彼女は、あと何度同じ道を歩き続けるのだろう。






◎187P

「????くんの名前も君によくあってるよ」

「……どうかな」

「ほら、死が横にいる」

彼女は得意気に笑いながら僕と自分を交互に指差し、そう冗談を言った。

その言葉を聞いて、僕はそれまでの会話を全て飛び越え、やっぱり今日の彼女はどこか変だと、またそう思った。



◎281P

汗で濡れた顔を風がなでる。

僕と恭子さんは向かいあって、目と目で確認しあったあと、同時に笑った。

「さて、じゃあ桜良の家に行くか!」

「そうだね、桜良が待ってる」

僕らはうわははっと笑いながら、長い階段を下りた。

もう、怖いとは思わなかった。