朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -147ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

母・早苗と息子・力は、逃げなくてもよかったのではないか。

いずれ直面せざるを得なかった父親・拳の女性問題。

東京を離れても、どの地方に行っても、どこにいても、いつか女優・遥山真輝のエルシープロの関係者に見つかってしまう。

しばらく目を背けても、時間を稼ぐだけのはずだった。

しかしながら、その間で、父、母、息子の家族は、三人の絆の大切さにやっと気づいたのだった。

 

あの大震災の悲劇は、決していまも終わっていない。

小説の中だけでなく、ぼくら日本人のDNAのなかにもずっと受け継がれていくのだと読みながらそう思った。

 

353P

「今はスマホとか誰でも簡単に写真が撮れる世の中ですけど、ここにいると、それでも写真館が必要とされるってはっきり思えるんです」

写真館には、“きのう”と“あした”の仕事があると言った耕太郎の話を、早苗は力から聞いていた。失われた“きのう”を辿り、“あした”の思い出を新たに作る。この写真館で撮られる新しい写真は、“あした”を向く覚悟をした人たちの背中を押すものなのかもしれない。

―見てほしかったね、と成人式のお姉ちゃんが言ったことを思い出す。

お父さん、と呼びかけた。母親の声も。

 

 <目次>

川漁の夏休み

坂道と路地の島

湯の上に浮かぶ街

あしたの写真館

最終章 はじまりの春

 

1980年生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。著書多数

山内マリコさんには珍しい主に男性目線で語られる短編集。

 

「男子は街から出ない」地元のボーリング場で中学の同級生が、独身のままと結婚しているという立場の違いはあるが、ふとした街によくあるような風景のなかでのお互いの心の葛藤が描かれている。

 

「さよなら国立競技場」山内さんの母校・富山第一高校サッカー部が全国優勝したことを基にしていて彼女自身、実際に国立競技場まで応援(取材)に行っている。

全国優勝したあと、ゴールデンエイジが抜けたのちのサッカー部の成績の低迷や後輩たちの空虚な気持ちはよくわかる。

 

「彼女の裏アカ物語」お互い様。裏アカウントで、僕に対する彼女の嘘を知ったときの驚き!彼女が僕の嘘を知ったときも同じだ。

 

「ぼくは仕事ができない」ある社員・角岡さんに接する人たちの見る眼の角度や事情の違いによって、それぞれ人によって評価や思惑が違うのが面白い。

 

「事情通K」「Kが出した結論は、『それなりの大学に行って、それなりの会社に入ったやつは、それなりに稼いでいる』というもの。」について、僕の経験から考えるとほぼそのとおりではないかな。

 

「おれが逃がしてやる」無難なサラリーマン生活(クラブ)からウエンツ瑛士と共演できるような役者などの破天荒な世界に逃げ出せたら……。ちょっぴりでもそんな気持ちや勇気がほしい。

 

総じて、男の生き様ってこういう感じなのかなと。

わかる部分もあればわからない部分もあってよかろう。

もう少し生きやすい世の中になったら。

とにかく息苦しい世の中から本を読んでいるときくらいには抜け出したい。

 

 

 <目次>

男子は街から出ない  

さよなら国立競技場   27

女の子怖い   39

彼女の裏アカ物語   54

「ぼく」と歌うきみに捧ぐ   60

あるカップルの別れの理由   63

ミュージシャンになってくれた方がよかった   80

本当にあった話   81

ぼくは仕事ができない   85

型破りな同僚   113

事情通K   114

おれが逃がしてやる   117

仮想通貨   132

いつか言うためにとってある言葉   133

愛とは支配すること   135

子供についての話し合い   147

ファーザー   148

心が動いた瞬間、シャッターを切る   151

眠るまえの、ひそかな習慣   170

 

 

1980年富山県生れ。大阪芸術大学映像学科卒業。2008年「16歳はセックスの齢」で「女による女のためのR‐18文学賞読者賞」を受賞。2012年、初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行、地方に生きる若い女性のリアルを描き、同世代の女性読者を中心に一躍人気作家となる。

最近あまりハウツーものや自己啓発のような本を読んでいません。

誰が書いたのか!

どこからの引用なのか!

いつそれを気づいたのか!

どのような経験に裏付けして書かれてあるものなのか!

などが本の選択の重要な要素だと考えているのです。

 

一般的に誰でも知っているような耳障りが悪くなく使い古されたうまい言葉を、ただキャッチコピーして並べて書かれてあるだけの内容では、ぼくは納得と満足がいかない。

 

この「ラクする」とは、手を抜くとか、ズルをすることではありません。

力の入れ所と抜き所を押さえてムダな努力をなくすことです。

結果的には、自分の持ち味を生かして、最短な道筋を選ぶやり方でもって成果につながることになります。

 

仕事ができる人たちに共通する立ち居振る舞いに六つの事例が紹介されていました。

①真っ先に発言する。②姿勢を正し、ハッキリとした声を出す。③お辞儀が一番深く、長い。④リアクションが速い。⑤朝に強い。⑥哲学と世界史を学ぶ。

今までリーダーを見ていると、資質や教養も必要であるので、

「⑥哲学と世界史を学ぶ」ことが大切なのではないかと感じています。

 

優秀なリーダーは「自分は運が良く、いろいろあっても最後はできる」という根拠のない自信を持っている。「最後にはなんとかなる」と自分を信じている。

そのため、冷静に事態を受け止めて落ち込むことがなく難局も乗り越えることができる。

いろいろなコツを知った上で、最後には「自分なら大丈夫。できる」という根拠のない自信が必要なのですね。

 

昨日7月15日(日)松本利明さんの講演会に参加しました。

「人の目利き」を持った方です。

5万人のリストラや6千人以上の優秀なリーダー・幹部の選抜を行ってこられました。

この間の多くの修羅場を乗り越えてきたことによる自信がみなぎっていました。

彼の雄姿や早口な声、要点が書かれたパワポの画面などを思い出しながら、一気に読み終わりました。

 

ほんとうに読書好き冥利に尽きますね。

 

 

 <目次>

はじめに リストラされた5万人と選抜された6千人の「差」とは?

1章 一発で決める(「長い1回」ではなく、「短い10回」をスピーディに、100点を目指すより、「60点の出来」で突っ込ませる ほか)

2章 スパッと割り切る(「やりたい仕事」は捨て、「勝てる仕事」に注力する、仕事は「緊急度」より、「成果が出る」を優先 ほか)

3章 抱え込まない(苦手な仕事より、得意な仕事を人に振る、どんなにイヤな仕事でも、まず「わかりました」と言う ほか)

4章 組織の「壁」を利用する(「壁」を壊すより、安全地帯として利用する、“表の組織図”にダマされずに、“裏の組織図”で本当のキーマンを見つける ほか)

5章 自分で「できる」ようになる(実力より先に、「できる人」という認知をつくる、実績を積み上げる前に、“虎の威”を借りる ほか)

おわりに

参考文献・記事

 

 

 

人事・戦略コンサルタント。HRストラテジー代表。日本人材マネジメント協会執行役員。著書に「部下こそ上司にリーダーシップをとれ」など。

もし近未来に!

従事している今の仕事が消滅するならば、それは備えるべき喫緊の課題だ。

これから職業を選択するような若者にとっても重大な話題となる。

 

ただ危ない未来を警告しているだけではなく、例えばAI(人口知能)とロボットに給料を支払うようなシステムの世の中になるとすれば、私たちの未来は幸せなものになるという提案を行っているのは救いのあるストーリーだと感じる。

 

50%から90%の仕事がAIとロボットに奪われて消滅するという。

 

2025年、世界中でタクシードライバーや長距離トラックのドライバーの仕事が消滅する。完全自動運転自動車の登場による。日本国内では123万人の雇用に相当。失業者が増える。

 

2030年、弁護士助手や銀行の融資担当者、裁判官といった主に「頭を使う専門家の仕事」がAIに取って代わられる。

 

2035年、研究者やクリエーターなどの仕事は、AIが汎用的な思考ができるようになるため消滅していく。また会社では判断や評価をくだす管理職の仕事もいらなくなっていく。

等々が近未来に起こる予測だ。

 

過去にフィルムカメラからデジタルカメラへ、家電話から携帯電話へと普及した歴史から学ぶとすれば、急激な変化はあながち間違っているとは思えないのだ。

 

 

 <目次>

はじめに

第1章 仕事はいつ消滅するのか?

第2章 仕事はなぜ消滅するのか?

第3章 仕事消滅から生き延びることはできるのか?

第4章 仕事が消滅していく過程で何が起きるのか?

第5章 不幸な未来はどう回避できるのか?

第6章 未来はどうなるのか?

おわりに

参考文献

 

 

経営戦略コンサルタント。東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。過去20年にわたり大手人材企業のコンサルティングプロジェクトに従事。人工知能がもたらす「仕事消滅」の問題と関わるようになる。経済評論家としてメディアなど多方面で活動

アーノルド・シュワルツェネッガーさんが主演された

映画「ターミネーター」を思い出した。

 

もちろんこんな未来が来ないことを祈っているし期待もしている。

ヒトとロボットが戦いお互いに殺し合うという近未来のストーリー。

 

「審判の日」

ヒトが最後まで持っているべき判断というスイッチを機械に渡してしまった。

それから機械が意志を持って、敵対するヒトを駆逐するロボットを製造していく。

人類たちがそれに抵抗していく……。

 

ヒトにとって機械は何かを行うための手段であり、目的を遂行するための最終的な判断は、あくまでヒトが行うべきだ。

 

盲目的に判断を他人に任せてはいけないことを戒めるためだと。

あの映画を見た時に、ぼくは気づいたことをこの本を読んで思い出したのだった。

 

46P「人口知能の時代に考える」

コンピューターに仕事を取られる。その心配もよく聞く。私の答えは簡単である。コンピュータのコンセントを抜けばいいじゃないですか。そう言うと、当然反論が出る。自分でコンセントを入れるコンピュータがいずれできますよ。時代が変われば、倫理は変わる。コンピュータが発達した世界で、自分で動くコンピュータを作るのは、私にいわせれば違法行為である。コンピュータの電源はヒトが左右しなければならない。

 

 <目次>

まえがき

第1章 どん底に落ちたら、掘れ

第2章 社会脳と非社会脳の相克

第3章 口だけで大臣をやっているから、口だけで首になる

第4章 半分生きて、半分死んでいる

第5章 「平成」を振り返る

総論―あとがきに代えて

 

 

1937年、鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。89年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞。著書多数

 

「悪」

とても難しいテーマなので、安易に感想を述べることができません。

川崎市中一男子生徒殺害や名古屋大女子学生の殺人・傷害・放火、酒鬼薔薇聖斗などの凶悪な事件が大小を問わず頻繁に起きています。

これらの「悪」とは何?

どこから生まれる?

どう向き合えば?等々。

客観的に考えてみることが必要な世の中に住んでいると感じました。

 

 <目次>

プロローグ

第1章 悪意に満ちた世界(私たちの中の悪、悪の喜び、悪の枢軸、システムの中の悪)

第2章 悪とは何か(悪の百面相、闇の中からの悪、悪は空虚を生む、根源的な悪と陳腐な悪)

第3章 なぜ悪は栄えるのか(歴史は悪にあふれている、悪の連鎖、悪を育てるもの)

第4章 愛は悪の前に無力か(悪と苦悩、『ヨブ記』の問い、わかりにくい愛、絶望の中でも共に生きる)

エピローグ

 

1950年生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学・政治思想史

 

 

有川浩さんの人となりがわかるエッセイ集。

『図書館戦争』シリーズ、『三匹のおっさん』『植物図鑑』『キケン』『県庁おもてなし課』『阪急電車』など10冊以上の作品を読んでいるほど好きな作家さん。

 

印象に残ったのは、東日本大震災の時の言葉。

「自粛で被災地は救えない、そういう時こそ他の地域が普段通りの生活を送って経済をまわして支えないと」

 

彼女の小説よりもさらにもっと彼女の意志がわかりやすい。

ものごとの核心に迫って書かれてあるから彼女の本音がわかります。

 

一度も有川さんにお会いしたことがないけれども、いっしょにお話をしてわかりあえたような感覚に陥ることができました。

 

126P「書店はテーマパーク」

何か面白い本はないかなと店内を巡って楽しい。

買いたい本が見つかったら再び楽しい。

おうちで買った本を貪り読んで、またまた楽しい。

要するに、書店というのは一粒で三度おいしい安価なテーマパークです。有名テーマパークで1DAYパスを買ったら五千円は固い。ものは試し、この五千円をテーマパークとしての書店に突っ込んでみてください。

「書店はテーマパーク」は、読んでいて楽しかった。まさに同感。

ぼくにとって本屋さんは、ご縁のある本との出会える場所。

東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンに行くのと匹敵するぐらいワクワクドキドキして楽しい。

 

229P「エロを感じる瞬間」

セックスは単なる一個の欲望ではなく、恋愛の営みなのです。だから大事にしてほしい、優しくしてほしい。結婚してもそこで営まれる生活にお互いを思う気持ちがあれば、それは形態が夫婦に変わっただけで穏やかな恋愛が続いているのだと思います。

恋人から夫婦になっても恋愛が続いているこの形態に憧れますね。

 

284P「観光地の偏差値」

私は個人的に観光地の偏差値は公共のトイレで量れると思っています。

観光地として洗練されており、観光しやすく観光客に優しく、リピーターの多い土地は必ずと言っていいほどトイレがキレイです。

トイレットペーパー常備は当然、洋式・和式と両タイプがあり便器はもちろんキレイ、できることなら音姫完備。

さすが有川さん。細かいところまで目の付け所が違う。

トイレが綺麗なところは、ほかの目につくところもそうでないところも気配りが行き届いていますね。

そんな施設を利用させていただいたとき幸せな気分になります。

この箇所は「県庁おもてなし課」の視点で楽しませてくれました。

 

有川さんのことをぼくが勝手に分かりあえるエッセイ本でしたが、この小説も面白かったよ。

 

「ゆず、香る」

話をしていて楽しいのは友達だからこそだ。お互い変に意識しはじめたらこの楽しさも居心地のよさもなくなるのだ、きっと。

彼氏彼女は別れたら恋人同士じゃなくなるが、友だちは一生友達だ。

分を弁えていればあたしは一生彼を失うことはないのだから。

 

 

 

 <目次>

書くこと、読むこと、生きること

この本大好き!

映画も黙っちゃいられない

いとしい人、場所、ものごと

ふるさと高知

特別収録小説 彼の本棚とゆず、香る

 

 

 

高知県生まれ。第10回電撃小説大賞『塩の街wish on my precious』で2004年デビュー。2作目の『空の中』が絶賛を浴び、『図書館戦争』シリーズで大ブレイク。その後、『植物図鑑』『キケン』『県庁おもてなし課』『旅猫リポート』で、4年連続ブクログ大賞を受賞

章子の元に届いた20年後の未来の自分からの手紙。

その結末がほんとうはどうなるのか心配になった。

 

15P

言葉には人をなぐさめる力がある。心を強くする力がある。勇気を与える力がある。いやし、はげまし、愛を伝える事もできる。

 

361P

墓場まで持っていかなければならない秘密。そんなものを抱えているのは、物語の中の登場人物だけだと、僕は思っていた。仮に、現実でそんなことが起こるとしても、僕には無縁のものだとも。

 

「章子」

章子の視点から描かれている、子供の頃の手紙の部分は、漢字が少なく平仮名が多かった。

章子の同級生の「亜里沙」

章子の担任の「篠原先生」

「良太」

のそれぞれの視点で描かれている。

 

親との死別、貧困、いじめ、AV強要詐欺、自殺、毒殺、DV、家庭内暴力、児童買春、二重人格、放火、近親相姦等々。

途中読むのがしんどくてきつくて辛かった。

 

沈むのはあっという間であって、浮かび上がるのは不可能に近い。

現実にあるような心の闇、精神の崩壊。

その中にでもマドレーヌや花火、シャインマスカットなどのほんのささやかなものにかすかにみえる一縷の望み

 

関係するそれぞれの人物たちには希望があり、救いがあり、暗くない将来があるのかどうか!

明るい未来があるようにはとうてい感じられなかったが。

 

苦しんでいることがあるなら、誰かに助けを求めることだ。

世の中にはしっかり話を聞いてくれる大人がいるはず。

真心から訴えれば、誰かがちゃんと耳を傾けてくれるはずだと願いたい。

 

<目次>

序章

章子

エピソードⅠ

エピソードⅡ

エピソードⅢ

終章

 

1973年広島県生まれ。「告白」で本屋大賞、「ユートピア」で山本周五郎賞を受賞。ほかの著書に「贖罪」など。

映画化された「ラプラスの魔女」の前日譚。

針灸師の工藤ナユタと風を読むなど特殊な能力を持つ羽原円華が問題を解明する。

青江教授が赤熊温泉の事件に招聘され次への呼び水となり、第五章「魔力の胎動」からラプラスの魔女につながっていく。

さくっと!終わりまで愉しく読めました。

 

<目次>

あの風に向かって翔べ

この手で魔球を

その流れの行方は

どの道で迷っていようとも

魔力の胎動

 

1958年大阪府生まれ。85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞、12年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文芸賞、13年『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞、14年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞

 

映画化された「孤狼の血」とその続編「凶犬の眼」

関連しているので、先に「孤狼の血」から読んだほうがさらに面白い。

日頃、接していないヤクザVS警察やヤクザVSヤクザの抗争に、もう夢中になってしまった。

時間を忘れて読んでしまった。もう一気読み。

「孤狼の血」では、新人刑事の日岡(松坂桃李さん)とヤクザと癒着しているマル暴刑事の大上(役所広司さん)の暗躍がヤクザと警察の間で繰り広げられる。

 

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」孫子の兵法が思い出された。

この日岡や大上に共通することの一つには、「情報」を大切にしていること。

相手との交渉の前には、戦うための武器や交渉カードを持っていることが大切。

その意味を知ってか知らないが、結果的にはそれを重要視して事が運んでいくのだ。

 

正義よりも仁義を重んじる社会がある。

血で血を洗うような抗争が永遠に続かないように願いたい。

恐ろしくも筋を通す人たち。

それぞれの筋は、時にはぶつかり、時には支え合う。

ぶれない筋は、代々受け継がれていくものであった。

次編を期待したい。

 

 <「孤狼の血」目次>

プロローグ

第一章から十三章

エピローグ

解説 茶木則雄

 

 <「凶犬の眼」目次>

プロローグ

一章

二章

三章

四章

五章

六章

エピローグ

 

1968年、岩手県生まれ。山形県在住。2008年、『臨床真理』で『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞を受賞。丁寧な筆致で人間の機微を描きだす、今もっとも注目されるミステリ作家の一人。

他の著書に『最後の証人』『検事の死命』『蟻の菜園アントガーデン』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』『あしたの君へ』『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』など

 

No.456】孤狼の血 柚月裕子 KADOKAWA(2017/08

No.457】凶犬の眼 柚月裕子 角川書店(2018/03