【No.466】青空と逃げる 辻村深月 中央公論新社(2018/03) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

母・早苗と息子・力は、逃げなくてもよかったのではないか。

いずれ直面せざるを得なかった父親・拳の女性問題。

東京を離れても、どの地方に行っても、どこにいても、いつか女優・遥山真輝のエルシープロの関係者に見つかってしまう。

しばらく目を背けても、時間を稼ぐだけのはずだった。

しかしながら、その間で、父、母、息子の家族は、三人の絆の大切さにやっと気づいたのだった。

 

あの大震災の悲劇は、決していまも終わっていない。

小説の中だけでなく、ぼくら日本人のDNAのなかにもずっと受け継がれていくのだと読みながらそう思った。

 

353P

「今はスマホとか誰でも簡単に写真が撮れる世の中ですけど、ここにいると、それでも写真館が必要とされるってはっきり思えるんです」

写真館には、“きのう”と“あした”の仕事があると言った耕太郎の話を、早苗は力から聞いていた。失われた“きのう”を辿り、“あした”の思い出を新たに作る。この写真館で撮られる新しい写真は、“あした”を向く覚悟をした人たちの背中を押すものなのかもしれない。

―見てほしかったね、と成人式のお姉ちゃんが言ったことを思い出す。

お父さん、と呼びかけた。母親の声も。

 

 <目次>

川漁の夏休み

坂道と路地の島

湯の上に浮かぶ街

あしたの写真館

最終章 はじまりの春

 

1980年生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。著書多数