朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -128ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

例えば、「埋め合わせ」

平穏に夏休みを終えたい若い小学校教諭。

彼はプール清掃のため一旦排水バルブを開けたが、閉め忘れてしまい大量に水を流出させるミスをしてしまった。

これを素直に教頭に伝え謝りプールに水を入れる対応をすればよかった。

最初は小さなほころびだったが、蟻地獄のようにもがけばもがくほど深みにはまり修復可能でないところまでいってしまった。

正しいことをしていればよかったと思う。

誤りは誤り。

間違いは修正しようとしても間違いのままだ。

よけいなことをすると傷口が広がってしまうという教訓を感じ取った。

 

あの日、あの時、あの場所で正当なやり方を選んでいたならよかったということがある。

選んだのは短絡的で自己中心的でその場しのぎの選択を取ったことがあった。

当たり前の方法を選ばなかったために引き起こされた最悪事態の数々を。

自業自得の極みなのかなと思った。

 

 <目次>

ただ、運が悪かっただけ    

埋め合わせ  

忘却  

お蔵入り    

ミモザ  

 

1984年東京都生まれ。出版社勤務を経て、「罪の余白」で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。ほかの著書に「許されようとは思いません」「火のないところに煙は」など。

いじめは、我々人類の先祖が狩猟生活から定住生活となった頃から始まっています。

動物園などエサで飼いならされた猿の集団内において、いじめがあることが実験で証明していました。

吉田兼好や鴨長明など著名な歴史上の人物が隠遁生活でひきこもりだったというエピソードも取り上げられています。

いじめが生まれて、それがひとつの原因としてひきこもりへと発展するのだという主張がありました。

いじめやひきこもりはどうして世の中に誕生したのかという歴史から学問的に説明したものでした。

 

ポストコロナの時代には、新しい生活様式が推奨されています。

それはいたってシンプルです。

3密(密閉、密集、密接)を避けてできるだけ他人とつきあわないで家にいて清潔を保つことです。

時代が進んでも過去の疫病対策とあまり変わらないというのは冷静に考えると滑稽です。

例えば、宅配などで買い物を頼めるし好きな物がネットで買えます。またZOOMなどのソフトを使ってパソコンの遠隔で直接会わなくても一度に多くの人と会えて相手の顔を見て話すこともできます。

こんな新しい生活が普通となってきたのは、彼らにとって生きやすく行動しやすい機会が訪れたと著者は考えているのです。

 

コロナ禍以前からひきこもり状態であった人たちが少なからずいたということから、従来陽の当たらなかった人たちにスポットがあてられるチャンスがきたのだと思います。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 遊動から定住へ―共同体の誕生

第2章 共有から占有へ―いじめの誕生

第3章 オーナーから家畜へ―ヴァルクの誕生

第4章 異人から職人へ―バンディットの誕生

第5章 漂泊から隠棲へ―ひきこもりの誕生

最終章 定型から多様性へ―社交不安障害の誕生

おわりに 

 

1954(昭和29)年大阪府生まれ。霊長類学・発達心理学者、評論家。大阪大学人間科学部行動学専攻卒、同大学院人間科学研究科博士課程修了。京都大学霊長類研究所教授を2020年に退職。。著書に「ケータイを持ったサル」など著書多数

世界で初めて医師として認められた女性、エリザベス・ブラックウェルの言葉。

「もし社会が女性の自由な成長を認めないのなら、社会の方が変わるべきなのです」

 

過去に実際に起こった大学医学部不正入試を真っ向からクローズアップしています。

合格点を取っていても不当に差別して女性を不合格として男性を合格させた事実を認めた大学がありました。

初めて女性医師として認められたエリザベス・ブラックウェルに憧れて医師を目指した、長谷川仁美、坂東早紀、椎名涼子、安蘭恵子の4人の女性と医学部初の女性教授、城之内泰子がそれぞれの章を形作っています。

 

男女雇用機会均等が当たり前でなかった時代と比べると滑稽なのですが、女性ということだけで男性より劣っていると思われて、結婚や生理、妊娠、出産、育児、介護などを理由に社会進出を阻まれてきました。

これは医療界だけではなく、日本の社会全体で蔓延っていた問題だったのではないかと。

男尊女卑のような未開の地を近道もなくあらたに開拓してきた女性たちの苦労が偲ばれます。

その当時は声をあげられるほど強くはなかった、辛く哀しく寂しい気持ちでいた女性たちの涙と希望を代弁して送り出されてきたドラマでないのかと思います。

 

 <目次>

プロローグ 求められた証言

第一章 四人の再会

第二章 アイ・スペシャリスト―仁美

第三章 フリーランス―早紀

第四章 エスコート・ドクター―涼子

第五章 NICUチーフ―恵子

第六章 解剖学教室教授―城之内泰子

エピローグ それぞれの宙返り

ブラックウェルにまつわる言葉に添えて

 

1961年徳島県生まれ。日本女子大学卒。出版社勤務を経て、東海大学医学部に学士編入し、卒業後、都内大学病院老年内科や終末期医療専門病院で勤務する。2016年『サイレント・ブレス』でデビュー

「明けぬ里」親に借金のかたとして根津の岡場所に売られた「よう」は悪態をつき続けたが、気に入ってくれるご隠居がいて身請金を出してもらい体を自由にしてくれた。その後長屋住まいの男と所帯を持った。

遊女の時には絶大な人気で誰にでも優しい「明里」姐さんに対して反感を持つ反面、ようは、明里が自身を偽る苦しい内面にも気づいていた。

その二人が偶然、町で出会い互いに妊娠していることを知り励まし合うが、明里が身請主の使用人と心中したことを知らされる。

例えば、こんな風な生きる喜びと哀しみが織りなす連作短編話が入った時代小説だ。

貧しくとも支えあい生きる姿や屈託なく明るい気分にはなれないけどそれぞれが幸せならいいのかと思うような話があり。

人々の心の中を象徴しているような淀んだ心川(うらかわ)沿いに詰め込まれるようにできた集落の心町(うらまち)の長屋の住人たちの物語だった。

長年にわたってたまりにたまった滓のような屈託が、少しずつ吐き出されていきまたさらにそれが生み出されてくるよう。

誰もが何かしら重たいものを抱えてそれをなだめながら日々を暮らしていることがわかる。

そこである日ふと投げ込まれた小石がさざ波を立てるのだ。

理不尽を呑み込み抗いながらもそこで暮らす人々がいるいとおしいすぎるお話だった。

 <目次>

心(うら)淋し川   

閨仏(ねやぼとけ)   

はじめましょ   

冬虫夏草   

明けぬ里   

灰の男  

 

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノべル大賞を受賞し、デビュー。2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。近著に『亥子ころころ』『せき越えぬ』『わかれ縁』などがある。

REM(Rapid Eye Movement)睡眠時には、金縛りが起きるという。

脳との通信を遮断され脳からの指令が筋肉までに届かず体がまひして動かない状態となるから、頭が起きていて目が覚めたのに動こうとしても体が動かないのだ。

 

さて、脳科学を専門的に勉強しなくても、謎が深い脳の世界を知っておきたいものです。

前頭葉、側頭葉、後頭葉などの脳葉から、海馬、視床下部、扁桃体などの大脳辺縁系等の脳のしくみと役割、脳につながる目、鼻、耳などからつながる脳神経類、長期記憶や短期記憶、非陳述記憶、ADHD(多動性障害)やパーキンソン病、うつ病などの脳の病気まで。

子供向けの本なので分かり易い言葉で書かれてあります。

これらを知るために基本を押さえ必要な範囲で知りたい内容が上手く網羅されています。

もちろん、大人が読んでも十分に勉強になります。

 

脳の世界を垣間見ることで、日々雑多な毎日を過ごしている自分自身の行動を見つめ直す機会につながるのではないかと思っています。

 

 <目次>

はじめに 

頭がぐるぐるする話―1日目 めくるめく脳の世界へようこそ

頭がぐるぐるする話―2日目 頭の中には何がある?

頭がぐるぐるする話―3日目 脳工場

頭がぐるぐるする話―4日目 動物界の脳

頭がぐるぐるする話―5日目 聞く・見る・嗅ぐ 全部、脳でする

頭がぐるぐるする話―6日目 敏感なこころ

頭がぐるぐるする話―7日目 脳の発達:胎児から高齢者まで

頭がぐるぐるする話―8日目 やわらかい脳:記憶と学習

頭がぐるぐるする話―9日目 コードのからまり

頭がぐるぐるする話―10日目 ぐぅぐぅぐぅ起きていることからこわい夢まで

頭がぐるぐるする話―11日目 未来の脳

さくいん

 

No.649】世界一ゆかいな脳科学講義 頭の中をぐるぐるめぐる11日間 河出書房新社(2020/10

歴史家の小和田哲男さんは、戦国時代の歴史研究の第一人者。

著書は多数あり、歴史番組の出演も多いのでよく拝見しています。

NHKで現在放映中の大河ドラマ「麒麟がくる」を含め、時代考証を七度も務めておられます(ちなみに「麒麟」は令和3年2月7日まで放映されるとのことです)。

 

時代考証には、出演者のセリフや言葉遣いを戦国時代に実際に使われていたものか、名前の改名が多かった時代にその年月にはその名前が実際に使われていたのか、呼ばれていたのか等々その時代の史実に基づき、詳細に検証し大河ドラマをさらにリアルに反映させる玄人も唸るような重要な役割なのです。

 

著者講演会は、実際に同じ空間にいて、生の雄姿を近くで見えて直接会えるのが楽しい。

小和田さんの表情や声色、仕草などの非言語情報を得て、歴史をさらに深く理解できる愉しみがあります。また著書に直接サインがもらえるのも参加のメリットです。

 

明智光秀は、本能寺の変で主君織田信長を討った人物として、また大河ドラマの主人公になるくらいに昔から人気があります。

また、出自に謎が多い武将です。

将軍足利義昭の近習であったのは古文書に書かれてあります。

小和田さんによると、享禄元年1528年(岐阜県可児市瀬田)明智城生まれ。父は、光綱。土岐氏の流れをくむ人物だそうです。

 

さて、光秀は、本能寺の変のとき、55歳でした。

本能寺の変の真相は、従来怨恨(パワハラ)説や野望説、朝廷などの黒幕説などがあったが、信長が部下の斎藤利三や四国の覇者長宗我部元親との約束を反古したことで「四国問題説」の支持者が現在は多いと言います。

光秀単独犯説や主犯存在説、黒幕存在説など、それぞれに歴史家が主張している五十もの説があります。

 

小和田先生の説は、

「暴君誅伐説」-正親町天皇への侮辱や現職太政大臣の近衛前久への暴言、天皇から信任が厚かった国師号をもつ快川紹喜の焼殺など、織田信長の非道を阻止することが狙いだったのではないかと書状を根拠にしながら話しておられました。

 

歴史は、勝者側が作るものと言われています。

勝った側があとで都合がよいように言えるからです。

負けた側や中立の立場で書かれた日記などが出てきたら根拠がかわるかもしれません。

今までの通説であった軍記物や歌舞伎で演じられた怨恨説ではなく、信長の非道を阻止する意味だったのかと聞くとその説もありなのかと勉強になりました。

伝え聞いた話やこうであったらよいという想像ではなく、書状、日記などの証拠から、また新たな真実を発見して、歴史を事実で判断していってほしいと思います。

 

これからの大河ドラマを見るのが楽しみです。

前作の「むかしむかしあるところに死体がありました」では、日本の昔話をベースにしたものでしたが、今回は、西洋童話をベースにしたミステリーです。

 

赤ずきんちゃんが旅の途中で童話の登場人(動物)物、魔女、シンデレラ、ヘンゼルとグレーテル、眠り姫のオーロラ姫、オオカミ、マッチ売りの少女らと出会い事件を解決していくのです。

 

全ての章で赤ずきんちゃんが行く先々で次々と事件に出くわします。

そこで赤ずきんちゃんが推理を駆使して謎解きをしていきます。

ベースとなる基本的な原作のあらすじはそうなのですが、段々と不穏な空気になっていって、それぞれの世界観ならではのトリックを用いて犯行が行われます。

赤ずきんちゃんの聡明さもさることながら、人間の欲望が描かれ内容がブラックです。

最後の章では、赤ずきんちゃんがどうして旅をしているのか理由が明らかになります。

彼女のおばあちゃんの死が関係していました。

 

こんなミステリーがあったのか!と興奮気味な盛り上がり方が凄くて最後は一気読みでした。

赤ずきんちゃんの行動は華麗でスッキリ感もあり終わりには切なさもありました。

スポーツ界で活躍している、日本国民に夢と希望と感動を与えた3人のトップアスリートたちの名言を取り上げます。

 

業界で一番になるなど技を極めた人やオリンピックなど世界競技で金メダルを取った人など、何か物凄いことを成し遂げた方々の発言は重みがあってこころに響きます。

目標を達成し困難を克服しているからこそ、彼らの言葉には説得力があります。

成し遂げるまでの過程や得られた結果から日本人魂を熱く震え立たせてくれます。

 

彼らの言霊から、各人が大切な意味を受け取ってそれぞれが解釈して、私たちの人生の重要な場面で役に立てることができると思うのです。

 

羽生弓弦さん(フィギュアスケート選手)

立ちはだかる壁や課題はいっぱいあるが、それを乗り越えたら、絶対その上が見えてくると思った。

 

伊藤美誠さん(女子卓球選手)

相手選手への応援も自分の応援に聞こえますし、会場の雰囲気がアウェーであればあるほど燃えます。

 

松井秀喜さん(元プロ野球選手)

「広く深い心」と「強く動じない心」。

すなわち「不動心」を持った人間でありたい。

 

 <目次>

はじめに 

羽生結弦ほか49人

おわりに 

 

1949年宮城県生まれ。広告業界を退いて旅に関するエッセイや小説などを執筆。著書に「パラダイス・マリ」「空飛ぶ微生物ハンター」「いつ?どこで?ビジュアル版巨大地震のしくみ」など。

親しい友人関係においても当てはまるのでしょうが、夫婦生活での円満のヒントのようなものを教えてくれています。

斎藤茂太さん。通称モタさんの言葉は、心にやさしく響いてきます。

総じて言えば、人生を上手く過ごしていく上での虎の巻というか秘訣を諭してくれているようなものです。

 

彼は、精神科医としてたくさんの患者さんに接して対応してきたことや、精神科医で歌人の父・斎藤茂吉さんの文筆家としての気構え・姿勢や奥さまのマネージャ的内助の功があった、家族など周りのみんなの支え合いや助け合いを得ながら生きてきたことがよくわかります。

 

「空気のような存在」の意味は、ぼくも同様にわかります。

夫から見た妻のことを、特に指しているのではないかなと思います。

当たり前な存在は、実はとてもありがたいことなのです。

 

12P 夫婦は空気のような存在?

ふだんはありがたみがわからないのですが、いなくなっては困る。とても困る。空気がなくなったら死んでしまいますから。そのくらい大事です。

家には「空気のような存在の人」がいて、いっしょにいるとそれだけで心が安らぐ。緊張もとれて、リラックスできる。

「空気のような存在」というのは、息をしやすい、自分に合った空気を与えてくれる人、と解釈してもいいだろう。

空気というのは、普段はそれがあってもありがたく思わない。ところが、もし空気がなくなってしまったらたいへんなことになる。そこで、ようやく空気というもののありがたさがわかる。

 

夫婦はもともと他人でした。

生活習慣や環境が違う他人同士が一緒に暮らしていくと、何かしら考えや意見が合わないことはあります。

ご縁があって夫婦となったのなら、一緒に楽しく暮らしていきたいものです。

妻に不満の全ては言わないことです。

一旦言葉を飲み込むときも必要です。

相手のプライドを傷つけてはいけないのです。

また、モタさんから、腹が立っても紙か手帳に書くとかして吐き出すことだそうです。さらに相手に手紙を出すこと、トイレに入って用を足すというのもありました。

しばらく時間が経つと気持ちはだんだん収まってきますから。上手にやっていくために少々の我慢や多少の気遣いもありでしょうか。

相手の方も同様にそう思っているのではないでしょうか。

 

69P これをいったらおしまい、夫婦ゲンカ禁句集

・親に似てだらしないなど、相手の両親の批判

・ハゲ、デブなど、相手の肉体の欠点をつく悪口

・甲斐性がない、生活無能力者など、相手の自尊心を傷つけるような言葉

 

96P 不満はワンクッションおいたほうがいい

夫婦もつかず離れずの距離を保ったほうがいい。

生活を共にしている夫婦だからこそ、相手に不満を直情的に訴えるのではなく、ワンクッションおいてから、それとなく相手に知らせる方法をとるのがよいのではないかと思う。

 

101P 「ごめんなさい」が言えない人は、「ありがとう」を

仲直りの方法は、謝るかわりに、何かにつけて「ありがとう」ということだ。

 

 <目次>

第1章 妻中心の家族がいい(夫婦は空気のような存在?、空気のような存在、わが家の場合 ほか)

第2章 ケンカしたり、笑い合ったり(ケンカもできる仲だから長続きする、これをいったらおしまい、夫婦ゲンカ禁句集 ほか)

第3章 幸せを感じられる結婚がいい(あえて結婚をすすめたい、結婚しても幸せになれない? ほか)

第4章 夫婦が「ほんもの」になるとき(本当の夫婦になるには十年かかる、夫婦にいちばん大切な「思いやり」 ほか)

 

1916年、東京生まれ。歌人で精神科医の斎藤茂吉の長男。精神科医、随筆家。悩める現代人の「心の安らぎコンサルタント」として、また、日本旅行作家協会会長、日本ペンクラブ名誉会長など多方面で活躍。2006年11月逝去。

少年犯罪や罪と罰について問いかけ続ける著者が、贖罪のあり方を問うている長編でした。

飲酒運転で老女をひき逃げした大学生で主人公の籬翔太。

轢いたのは犬か猫かと思った、信号は青だったと真実を隠しながら裁判を受け約5年の実刑に服した。

出所後、罪に苛まれながらも元に戻らないよう周りの誘惑を避けて懸命に生きる主人公に感情移入してしまう。

加害者の翔太。彼の恋人の栗山綾香。被害者の夫の法輪二三久。その息子の法輪昌輝。

それぞれの視点で、物語が進むうち不気味に加害者の翔太に迫るのが被害者の夫の二三久だ。

認知症を発症しながらも、裁判の録音を息子に頼んだり、探偵に加害者の居所を調べさせ加害者と同じアパートに住むなど、加害者を追い求める目的は何なのか。

ミステリータッチの展開でページを繰る手が止まらず一気に読み終えた。

終幕での加害者の翔太と被害者の夫の二三久との会話によって、「告解」という題名が持つ深い意味がわかった。

読後の満足感と温かな余韻が残った。

 

 <目次>

プロローグ

第一章

第二章

第三章

エピローグ

 

1969年兵庫県生まれ。2005年に「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年に『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞“短編部門”を受賞