【No.653】汚れた手をそこで拭かないで 芦沢 央 文藝春秋(2020/09) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

例えば、「埋め合わせ」

平穏に夏休みを終えたい若い小学校教諭。

彼はプール清掃のため一旦排水バルブを開けたが、閉め忘れてしまい大量に水を流出させるミスをしてしまった。

これを素直に教頭に伝え謝りプールに水を入れる対応をすればよかった。

最初は小さなほころびだったが、蟻地獄のようにもがけばもがくほど深みにはまり修復可能でないところまでいってしまった。

正しいことをしていればよかったと思う。

誤りは誤り。

間違いは修正しようとしても間違いのままだ。

よけいなことをすると傷口が広がってしまうという教訓を感じ取った。

 

あの日、あの時、あの場所で正当なやり方を選んでいたならよかったということがある。

選んだのは短絡的で自己中心的でその場しのぎの選択を取ったことがあった。

当たり前の方法を選ばなかったために引き起こされた最悪事態の数々を。

自業自得の極みなのかなと思った。

 

 <目次>

ただ、運が悪かっただけ    

埋め合わせ  

忘却  

お蔵入り    

ミモザ  

 

1984年東京都生まれ。出版社勤務を経て、「罪の余白」で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。ほかの著書に「許されようとは思いません」「火のないところに煙は」など。