朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -127ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

ざああああっ、ざああああっ、ざああああっ。

ぐし、ぐし、ぐし、ぐし。

ぎりっ、ぎりっ、ぎりっ。

どんっ。

ごとん。

 

蒲田のメッキ加工工場に勤める神足友哉が住んでいる寮は、安普請で壁は薄く防音効果がほとんどない。

例えば、ドアの開け閉めで隣の部屋に帰宅したことや外出することがわかるくらいに。

隣室から聞こえてくる物体を水で流しているような音。

切断しているような不気味な音。

返り血を浴びながら死体を解体しているのか!

真偽はわからないが神足は気になって仕方がない。

いつも丑三つ時に聞こえてくる。

彼はまんじりともせず朝を迎える。

これは近所迷惑を通り越して、殺人的な睡眠妨害だった。

 

時を同じくして近隣で女性と思われる死体の一部が発見された。

この事件を知った神足は、隣人の技能実習生、徐に強い疑惑を持ち始める。この徐は不気味で怖くて気持ちが悪いキャラだった。

自らの危険を感じながらも警察に頼ることができない神足の状況に、ぼくはハラハラドキドキさせられ、読む手はもちろん止まらなくなってしまった。

隣はシリアルキラー!?

まさにホラーミステリーだ。

終わりには、中山七里さんおきまりのどんでん返しがあった。

 

 <目次>

一 寺の隣に鬼が棲む

二 隣の疝気を頭痛に痛む

三 隣の餅も食ってみよ

四 隣の貧乏鴨の味

五 汝の隣人を愛せよ

 

1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて宝島社『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し2010年に同作で作家デビュー。音楽を題材にした岬洋介シリーズのほか、時事問題をテーマとした社会派小説まで幅広くてがける。『連続殺人鬼カエル男』『アポロンの嘲笑』『TAS 特別師弟捜査員』『護られなかった者たちへ』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』など著書多数。

小学生の僕・佐土原くん。

彼の同級生に水谷くんがいる。

運動会に出たくないときや弟が迷子になった場合など何か問題があったら、水谷くんに相談すると的確なアドバイスや問題を上手く解決してくれる。

こうだから周りから名探偵ならぬ神さまと呼ばれている。

彼の謎解きは的を射ているから同級生から都合よく頼りにされる。

 

この水谷くんは、所詮まだ小学生で性格も頭脳も成長途中なのだ。

大人のように様々な人生を経験し物事をまだ分かっているわけでないのにそんな風な立ち振る舞いをして解決までの導きをしてしまう。

友だちに頼りにされて彼が抱えざるを得ない責任の軽重を想うと、そんなに彼に背負わせないでと、大人に任せてみたらどうかと周りの同級生たちに言いたくなる。

また、同じクラスの川上さんからの家庭の相談は、貧困やDV等他の事例よりも荷が軽くなく、誰かの人生を背負い過ぎるのは責任が重すぎると思った。

水谷くんは、頼り甲斐があり頼られる子どもだ。

けれども、水谷くんに対して、相談内容を見て乗りすぎないでと、あまり問題を抱え込まないでというようなお節介焼きをしたくなった。

244P

僕は、ようやく気づく。

誰かの謎に挑み、解決策を提示することは、誰かの人生を背負うということになるのだと。

その人の人生に関わり、結果に対して責任を負う。

批判も、後悔も、葛藤も、全部一身に受け止める。

 

 

 <目次>

第一話 春の作り方

第二話 夏の「自由」研究

第三話 作戦会議は秋の秘密

第四話 冬に真実は伝えない

エピローグ 春休みの答え合わせ

 

 

1984年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。17年『許されようとは思いません』が第38回吉川英治文学新人賞の、19年『火のないところに煙は』が本屋大賞、第32回山本周五郎賞の候補になった。

fishy」とは、怪しい、いかがわしい、うさんくさいという意味。

作家志望のライターの美玖、共働きで女性誌の編集を続けている弓子、インテリアデザイナーのユリ(胡桃)。このバリバリに働いている3人のキャリアウーマン的女性が主人公だ。

 

彼女らが集まると、ギスギスした関係なのにお酒を飲みながら悩みを聞いたり聞いてもらったりとお互いにストレス発散しているように見えてしまう。

彼女たちは心の奥底にある本音は絶対に決して言わない。お互いに自分の方が上で自分の方が幸せだって思っている。

 

僕から見ると不愉快極まりない仲間だと思えるけれども、誰かが悩んでいる時に集まって上辺だけの付き合いを続けている。

二人だけでは続かない、三人だから続くようなバランス関係があるのかなと。

いつまでこんな関係が続くのか。

いつ壊れてもおかしくない関係性。

似た者同志。

女性たちの意地やメンツの張り合いがあるからこそ、続いている付き合いなのかなと。

 

 

 <目次>

fishy

red bully

stupidly

madly

secretly

 

1983年東京都生まれ。2003年『蛇にピアス』ですばる文学賞を受賞しデビュー。翌年に同作で芥川賞、10年『TRIP TRAP』で織田作之助賞、12年『マザーズ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、20年『アタラクシア』で渡辺淳一文学賞を受賞

脳科学者・認知科学者の中野信子さんの自叙伝です。

現在から過去へと遡っていくスタイルで自己紹介しています。

テレビ番組で脳科学者として活躍されていますが、彼女は、他の人とは違って何かしらミステリアスな独特な雰囲気の人であるように感じていました。

対外に伝えるためのコミュニケーション的な能力が高くないと言われていますが、どの著書にもエビデンスや説得力、そもそも筆力があって、そんなことはなく相当な高さにあると思います。

 

明るい光が当たっていてそう感じていた面は、彼女の一つの顔であったのかもしれないと。

143P

本書ですでに語ってきたように、人間は思っているほど一貫しているわけでもなく、一つの顔しかもっていないわけでもない。

 

231P わたしはモザイク状の多面体である 優美な屍骸

わたしというのは、優美な屍骸のようなゲームで作られた、モザイク状の多面体のようなものなのではないか。これは私だけではなく、すべての人に当てはまるものだと思う。光の当て方によって人格はさまざまな色に変化し、見え方も形も変わっていく。部分の組み合わせ方の妙で、意外と側面が見え隠れするとき、それとの出会いが新しい楽しみにもなる。

 

中野さんが言われように、人にはいろいろな面があります。

他人からはネガティブかポジティブかどちらかに比重を置いて見える傾向があります。

その現れて出てくる頻度が多いとそのように見えるのではないでしょうか。

176-177P

ネガティブな思考には独特の中毒性がないだろうか。ポジティブなことばかり考えていると、その閉塞感に苛まれ、自分が世間に対して向けているこの皮一枚をめちゃくちゃに掻き破ってしまいたくはならないだろうか。

私はすくなくとも、ポジティブな思考だけでできている人を見ると、あまりに不自然で、息が詰まるように感じ、苦しくなってきてしまう。その人が押し殺して自分自身にすら見せない澱が、その人の中に溜まっているのを、表情や言葉の端々から透かして見ることができてしまうと、もう悲しくなって、目をそらさずにはいられなくなってしまう。

 

中野さんから嬉しい意見があり。

僕も同感です。

学びたいときがその適齢期だと思います。

いつでも早くはないし、いつからでも遅くはないと思っています。

新しいものやことを知る楽しさがあり、学べることの喜びを仲間たち分かち合えると、さらに脳から快楽物質が分泌されてやりたくなります。

192-193P 勉強したいと思った時が適齢期

たとえば外国語を学ぶのでも、様々な日本語の語彙やコミュニケーションのイロハを知ってからの方が、生きた言語を修得しやすいだろう。その習得スピードは文法から四角四面に教わった若い時代よりも格段に速いだろう。

これはどんな分野にも言える。大人になって、たくさんの経験をベースにしたうえで勉強することで、学生時代には思いもよらなかったような景色が見えてくる瞬間がある。学ぶ喜びはどんな喜びにも勝る。

もちろん、若いころに比べたら、少し記憶力が衰えたな、処理が重いな、と感じられることもあるだろう。若い頃よりたくさんのデータを処理しているわけだから、それは多少は仕方がない。けれど学生時代と比べ、無駄なまわり道を避けて、要領よく大事なことだけをピックアップし、全体像を把握して効率よく学ぶことができるようにもなっているはずだ。

受験勉強でも、純粋に自分の世界が広がっていくことが、ただただ楽しかった。

別に勉強をしなくてもさほど問題なく生きてはいける。けれど、新しい場所に行くことや、新しいものに触れること、新しい人に出会うことを、楽しみだと思わない人は少ないのではないだろうか。自分の中にはなかった何かを取り入れようとするとき、私たちの脳は喜びを感じるように作られている。そして、健全な競争があるとき、その楽しみはより強くなり、学習の速度も上がるように感じられ、この爽快感はたまらないものだ。

 

ご本人にお会いする前にこの本を読んでおいてよかったと思います。

ぼくは、下の心はありませんし、ハラスメントもしたいともまったく思っていません。

本を書かれた中野さんにお会いし単純に対話を愉しみ純粋に本を読んだ感想を話したいだけですから。

236P 認知のワクチン

なぜなら、たいていの人たちの目的は、私がどんな人間か知って安心したいということだけだからだ。そうでなければ仕事を持ってくるはず。

そんなわけで、自分がどんな人間かを本という形にまとめておくことにした。というのも本書の目的の一つである。そうすれば、私に、会いたい、という人には「これを買って読め」で済む。本書を読んでもいないのに会いたい、というのならば、それは本当に私に会いたいということではない、もしくはセクハラにつながる下心からのことだと判断できるから、無視してもよい。

 

 <目次>

はじめに わたしは存在しない

1章 サイコマジック―2020

2章 脳と人間について思うこと―災害と日本 2010~2019

3章 さなぎの日々―塔の住人はみな旅人である 2000~2009

4章 終末思想の誘惑―近代の終わり 1990~1999

5章 砂時計―1975~1989

おわりに わたしモザイク状の多面体である

 

 

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授

黒川さんが発見された人類の感性演算方式、すなわち脳の感性モデルには二つの個性ある。

女性に多いという「プロセス指向共感型」と、反対に男性には「ゴール指向問題解決型」が内在されている。使いどころによって男女バランスよくそれらが両方に顕著に顕れるといわれる。

 

誰が何を言おうとこれが好きというほどのこだわりを持って物凄く集中するマニアのような特異能力があったならば面白いときを過ごせるだろう。

そんな人がいたらちょっと近づいて話をしてみたい。

マニア力の極意を知りたいと思う人はいるはず。僕を含めて。

181P マニア力を育てる決め手

マニア力は、好奇心を呼び、好奇心は人生を楽しむ原動力となる。人工知能の時代、「人生を楽しむこと」が人間の仕事なのだとしたら、マニア力は必須である。

184P「人口知能に仕事を奪われますか」

人間の若い人たちは、どんなことでもいいから夢中になってみてほしい。コンビニスイーツマニアとかでもいい。一つのことを究極までに見つめる癖をつけたら、きっと他の対象にも展開できるから。

 

トリセツシリーズは、よく手にする。

この「人間のトリセツ」は、黒川さんの集大成だと思う。

それぞれで述べられている重要な点が、人工知能に向けた手紙という形式のなかで要約され紹介されていた。

内容が重りマンネリ化しているという指摘もあるようだけれど、女性的な脳を語ることは男性的な脳との比較をすることであって、人間を語ることが、当然ながら二つの性である男女を語ることに繋がるので、重要な点が何度でも繰り返し語られるのはやむを得ないことだと思う。

 

 <目次>

はじめに

第1章 人生は完璧である必要がない(千本目のバラ、ドラマ以前のドラマがあるはず ほか)

第2章 人工知能がけっして手に入れられないもの(世界初の日本語対話型AI、好奇心が抑えきれない ほか)

第3章 人工知能にもジェンダー問題がある(男女の対話は目的が違う、違うのは脳のチューニング ほか)

第4章 人工知能への4つの質問(時代の亀裂、人間に残される、最後の仕事 ほか)

おわりに 人間の読者の方へ

参考文献

 

1959年長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。(株)富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて人工知能(AI)の研究開発に従事した後、コンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年(株)感性リサーチ設立、代表取締役に就任。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発、マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。人工知能研究を礎に、脳科学コメンテーター、感性アナリスト、随筆家としても活躍。

コロナ禍は、まだ当分の間続きそうです。

天然痘やコレラ、インフルエンザなどのパンデミックの歴史や海外の先例から学んで行えることは?優先順位が高い政策とは?経済の維持とともに人の命を守るために大切なことは?国民のために何が大事なのか?大局感を持って判断するとどうすれば?……。

政府の分科会の意見を踏まえた場合やそうでない場合でも、政策がなにかしら後手、後手に回っているかのように感じられます。

いずれにおいても、政治家は強いリーダーシップを取って、先手を取って実行に移してほしいと思う国民がいるのではないかなと思います。

58-59P 非常事態、命を救うリーダーが必要

「“冷戦の枠”を超えて、子どもの命を救おう」

「平常時、守らなければならぬ一線を越えて行う非常対策の責任はすべて私にある」と、彼(池田勇人内閣厚生大臣古井喜美)は述べています。「平常時ならばソ連とは一線を引かねばならない」という政治姿勢を認めながら「非常事態のときには」やらなければならないこともある」と古井喜美は考えたのです。

この大英断を受けて、全国1300万人の子どもに「経口生ポリオワクチン」が投与され、ポリオは沈静化しました。

「オンコロナ」から「アフターコロナ」へと状況を転換させていくためにも、こういうリーダーシップをもった政治家にぜひ登場してもらいたいものです。

 

例えば、織田信長が浅倉氏と戦った金ヶ崎の戦い。義弟の浅井の裏切りを察知して見事な撤退戦を演じた「名誉ある撤退」。

決定した政策に対して状況が変化することがあります。

常に前に進むだけではなく、現状を把握して将来に向けて止めるか止めないかと考えて行動することが、人任せにしないこと、諦めないことに対するまず始まりの動きだと思います。

142P 「他人まかせ」はやめて、自分で考えてみる

東京オリンピックも、僕たちがビヨンドコロナを生きていくうえで必要なのか?すでに膨大な資金を投入しているので、「中止はもったいない」という意見もあります。しかし、オリンピック招致に動いた5年前が現在のような状態だったら、日本はオリンピックを招致したでしょうか?冷静になって、もう一度考えるべきです。

誰かが決めたことだから、僕たちは諦めることが多かった。「本当にそれでいいの?」と、疑問をつぶやき始めることが大切な第一歩です。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 On Corona―価値観が大転換する時代の始まり(価値大転換の時代がやってきた いまこそ「なりたい自分」に変わる好機、「不確実な時代」は急がずにゆっくり立ち直っていけばいいのです ほか)

第2章 With Corona―無常の世界は「なりたい自分」に変わるチャンス(世の中も人生も無常 だから誰もが変われるチャンスと考えよう、大切なのは、「禍分」に気持ちが負けないこと 他人が不幸だと思っても本人がそう思わなければ乗り越えられる ほか)

第3章 After Corona―不透明な明日を切り開く生き方(「諦めること」が時には大事です 「断念すること」で初めて次に進めるのです、弱いけど、強い生き物、それが人間 大変だけど、おもしろい世界へ向かって… ほか)

第4章 Beyond Corona―コロナを超えて「新しい人間」を目指す(コロナ禍の教訓を「新しい世界」の糧にしよう、スローライフもいいけれど「スルーライフ」は必殺技 ほか)

おわりに 

 

1948年、東京生まれ。医師・作家・諏訪中央病院名誉院長。東京医科歯科大学医学部卒業。1988年に諏訪中央病院院長、2005年より名誉院長に就任。地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネット代表。06年、読売国際協力賞、11年、日本放送協会放送文化賞を受賞

 

【No.658】それでも、幸せになれる「価値大転換時代」の乗りこえ方 鎌田 實 清流出版(2020/09)

タイムマシーンがあったなら!

現在、過去、未来、どこにでも移動できる機械で自由に旅をすることができたら。例えば、重要な場面に出くわせたら面白いだろうなあ。

もし人の心を読むテレパシーという技術を使うことができたなら。友達の本当の気持ちを知ることができたら。念力で物を動かすことができたら……等々。頭の中でぐるぐると途轍もないことを想像していました。

荒唐無稽で突拍子もなく科学的に証明できないことに対して、非常に興味津々であった青春時代がありました。

 

眉村卓さんの代表作、ねらわれた学園やなぞの転校生のほかショートショートなど彼の本を次々と読ませていただきました。

眉村ワールドに十二分に浸ってあれこれと空想しながら、SF世界の面白さを知ったのでした。

 

今回の作品も普段と異なる不思議な世界へと誘ってくれました。

日本SF第一世代として活躍した眉村さんが晩年の病床で書き紡いでいた遺作です。

これが彼の最後の作品だと思うと寂しい限りです。

 

終わりは、朦朧とした意識のなかでの消え入るような描き方でとても切ないのです。

無理やり意識を現実に引き戻そうとする強い意志が感じられて心が動かされる部分でした。

 

246P

松原権兵衛は言った。

「このことだけは忘れないでください。かりにあなたが死んでも、生きているときの感覚を保持していればいいんです。意識だけが残っているなんて、周囲の人々にはわからないでしょう。そうです。あなたはいきつづけていいのです。いよいよになってもあなたの生命力はつづくのです。もちろんそれはこの世界この宇宙ではなくて、われわれの宇宙と重なった別の宇宙ですがね。でも人間ではなくても別の生命体をつづけるのは確かです。そして生物の生命力というものはずっとつづいていきます。当人が生きる意欲を失わない限りは」

 

1934年10月20日大阪府生まれ。57年大阪大学卒業。会社勤務のかたわらSF同人誌「宇宙塵」に参加。61年、「SFマガジン」第1回SFコンテストで「下級アイデアマン」が佳作入選しデビュー。63年に処女長編『燃える傾斜』を刊行し、コピーライターを経て65年より専業作家に。71年から発表し始めた司政官シリーズの長編第一作『消滅の光輪』で79年に第7回泉鏡花賞と第10回星雲賞、96年に『引き潮のとき』で第27回星雲賞を再び受賞。2019年11月3日逝去。2020年に第40回日本SF大賞功績賞受賞

人と会う時は常に相手を大切に思い、それを相手に確実に感じてもらうための言葉や態度を工夫すべき、と著者がおっしゃっておられます。

自分がされたときは気づきやすくて、自分が誰かにしてしまったときは気づきにくいこととは、「失礼な言動」なのです。

これをはっきりと自分自身の心から気づいてしっかりと矯正して、人との付き合いをより豊かにさらに楽しくする「本当の礼儀正しさ」を手にするための本です。

 

さて、著者講演会前には、近著か題目に関する著書を読んで参加しています。また著書を持参して機会があればサインをいただくほか一緒に写真が取れるように心の準備をしています。

既に読んでいる話は分かりやすく関連した話も理解しやすいのです。著者の思考の展開を知っていると面白くて時間を有意義に楽しめるのです。

またすぐに質問ができるように何個か事前に考えておきます。さらに講演を聞きながら疑問になった箇所や詳細など聞きたい点があればメモを取ってすぐに質問できるようにしています。

参加する前から、参加しているとき、そして終わってからも参加して良かったと思えるような姿勢で著者講演会にのぞんでいます。

146P 質問は長いほど非常識

質問を短く簡潔にするだけで、周囲の人への配慮はあなたをより知的に見せて、「後で、あの人と話してみたい」と周囲の人から声をかけてもらえるチャンスへと繋がることもあるのです!

 

相手の立場になって考える、面倒がることをちょっとでもやることが次のチャンスにつながるのです。

164-165P「コンビニがあるビルが目印です」はNG

「二軒のコンビニエンスストアが並んでいますが、弊社はセブンイレブンが入っているほうのビルでございます。当日は。お気をつけてお越しください」などと具体的な一言をプラスするだけで、親切さが際立つのです。

それによって「相手の立場で丁寧な説明をする人」「人が面倒がることをやってくれる人」と思われ、普通にしか説明しない人たちのグループから頭が一つ抜きん出ることができるのです。

その結果、「あの人は丁寧だ」といった印象から、「ぜひともお付き合いを続けたい人」という、一段上のステージへと近づけるはずです。

そんなふうに細かいところに気がつき、役立つ情報を丁寧に伝えられる人は、多少難しい依頼でも聞いてもらえるほどの信頼関係を相手と築けるチャンスを作り出せます。

 

配慮、気遣い、思いやりなど、相手の立場になって考えて、失礼のないよう行動あるのみ!

192P

気が利く人と、気が利かない人の差は何なのかといえば、ずばり「相手のことを想像して的確に動けるか」というシンプルな違いにすぎません。

決して難しいことではなく、「自分が相手の立場だったら、どう思うか」という自問自答ができればよいのです。

ですから、もっと気が利く人になりたいと思ったら、行動を起こす前に、まずは相手の立場になって状況をイメージするところから始めるとよいでしょう。

 

 <目次>

まえがき 

第1章 ひんぱんに遭遇する「失礼な言動」(「疲れて見える」と本人に伝えるな、気軽に「適度な運動を」というな、「かわいそう」は上から目線 ほか)

第2章 失礼な人ほど「自分は正しい」と思っている(「だから」は不快感を与える言葉、お客様を「さん」づけで呼ぶな、場所を選ばず、プライベートな質問をするな ほか)

第3章 礼儀正しい人は無敵である(「後ろの人」に気を遣えるか、「コンビニがあるビルが目印です」はNG、「先の先」を読んで声をかけられる人 ほか)

あとがき

 

イメージコンサルタント。プレゼンテーション、コミュニケーションをメインにしたコンサルティングを行うほか、「体感して学ぶ」というオリジナルのメソッドで企業向け研修や講演活動を全国で実施。また「ストレスフリー」をコンセプトにした化粧品、ファッションアイテムなどを扱う『PURA Tokyo』を立ち上げ、会社を経営。著書に「「選ばれる女性」のシンプルな習慣40」など。

ゴミ拾いの研究結果から、多くの報酬をもらうとやる気が低下するという。

報酬がよいと嫌なことをさせられることを経験的に感じるためにかえってやる気や創造力が減退することを。

反対に報酬が少ないときは、金額がわずかでも一生懸命やったことでこれは楽しいと脳が勘違いしてしまう。この脳の働きを知って実行できればと思います。

140-141P

人をやる気にさせるのに効果的なのは、その仕事自体が「やりがい」があり、素晴らしいものだとくり返し伝え続けることと、「思いがけない小さなプレゼント」です。予測される報酬ではなく気まぐれに与えられること、しかも少額であることが重要です。多額のものでは、せっかく醸成されたその人のやる気が失われてしまいかねません。

 

子どもの教育で、褒めて伸ばす方法を最近よく聞こえてきます。

褒め方が非常に大切であり、成功した結果を褒めてしまうのは危険です。

頭がいいと褒められた子どもは、また褒められるために失敗したくないので新しいことにチャレンジをしなくなり、褒められたいためにウソをつく割合が多くなるという。

また成功報酬を多く与えると課題の満足感がなくなってしまう。

褒めるときには頑張った過程を褒めるのです。

あえて報酬が少ない方が課題を楽しめるというところが特に納得した箇所でした。

168P

素質をただ無条件に褒められた子が挑戦を厭うようになる一方で、努力や工夫を褒められた子どもは、困難を喜んで受け入れ、自分の失敗をむしろ学びと考える傾向が高くなったという結果から単純に導き出せるのは、「その人の努力や工夫に焦点を当てて褒めていこう」という原理です。

 

ご長寿の方々に共通する性格として、良心的であり、慎重であり、注意深くあり、調子に乗らないことがあります。

真面目で悲観的な性格なのです。

この性格が、実は本人の命を守るための必要な性質だったことを知りました。

203-204P 日本人は「不安」を力に変える

宗教性が人間にもたらす知覚体験は、それなしでは生き残ってこられなかった「ネガティブな未来に対する不安」から私たちを絶妙な精度で開放し、遠い未来や手の届かない過去を認識させることによって逆説的に、“今”と“ここ”に私たちの目を向けさせ、生きる力を与えてくれるものだということができます。

これは観念の遊戯というよりも、もっと実際的に活かされるべき知見と言えます。長期的な視座に立ち、「ネガティブな未来を感じる力」こそが、あらゆる不測事態に対する準備を私たちにさせて、より生き延びる確度を上げる能力と同じものだということを、多くの人は感覚的に知っているでしょう。

すでに述べているように、不安傾向の高い人のほうが長命を維持する割合が高く、健康でいられるという研究結果も知られています。

苦痛を忘れて芸術の快楽や知の遊戯に溺れるなどということではなく、不安によるストレスを和らげつつも鋭く未来を見据える力を一定の水準に保ち、冷静に力強く対処する―その工夫のためのツールとして活用できるものを積極的に思考の中に取り入れることが、「弱み」を、生き延びる強さに変える生き方を構築する助けになります。

 

 

 <目次>

はじめに 

 

第1章 犯人は脳の中にいる―空気が人生に与える影響とは?(“カミカゼ遺伝子”は脳内に現代も息づいているか、日本人はなぜ「醜くても勝つ」より「美しく負ける」を好むのか、ブランドを身に着けると、なぜ「人生で得をしがち」なのか、日本人は富裕層になれても大富豪にはなれない?、不倫もバッシングも脳や遺伝子に操られているのか?)

 

第2章 容姿や性へのペナルティ―呪いに縛られない生き方(女性の容姿への「残酷な心理実験」が映し出す現実社会、女という「呪われた」性で「婚活」に苦しむ日本人女性、レールを敷く親―子どもを蝕む「毒親」とは?、同性愛の科学―“生産性”をめぐる議論に寄せて)

 

第3章 「褒める」は危険―日本人の才能を伸ばす方法とは?(失敗を恐れる脳―日本人はなぜ「挑戦」しなくなったのか、なぜ報酬がいいとやる気や創造力が減退してしまうのか、「すぐに返信しない男」と「既読スルーを我慢できない女」、「超一流」が育ちにくい時代に才能を伸ばす脳の育て方とは?、20代までも成長し続ける脳が味わう試練と、その助け方)

 

第4章 「幸福度が低い」わけがある―脳の多様すぎる生存戦略(日本人の脳をつくったのは、環境か遺伝子か?、「弱み」は人間の生存戦略上なくてはならない)

 

おわりに

 

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会に生じる事象を科学の視点をとおして明快に解説し、多くの支持を得ている。現在、東日本国際大学教授。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中

山笑う、山粧う、山眠るというような擬人化のほか、草いきれ、花野、春隣、黄昏、虫時雨、星月夜、朧月、淡雪、風花などの名は体を表すような素晴らしい大和言葉があります。

このような訓読みは、情景が目に浮かぶよい響きです。

古くから使われている日本固有の大和言葉は、日本人の歴史や文化などの叡智が組み込まれていると思います。

 

例えば、努力、精励、尽力よりも「努める」「励む」「力を尽くす」を使うほうが柔らかい印象を与えて、奥ゆかしい人柄や人間の深みが感じさせられます。

本来の言葉の意味を知ることによって、無意識で過ごしてきた春夏秋冬の変化に敏感になり生活に潤いや彩りが出てきます。

より豊かな生活を見出して人生を楽しめるようになるものと思います。

 

挿入されている写真は、色とりどりで華がありあでやかです。

まるで自分がそこで見ているかのようにして、本物の景色に吸い込まれるようにこころが癒されました。

 <目次>

はじめに 

徒桜

麗らか

朧月

陽炎

のどか

初蝶

東風

山笑う

猫の恋 ほか

おわりに

著者プロフィール・参考文献

フォトグラファー一覧

 

国語教師。NHK Eテレ「テストの花道 ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語に関わる仕事多数。航空会社などで言葉遣いや文章術の研修も担当する。著書『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(エイ出版社)など。東京大学教養学部卒。