ゴミ拾いの研究結果から、多くの報酬をもらうとやる気が低下するという。
報酬がよいと嫌なことをさせられることを経験的に感じるためにかえってやる気や創造力が減退することを。
反対に報酬が少ないときは、金額がわずかでも一生懸命やったことでこれは楽しいと脳が勘違いしてしまう。この脳の働きを知って実行できればと思います。
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人をやる気にさせるのに効果的なのは、その仕事自体が「やりがい」があり、素晴らしいものだとくり返し伝え続けることと、「思いがけない小さなプレゼント」です。予測される報酬ではなく気まぐれに与えられること、しかも少額であることが重要です。多額のものでは、せっかく醸成されたその人のやる気が失われてしまいかねません。
子どもの教育で、褒めて伸ばす方法を最近よく聞こえてきます。
褒め方が非常に大切であり、成功した結果を褒めてしまうのは危険です。
頭がいいと褒められた子どもは、また褒められるために失敗したくないので新しいことにチャレンジをしなくなり、褒められたいためにウソをつく割合が多くなるという。
また成功報酬を多く与えると課題の満足感がなくなってしまう。
褒めるときには頑張った過程を褒めるのです。
あえて報酬が少ない方が課題を楽しめるというところが特に納得した箇所でした。
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素質をただ無条件に褒められた子が挑戦を厭うようになる一方で、努力や工夫を褒められた子どもは、困難を喜んで受け入れ、自分の失敗をむしろ学びと考える傾向が高くなったという結果から単純に導き出せるのは、「その人の努力や工夫に焦点を当てて褒めていこう」という原理です。
ご長寿の方々に共通する性格として、良心的であり、慎重であり、注意深くあり、調子に乗らないことがあります。
真面目で悲観的な性格なのです。
この性格が、実は本人の命を守るための必要な性質だったことを知りました。
203-204P 日本人は「不安」を力に変える
宗教性が人間にもたらす知覚体験は、それなしでは生き残ってこられなかった「ネガティブな未来に対する不安」から私たちを絶妙な精度で開放し、遠い未来や手の届かない過去を認識させることによって逆説的に、“今”と“ここ”に私たちの目を向けさせ、生きる力を与えてくれるものだということができます。
これは観念の遊戯というよりも、もっと実際的に活かされるべき知見と言えます。長期的な視座に立ち、「ネガティブな未来を感じる力」こそが、あらゆる不測事態に対する準備を私たちにさせて、より生き延びる確度を上げる能力と同じものだということを、多くの人は感覚的に知っているでしょう。
すでに述べているように、不安傾向の高い人のほうが長命を維持する割合が高く、健康でいられるという研究結果も知られています。
苦痛を忘れて芸術の快楽や知の遊戯に溺れるなどということではなく、不安によるストレスを和らげつつも鋭く未来を見据える力を一定の水準に保ち、冷静に力強く対処する―その工夫のためのツールとして活用できるものを積極的に思考の中に取り入れることが、「弱み」を、生き延びる強さに変える生き方を構築する助けになります。
<目次>
はじめに
第1章 犯人は脳の中にいる―空気が人生に与える影響とは?(“カミカゼ遺伝子”は脳内に現代も息づいているか、日本人はなぜ「醜くても勝つ」より「美しく負ける」を好むのか、ブランドを身に着けると、なぜ「人生で得をしがち」なのか、日本人は富裕層になれても大富豪にはなれない?、不倫もバッシングも脳や遺伝子に操られているのか?)
第2章 容姿や性へのペナルティ―呪いに縛られない生き方(女性の容姿への「残酷な心理実験」が映し出す現実社会、女という「呪われた」性で「婚活」に苦しむ日本人女性、レールを敷く親―子どもを蝕む「毒親」とは?、同性愛の科学―“生産性”をめぐる議論に寄せて)
第3章 「褒める」は危険―日本人の才能を伸ばす方法とは?(失敗を恐れる脳―日本人はなぜ「挑戦」しなくなったのか、なぜ報酬がいいとやる気や創造力が減退してしまうのか、「すぐに返信しない男」と「既読スルーを我慢できない女」、「超一流」が育ちにくい時代に才能を伸ばす脳の育て方とは?、20代までも成長し続ける脳が味わう試練と、その助け方)
第4章 「幸福度が低い」わけがある―脳の多様すぎる生存戦略(日本人の脳をつくったのは、環境か遺伝子か?、「弱み」は人間の生存戦略上なくてはならない)
おわりに
1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに、人間社会に生じる事象を科学の視点をとおして明快に解説し、多くの支持を得ている。現在、東日本国際大学教授。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中
