【No.660】ペルソナ 脳に潜む闇 中野信子 講談社(2020/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

脳科学者・認知科学者の中野信子さんの自叙伝です。

現在から過去へと遡っていくスタイルで自己紹介しています。

テレビ番組で脳科学者として活躍されていますが、彼女は、他の人とは違って何かしらミステリアスな独特な雰囲気の人であるように感じていました。

対外に伝えるためのコミュニケーション的な能力が高くないと言われていますが、どの著書にもエビデンスや説得力、そもそも筆力があって、そんなことはなく相当な高さにあると思います。

 

明るい光が当たっていてそう感じていた面は、彼女の一つの顔であったのかもしれないと。

143P

本書ですでに語ってきたように、人間は思っているほど一貫しているわけでもなく、一つの顔しかもっていないわけでもない。

 

231P わたしはモザイク状の多面体である 優美な屍骸

わたしというのは、優美な屍骸のようなゲームで作られた、モザイク状の多面体のようなものなのではないか。これは私だけではなく、すべての人に当てはまるものだと思う。光の当て方によって人格はさまざまな色に変化し、見え方も形も変わっていく。部分の組み合わせ方の妙で、意外と側面が見え隠れするとき、それとの出会いが新しい楽しみにもなる。

 

中野さんが言われように、人にはいろいろな面があります。

他人からはネガティブかポジティブかどちらかに比重を置いて見える傾向があります。

その現れて出てくる頻度が多いとそのように見えるのではないでしょうか。

176-177P

ネガティブな思考には独特の中毒性がないだろうか。ポジティブなことばかり考えていると、その閉塞感に苛まれ、自分が世間に対して向けているこの皮一枚をめちゃくちゃに掻き破ってしまいたくはならないだろうか。

私はすくなくとも、ポジティブな思考だけでできている人を見ると、あまりに不自然で、息が詰まるように感じ、苦しくなってきてしまう。その人が押し殺して自分自身にすら見せない澱が、その人の中に溜まっているのを、表情や言葉の端々から透かして見ることができてしまうと、もう悲しくなって、目をそらさずにはいられなくなってしまう。

 

中野さんから嬉しい意見があり。

僕も同感です。

学びたいときがその適齢期だと思います。

いつでも早くはないし、いつからでも遅くはないと思っています。

新しいものやことを知る楽しさがあり、学べることの喜びを仲間たち分かち合えると、さらに脳から快楽物質が分泌されてやりたくなります。

192-193P 勉強したいと思った時が適齢期

たとえば外国語を学ぶのでも、様々な日本語の語彙やコミュニケーションのイロハを知ってからの方が、生きた言語を修得しやすいだろう。その習得スピードは文法から四角四面に教わった若い時代よりも格段に速いだろう。

これはどんな分野にも言える。大人になって、たくさんの経験をベースにしたうえで勉強することで、学生時代には思いもよらなかったような景色が見えてくる瞬間がある。学ぶ喜びはどんな喜びにも勝る。

もちろん、若いころに比べたら、少し記憶力が衰えたな、処理が重いな、と感じられることもあるだろう。若い頃よりたくさんのデータを処理しているわけだから、それは多少は仕方がない。けれど学生時代と比べ、無駄なまわり道を避けて、要領よく大事なことだけをピックアップし、全体像を把握して効率よく学ぶことができるようにもなっているはずだ。

受験勉強でも、純粋に自分の世界が広がっていくことが、ただただ楽しかった。

別に勉強をしなくてもさほど問題なく生きてはいける。けれど、新しい場所に行くことや、新しいものに触れること、新しい人に出会うことを、楽しみだと思わない人は少ないのではないだろうか。自分の中にはなかった何かを取り入れようとするとき、私たちの脳は喜びを感じるように作られている。そして、健全な競争があるとき、その楽しみはより強くなり、学習の速度も上がるように感じられ、この爽快感はたまらないものだ。

 

ご本人にお会いする前にこの本を読んでおいてよかったと思います。

ぼくは、下の心はありませんし、ハラスメントもしたいともまったく思っていません。

本を書かれた中野さんにお会いし単純に対話を愉しみ純粋に本を読んだ感想を話したいだけですから。

236P 認知のワクチン

なぜなら、たいていの人たちの目的は、私がどんな人間か知って安心したいということだけだからだ。そうでなければ仕事を持ってくるはず。

そんなわけで、自分がどんな人間かを本という形にまとめておくことにした。というのも本書の目的の一つである。そうすれば、私に、会いたい、という人には「これを買って読め」で済む。本書を読んでもいないのに会いたい、というのならば、それは本当に私に会いたいということではない、もしくはセクハラにつながる下心からのことだと判断できるから、無視してもよい。

 

 <目次>

はじめに わたしは存在しない

1章 サイコマジック―2020

2章 脳と人間について思うこと―災害と日本 2010~2019

3章 さなぎの日々―塔の住人はみな旅人である 2000~2009

4章 終末思想の誘惑―近代の終わり 1990~1999

5章 砂時計―1975~1989

おわりに わたしモザイク状の多面体である

 

 

1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士。認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務後、帰国。現在、東日本国際大学教授