小学生の僕・佐土原くん。
彼の同級生に水谷くんがいる。
運動会に出たくないときや弟が迷子になった場合など何か問題があったら、水谷くんに相談すると的確なアドバイスや問題を上手く解決してくれる。
こうだから周りから名探偵ならぬ神さまと呼ばれている。
彼の謎解きは的を射ているから同級生から都合よく頼りにされる。
この水谷くんは、所詮まだ小学生で性格も頭脳も成長途中なのだ。
大人のように様々な人生を経験し物事をまだ分かっているわけでないのにそんな風な立ち振る舞いをして解決までの導きをしてしまう。
友だちに頼りにされて彼が抱えざるを得ない責任の軽重を想うと、そんなに彼に背負わせないでと、大人に任せてみたらどうかと周りの同級生たちに言いたくなる。
また、同じクラスの川上さんからの家庭の相談は、貧困やDV等他の事例よりも荷が軽くなく、誰かの人生を背負い過ぎるのは責任が重すぎると思った。
水谷くんは、頼り甲斐があり頼られる子どもだ。
けれども、水谷くんに対して、相談内容を見て乗りすぎないでと、あまり問題を抱え込まないでというようなお節介焼きをしたくなった。
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僕は、ようやく気づく。
誰かの謎に挑み、解決策を提示することは、誰かの人生を背負うということになるのだと。
その人の人生に関わり、結果に対して責任を負う。
批判も、後悔も、葛藤も、全部一身に受け止める。
<目次>
第一話 春の作り方
第二話 夏の「自由」研究
第三話 作戦会議は秋の秘密
第四話 冬に真実は伝えない
エピローグ 春休みの答え合わせ
1984年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。17年『許されようとは思いません』が第38回吉川英治文学新人賞の、19年『火のないところに煙は』が本屋大賞、第32回山本周五郎賞の候補になった。
