ぐし、ぐし、ぐし、ぐし。
ぎりっ、ぎりっ、ぎりっ。
どんっ。
ごとん。
蒲田のメッキ加工工場に勤める神足友哉が住んでいる寮は、安普請で壁は薄く防音効果がほとんどない。
例えば、ドアの開け閉めで隣の部屋に帰宅したことや外出することがわかるくらいに。
隣室から聞こえてくる物体を水で流しているような音。
切断しているような不気味な音。
返り血を浴びながら死体を解体しているのか!
真偽はわからないが神足は気になって仕方がない。
いつも丑三つ時に聞こえてくる。
彼はまんじりともせず朝を迎える。
これは近所迷惑を通り越して、殺人的な睡眠妨害だった。
時を同じくして近隣で女性と思われる死体の一部が発見された。
この事件を知った神足は、隣人の技能実習生、徐に強い疑惑を持ち始める。この徐は不気味で怖くて気持ちが悪いキャラだった。
自らの危険を感じながらも警察に頼ることができない神足の状況に、ぼくはハラハラドキドキさせられ、読む手はもちろん止まらなくなってしまった。
隣はシリアルキラー!?
まさにホラーミステリーだ。
終わりには、中山七里さんおきまりのどんでん返しがあった。
<目次>
一 寺の隣に鬼が棲む
二 隣の疝気を頭痛に痛む
三 隣の餅も食ってみよ
四 隣の貧乏鴨の味
五 汝の隣人を愛せよ
1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて宝島社『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し2010年に同作で作家デビュー。音楽を題材にした岬洋介シリーズのほか、時事問題をテーマとした社会派小説まで幅広くてがける。『連続殺人鬼カエル男』『アポロンの嘲笑』『TAS 特別師弟捜査員』『護られなかった者たちへ』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』など著書多数。
