社会的な問題として空き家は他人事ではありません。
これからも少子超高齢社会なので、空き家問題は、誰にでも起こり得ることではないでしょうか。
タレントの松本明子さんは1966年生まれです。彼女の実家じまいの顛末が書かれた本でした。
「墓じまい」は、いまあるお墓を解体・撤去して更地にしその使用権をお寺さんなど墓地の管理者に返還することです。その一方、「改葬」は新たに別の場所にお墓を移す、お墓の引っ越しのことです。改葬は、遺骨を移転し新たな場所で供養することになります。
空き家になった彼女の実家の維持費に25年間で約1800万円かかっていたのです。それにもかかわらず、売却時の初回査定額は約200万円で、実際には約600万円で売却されました。いったいなぜこんな風になってしまったのかを知りたかったのです
173P 実家じまいは法事や神事を節目に考える人が多い
仏教なら三回忌(満2年)や七回忌(満6年)、神道なら三年祭(満三年)や五年祭(満五年)が済むまでは、そのままにされる人が多い。
節目にしまう人が多いのは参考になりました。
いつかは片付けなければならないと思いつつ、ついつい先延ばしにしてしまいますから。
松本さんの貴重な体験からつらく大変なお気持ちがわかるようになってきました。不安もありましたが少し解消してちょっとだけ実家じまいへの心構えや想定問答ができあがってきたと思います。
55P 親が元気なうちに実家の話をする
実家の先々のことを話せせるようでないと、後々、家財や遺品の整理も難しくなります。実家には子どもたちが想像する以上に物が溢れています。
私たちの親の世代は、とにかく物を持ちたがる。捨てようとしない。使いもしない何十年も前の結婚式の引き出物とか、お葬式の香典返しとか、「それ、残しておいてどうするの?」という物が山ほどありました。
それらが手付かずのまま残っていたら、いざ実家じまいをする時、冗談ではなく、死ぬほど整理に苦労するはずです。若いうちはまだいいのです。親の年を心配する頃にはコドモだって40~50代です。だんだん体力が落ちてきますから、溢れる物と格闘するのも大変になるのです。とにかくキツイ。実際に経験したので間違いありません。
それを避けるためには、親は元気なうちに、、少しでもいいので、物を整理できるようにすること。ただし、現実にはこれが難しい。大抵の親は、物の整理に抵抗するからです。「少しは片づけようよ」などと言おうものなら、すぐにへそを曲げる。
でも、親であれば、誰だって子どもに迷惑をかけたくないと思っているもの。こんなに荷物を残して親が亡くなったら、あとで子どもが大変なんだよね、ということを、上手に話して理解してもらうのが、結局は一番いいのかなと思います。
<目次>
第1章 「空き家」ってこんなにお金がかかるとは!(空き家の維持に25年、かけた費用は1800万円!父の思いに揺れた実家じまい、ついた売り値は600万円 ほか)
第2章 教えて専門家の人!実家の「空き家問題」はどうすればいいですか?(実家の空き家問題とは何か?「負動産」にしないための実家の空き家対策 ほか)
第3章 教えて専門家の人!思い出の品はどうしたらいいですか?(遺品整理を上手に進めるコツ、生前整理は「終活」の考え方を取り入れるとうまくいく ほか)
第4章 教えて専門家の人!先祖のお墓をどうしたらいいですか?(墓じまいはどうやればいいの?、引っ越し先のお墓や供養はどうするの?)
おわりに
1966年生まれ。香川県出身。82年に日本テレビ「スター誕生!」チャンピオン大会に合格したことがきっかけで、翌年、歌手デビュー。その後、元祖バラドルとして人気バラエティー番組「DAISUKI!」「進め!電波少年」(日本テレビ系)などに出演し、明るく親しみやすいキャラクターで人気を確立する。現在は、バラエティー番組の他、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動中。こうした活躍の裏で、25年にわたり累計約1800万円を費やして高松市にある空き家となった実家を維持する日々を送っていたが、放置された空き家の危険性や物だらけの実家の問題などを取り上げたテレビ番組に出演する中で、実家じまいを決意。2018年に実家の売却と2トントラックで10回分の遺品整理を行なった。近年は、自身のしくじり経験をもとに、実家じまいの重要性をメディアで発信している。
【No1522】実家じまい終わらせました!大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方 松本明子 祥伝社(2022/06)