【No1828】財務省亡国論 髙橋洋一 あさ出版(2024/12) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

経済理論として根拠となる図表をたくさん使ってわかりやすく説明がなされていました。

久しぶりにマクロ経済学らしく講義を受けた感がありました。

 

森永卓郎さんは、財務省をザイム真理教と言っていましたが、これが財務省の本当の姿なのか。

7P

財務省は「スキあらば増税したい」人たちの集まりで、本心からは財政再建や経済成長のことなど考えていない。

増税で予算が膨らむことで各省庁に予算を増やす恩恵を与え、見返りとして天下りを認めさせる。

我々の血税を利用して自らの権力を強化し、結果として国民の利益を損ない、日本の未来を奪うようなことを平気な顔をしてやっている。

 

3P「財務省の中では『髙橋洋一を3度殺しても、殺し足りない』と言われている」

え?殺すということは、「社会的に抹殺する、復活できないほど貶められる」と。

理由は?

財務省OBの髙橋氏は、財務省の一番痛いところを突いているという。

自らの権益を何が何でも守りたい財務省にとっては、「隠し通したいことを白日の下しさらす」とんでもない裏切者だからだ。

 

日本には、国債の借金に見合う十分な資産があるという!

271P 倹約をよしとすると借金は悪

莫大な借金があることそのものではなく、借金を返せるだけの資産がなかったことだ。

つまり、借金に見合うだけの資産がある限り、実はどれほど借金が積み重なってもかまわないと言っても過言ではない。

国債にもいえる。

マスコミも財務省も、なぜか「日本政府が国債をこんなに発行している」「また増えた」と騒いでいるが、これは企業や個人の借金の額だけを見て騒いでいるようなものだ。だが、当然ながら国は負債もあれば資産もある。国債発行だけを見て問題視するのは、経済プロであれば決してしない、一面的な見方なのである。

 

国債の金利はそう簡単に上がっていない。

単純な話として今の時点では国債の発行は心配ないものなのか。髙橋さんの説に分があると感じてしまいましたが。

277P 国債発行残高はGDP200%を心配しなくていい理由

もし国債が多く発行されすぎていると民間金融機関が判断したら国債は買われなくなり、そうなれば国債の金利がどんどん上がる。需要と供給の関係で、買いたい人が少ない場合は、買い手より有利な状況をつけなくてはいけないからだ。

でも、国債の金利は低いまま取引されている。言い換えれば、これは民間金融機関が国債をまだまだ欲しがっているということだ。つまり、国債は発行されすぎではないのである。

金利は上昇しないという現状を見れば、現時点での国債発行残高には何も問題ないということがすぐにわかるのだ。

借金というのは、必ず誰かの資産になる。国債は政府の借金だが、貸している民間金融機関にとっては資産である。民間金融機関は国債という資産を買って、利子収入を得ているのである。

今ほど低金利では利ザヤで儲けるというほど大きな額はならない。しかし、わずかでも収入を生む資産であることには違いない。

しかも、国債は金融市場の「コメ」だ。だから金融機関は、金利が低くても国債を買い続ける。借金とはどこまで行っても、借りる側と貸す側の二者関係の話だ。買し手が喜んで貸している間は金利が低いままだが、「なんだか危ないからもう貸したくない」という貸し手が増えれば金利が上がる。

国債の金利が低いまま取引されているから、「発行され過ぎ」というロジックが成り立たない。やはり単純な話なのである。

 

 

これって本当なのか?

ウソなのか?

世間で言われていることをただ言っているのか。

一般の常識を伝えているのか。

バズレばいいのか。

面白おかしく言っているのか……等々。

 

最終的には、賛成、反対、中庸などのいろいろな人の意見を聞いたうえで、各自で物事を判断していければよいのではないか思います。

 

 <目次>

はじめに

1章 大義名分にゴマかされるな!財務省のエゴとは?

2章 財務省の口車に乗らないために知っておきたい経済の基礎知識

3章 日本をわざと経済成長させない財務省

4章 親玉「財務省」子分「日銀」―その本当の関係とは?

5章 「金利」からも見えてくる!財務省の大好きな増税は「意味不明」で「愚かな策」

6章 何が何でも増税したい!「財務省のウソ」

7章 「円安で儲かる」は世界の常識。でも財務省は動かない

8章 「国債がまた増えた!」と騒ぐウラにある財務省の思惑とは?

 

 

髙橋洋一さん

1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)等を歴任。戦後日本における経済の最重要問題といわれる、「不良債権処理」の陣頭指揮をとり、不良債権償却の「大魔王」のあだ名を頂戴した。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍。現在嘉悦大学経営経済学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長