農業の現状と課題から、農が大切などいろいろな意見を聞いて良いことも悪いことも想定していかなければいけない。
コメの価格高騰の影響もあり、食料問題に注目している。日本全体の食料自給率が諸外国と比較しなくてもとても低いことや、自国だけでは食べ物を決して賄えていないことは以前から気になっていたところだ。
247P「農は国の本なり」
いざというときに国民の命を守るのを「国防」というなら、「農業・農村を守り、食料を守ること」こそが一番の国防だ。
農林水産業は、国民の命、環境・資源、地域、国土・国境を守る安全保障の柱、国民国家存立のかなめである。
諸外国での戦争、食料の大量買い付け、世界的な異常気象による不作の状況下、もしもの有事での当事者を想定すると、例えば、穀物生産国が自国を優先としたら、お金の多寡の問題ではなくなる。海外から食料をたやすく輸入できるのかどうか!生きていくためには食べていかなければいけない。飢餓からの負の連鎖が起こる!?基本的に当たり前にできることができなくなる。どうなるのかと考えると……。
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「いつでもお金を出せば安く輸入できる」時代が終わった今こそ、国民の食料は国内でまかなうはずなのに、食料自給率の向上が不可欠で、投入すべき安全保障コストの最優先課題のはずなのに、食料自給率向上に予算を掛けるのは非効率だ、輸入すればよい、という論理は、危機認識力と国民の命を守る視点の欠如だ。
<目次>
はじめに
第一章 今、何が求められているのか
第二章 なぜ、自給率を重視せず「有事立法」なのか
第三章 今だけ、金だけ、自分だけの農業がもたらすもの
第四章 腰砕けの価格転嫁誘導策
第五章 多様な農業経営体からの後退
第六章 牛は水道の蛇口ではない
第七章 田んぼ「潰し」に七五〇億円
第八章 種をいかに守っていくか
第九章 農を守ることこそ真の国防
緊急レポート 令和の米騒動(コメ不足は猛暑のせいではない!~農家を苦しめる政策が根本原因、「オレンジ・牛肉ショック」の深層~貿易自由化と消費者選択)
おわりに
鈴木宣弘さん
東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・名誉教授。1958年生まれ。三重県志摩市出身。東京大学農学部卒。農林水産省に15年ほど勤務した後、学界へ転じる。九州大学農学部助教授、九州大学大学院農学研究院教授などを経て、2006年9月から東京大学教授、2024年から現職。1998年~2010年夏期はコーネル大学客員助教授、教授
