坂東眞理子さんの品格シリーズにこれが一つ加わりました。
祖父母としての役目・役割です。
娘や息子とは違ったある程度の距離感を持って、孫と親しく接する秘訣が書かれてあるのかな。
転ばぬ先の杖として、いつか役に立つことがあろうかとの思いで読み終えました。
次の世代には、祖父母の背中をそっと見せる。
語りでは恩着せがましくせずに、自分の生き方や知恵をさりげなく授けるようにして。
孫と向き合う上で大事なのは、「釣った魚を与えるより、魚の釣り方を教えること」です。孫に残すべきはお金や物ではなく、「無形資産」です。自分たちの「生き方」や、「生活の知恵」を授けましょう。人間として何が大事か、心を込めて伝えるのです。
201P
祖父母は長い人生を生きて初めてわかったこと、気がついたこと、人生を生きて行く上で不可欠な知恵を伝えることができます。さらに人間として欠かせない基本的な倫理やマナーを教えることによって、孫をまともな大人になるのを助けることができます。それが結果として、社会の次の世代の資質を向上させ、新しい文化を開いていけるのではないかと期待しています。
不易と流行。令和の孫育てに昭和の常識は通用しないとは言いながら、時代が変遷しても変わらない普遍性があります。また新しく変化していくことにも合わせていく器量が必要です。
25P
不易と流行を見分けることは、生きていく上で不可欠です。いつの時代でも人間として大事にしなしなければならない普遍的なことと、その時々で流行し目新しく魅力的に見えることとを見分ける重要性を伝えるのも、祖父の役目です。
いままでもこれからも、課題に取り組む態度と知的好奇心が大切かと。
93P AI時代に必要な能力
大事なのは、課題を見つける能力です。変だなとか面白い、かわいそうだなと豊かな感情を持ち、困ってる人に自分ごととして共感し、ほかの人が直面している課題を解決するにはどうしようと考える人が必要とされるはずです。
そのために孫がなぜと質問したら丁寧に答え、自分でも答えがわからなかったらどうしてだろう、こうかな、ああかなと考える時間を持つことです。これは忙しい親には期待できない役割です。余計なことを考えないで勉強しなさいという教育方針のもとで子供が成長すると、AI時代には通用しない単純人間になってしまいます。
必要なのは、スキルや知識ではありません。課題に取り組む態度や知的好奇心など、心の持ち方です。
<目次>
はじめに
第1章 祖父母の心得(孫の存在を全面的に肯定する、祖父母は伝えることを諦めない ほか)
第2章 孫に伝えるべきもの(仕事と人生を語る、子どもに我慢を教える ほか)
第3章 年齢別・孫との向き合い方(乳児期(0~1歳)の孫との向き合い方、幼児期(2~5歳)の孫との向き合い方 ほか)
第4章 祖父母の「終活」―次世代に残すべきもの(老いてゆく自分を見せる、死にゆく前にできること ほか)
おわりに
坂東眞理子さん
1946年生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)に入府。埼玉県副知事・ブリスベン総領事・内閣府初代男女共同参画局長などを歴任。2004年から昭和女子大学教授。学長、理事長などを経て、2016年から総長を務める
