【428】 ゾンビ企業
ゾンビ企業とは、債務の利払いが数年にわたって滞り、経営実態が破綻状態にあるのに金融機関や政府などの支援によって存続し続けている企業のことです。つまり、借入金の利息の支払を本業の利益で行うことができず、資金援助や更なる借金で延命している企業を指します。 早い話が借金で食いつないでいる企業です。立ち直れるかどうかの見込み度は、利払い負担に対しどれだけ利益を稼いでいるかを示すICR(interest coverage ratio)でランク分けするのだそうです。この『ゾンビ企業』という言葉は、1990年代前半のバブル経済崩壊以降の『失われた数十年』を分析するに当たって経済の専門家が用いたのが始まりと言われています。バブル崩壊で、多額の不良債権を抱えた銀行が自行の破綻をとりあえず回避するために、再建の見込みがない企業に『追い貸し』して延命させ、損失の確定を先送りしたと言われています。その意味では、「ゾンビ企業は銀行によって作られた」とも言えます。その結果、一時的に企業倒産の件数は減りましたが、借金で首が回らず新店舗や新工場の建設はおろか設備投資もままならないゾンビ企業が増えたことで、日本経済全体の成長は著しく低下したと言われています。銀行自身のゾンビ化も政府から資本注入受けるだけでは収まらず、支店の統廃合、人員の削減、コンピュータシステムの統合などの荒療治が余儀なくされました。10行ほどあった都市銀行はメガバンクと呼ばれる3行に集約されてやっと落ち着きを取り戻しました。ただし、地方銀行は少子高齢化による過疎化のため、今後も統廃合が続くと見込まれています。健全な経済活動を望むなら、回復の見込みの低い企業は思い切って倒産させ、新たな出発の芽を育てるという『泣いて馬謖を斬る』勇気が必要なのでしょうね。