渋い Academy -4ページ目

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11Jan
- 【424】ショート
  暴風雨の中で電線から火花が発生する事故を見ることがあります。この現象を「ショートした！」と言うことが多いと思いますが、この場合の『ショート（short）』とは“Short circuit”の省略形でしょう。“Short”とはすでに日本語になっている『ショート』、つまり『短い』です。“Circuit”もすでに日本語になっていて、カーレースや模型自動車レースのグルグル回りの走行路でお馴染みの『サーキット』で、訳語は『回路』です。そして“Short circuit”の訳語は『短絡』で、意味は「通電すべき本来の電流路より短いショートパスで電流が流れてしまう」ことです。もちろん突然大電流が流れれば火花を発生することがありますが、“Short circuit”すなわち『短絡』は本来『火花』を意味する言葉ではありません。Short circuitで発生する火花は通常“Spark”と呼ばれます。Short circuitを“Short”と省略形で呼ぶことに抵抗を感じますが、発生した火花（スパーク）を『ショート』と呼ぶことにはもっと抵抗を感じています。なお本題から外れますが、折り返し区間のあるマラソンレースで、折り返し点の手前で、ズルをして往路から復路にバイパスしてしまうことも『短絡』と言えます。
08Jan
- 【423】憲法
  『憲法』というと、現代日本人は民主主義国家になった第二次世界大戦後の日本国憲法を連想すると思いますが、憲法は不文律（不文憲法）も含め、形態も内容も国家によって千差万別です。独裁国家にも『憲法』は存在します。『法』は人類が社会生活を営むようになった長い歴史の中で獲得した社会秩序を守るための精神文化であり、各種法律の基礎・土台となる部分の集大成が憲法であると思います。通常は国家という為政者が国民に課す法律群の中で最も基本的な法律を指します。私が認識している憲法の定義は「社会生活における秩序を維持するために国民が等しく守るべき、あるいは保障されるべき最低限の法規範」です。因みに、chatGPTによる憲法の定義を以下に無修正で載せますので、参考にしてください。憲法は、国家または政府の基本的な法律文書であり、その国の政治体制や法的枠組みを確立し、個人の権利と義務を規定する文書です。一般的に、憲法は次のような要素を含むことがあります：政府の組織と権限: 憲法は、政府の機関や権限の組織と範囲を定義し、立法府、行政府、司法府などの役割と責任を明示します。個人の権利と自由: 憲法は、市民や住民の基本的な権利と自由を保障し、これらの権利を侵害から守るための法的保護を提供します。例として、言論の自由、宗教の自由、プライバシー、平等などが挙げられます。政府の権力の制約: 憲法は政府の権力を制約し、権力の分立やバランスを確保する仕組みを提供します。これにより、権力の乱用を防ぎ、政府の権限が法の下で行使されることを保証します。憲法改正プロセス: 通常、憲法には憲法改正のプロセスが規定されており、憲法の変更が行われる際には一定の手続きが必要です。これは、憲法が時代と社会の変化に適応できるようにするためです。憲法の具体的な内容や形式は国によって異なりますが、基本的な目的は国家の統治を規定し、市民の権利を保護することです。憲法はその国の最高法律であり、その国の法体系全体に影響を与える重要な文書です。
04Jan
- 【422】政権交代を憂う
  政権交代の無い民主政治は実質的に独裁政治と大差ありません。政権交代を訴えている立憲民主党は、前回の参議院選挙で辛うじて最大野党のポジションを確保しましたが、とても満足できる結果ではなかったでしょうね。現在の立憲民主党の主要メンバーは2009年～2012年の旧民主党政権で中心的役割を果たしてきた人物がほとんどです。3人の首相が誕生し、ほぼ1年交代で3年間政権を担当して消滅しましたが、これが予定の進行だったとは思えません。政権を失ってから公式な反省も総括もないまま、旧民主党の残党が看板を掛け替えて再び政権交代を唱えているような体たらくぶりに見えます。他党との選挙協力で、一定の成果が得られたからといって、全国規模で同様の成果が得られるとは思えません。政権奪取のためには、他党との選挙協力より以上の『将来ビジョン』を示すことが必要でしょう。内閣不信任案を出すだけでは国民の信頼を得るのは難しいではないでしょうか。このままでは『時の自民党政府に反対しただけ』という印象の旧社会党と同じ運命を辿るような気がします。2大政党による政権交代の夢は遠のくばかりです。なお、民主党政権については以下を参照して下さい。【16】民主党政権（１）https://ameblo.jp/shibui-shibuo/entry-11037181512.html【17】民主党政権（２）https://ameblo.jp/shibui-shibuo/entry-11037818553.html【18】民主党政権（３）https://ameblo.jp/shibui-shibuo/entry-11038912544.html
30Dec
- 【421】生きるよすが
  『よすが』とは古くは「身寄り」「寄せるところ」「依す処」などとも言い、実際に身を寄せて安心して滞在できる所という意味だったようです。次第に、『頼りにする相手』や『つて』の意味が強くなり、相対的に宿泊の意味が薄れ、「心のよりどころ」「頼りになる手段」「足がかり」「手がかり」「寄る辺」「拠り所」「拠点」など、抽象的・精神的な支えの意味になったようです。また『よすが』は『縁』『因』『便』とも書き、「逆境」「苦難」「困難」に遭遇したとき、それに立ち向かう『勇気』『希望』『指針』を与えてくれる精神的支柱になる哲学、人生観、倫理観、信条、信念など、観念的な意味だったようです。現代版『生きるよすが』の最も代表的な意味は『拠り所』だと思われますが、『拠り所』は人それぞれの価値観によって「宗教や信仰」「家族や友人との絆」「社会的な関わり」「人生の目標」などさまざまです。私たちは『生きるよすが』という駆け込み寺的な『隠れ家』『すがる物』『助け船』があることによって、孤独感から解放され、困難な状況に陥ったとき、その逆境や苦難に立ち向かう勇気や希望を持って「前進すべき道」を発見できたり、心を落ち着けて「自己の存在意義を確認」したり、「自分の人生を肯定」できたりするのではないでしょうか。
25Dec
- 【420】馬が合わない
  そもそもは乗馬に関する言葉で、馬に嫌われたジョッキーが「あの馬とは相性が悪い」という意味で使ったのが始まりとされています。次第に相手が人間の場合にも相性や性格の不一致を示す言葉として比喩的に使われるようになりました。今では、特定の相手と考え方（価値観や人生観）やスタンスに大きな違いや隔たりがあって、コミュニケーションを交わしたり同席するのさえ避けたい場合に使います。「あいつとは馬が合わない」などと使いますが、相手に嫌われている場合にも、自分が相手を嫌っている場合にも使います。芸能界ではしばしば『共演NG』が話題になりますが、「気が合わない」「ソリが合わない」「相性が悪い」「ノリが違う」などと言うよりは多少婉曲的表現かな、でも同じ意味でしょうね。
21Dec
- 【419】おてんば
  漢字ではお転婆です。意味は、活発に行動する若い女性（女児、女の子、少女、小娘）ことです。お転婆娘と言うこともあります。しとやかさに欠け、男勝りで、周囲の批判やひんしゅくをものともせず、気おくれせずに、いたって元気よく活動する娘さんのことを揶揄する言葉です。まあ、ご本人は他人の意見を決して丸受けしないタイプでしょうね。跳ねっ返り、蓮っ葉、おちゃっぴい、おしゃま、フラッパーなど同義語が多く、現代では『お転婆』はあまり使われなくなってしまいました。語源は諸説あって定説はありませんが、「お婆さんが転ぶではない」と言われています。最も有力なのは、江戸時代、宿駅の『お伝馬』と呼ばれた馬は一般の駄賃馬よりも餌を十分与えられ、元気良く跳ね回ったので、それが由来という説だそうです。また、オランダ語のOntembaar（慣らすことのできない）からという説もあります。私見ですが、「阿婆擦れ女」の『婆』とか「じゃじゃ馬娘」の『馬』が関係しているように思えるのですが、如何でしょう？
17Dec
- 【418】丸投げと丸受け
  丸投げ：そもそもは、土木建設業界で、発注者から仕事を請け負った元受けが、手数料などを上乗せしてその仕事をそっくり下請に譲ることでした。そこから、本来なら自分で担当すべき仕事をそっくり他人に任せたり、押しつける場合にも使われるようになりました。丸受け：使用頻度の高い言葉ではありませんが、権力者の指示や命令に忠実に従うことで、『鵜呑み』とか『盲従』と同義です。親と子の場合とか、学校における教師と生徒の場合、丸受けする子供は「人の言うことを良く聴く素直な良い子」などと褒められることもありますが、目上の人の教えや忠告などを無批判に鵜呑みにする洗脳されやすいタイプは要注意です。いわゆる『特殊サギ』などでコロッと欺されるお年寄りは、子供の頃、大人の注意を良く聴く素直な良い子だったかも知れませんからね。各種団体や組織においてしばしば発生する決議案に『白紙委任』するという行為は、方針決定に参加する権利を自ら放棄する『丸投げ』行為であると同時に、組織上層部の役員・管理者の方針を『丸受け』する行為にもなります。『委任状』文化では、管理者側を過度に優利にして横暴にさせたり、被管理者側が過度に不利となる自殺行為になったりしないように気をつけたいものです。丸投げは『何かをそっくり誰かに受け渡す行為』で、丸受けは『何かを無批判に受け容れる性格』に起因する言葉なので、観点が異なりますが、どちらも良い意味としては丸受けできません！
13Dec
- 【417】えこひいき
  漢字では『依怙贔屓』と書き、『依怙』と『贔屓』を重ねた四字熟語として江戸時代初め頃から使われたと言われています。意味は自分の気に入った人や関わりのある人など特定の人の肩を持つことです。『依怙』は本来、「頼ること」「頼りにする人」の意味だったそうですが、次第に「頼りとする人を支援する」という意味でも使われるようになり、更には「気に入った方に肩入れして味方する」意味に使われるようになり、『不公平』の意味になったようです。『贔屓』は、もともと「ひき」と読み、そもそもの意味は「精力的に頑張る」「力一杯努力する」だそうです。『依怙』と一緒になって「精力的に応援する」から「気に入った人や物を特別に目をかけて引き立てる」ことになったようです。現代では「不公平な味方をする」という意味合いが強くなっていますね。贔屓し過ぎて、かえってその人を不利にする「贔屓の引き倒し」のようなこともありますから程ほどにしたいですね。
08Dec
- 【416】レトリック
  日本語では『修辞法』と訳されますが、『修辞学』、『美辞学』ということもあり、弁論の技術を指す『巧言』、『説得力』、『弁舌の才』などとほぼ同義です。詩人や小説家など文学関係者だけでなく、一般のミュニケーションの場においても、話し手側が、美辞麗句、比喩、誇張、反語、倒置などの言葉や表現法を駆使して聞き手を説得したり、納得させるためのテクニックです。巧妙な詐欺師が勧誘法として好んで使うスキルにもなっています。古来、日本語の修辞法は、枕詞、対句、懸詞、縁語、序詞、駄洒落などとして発達しました。海外では、説得力やスピーチの表現能力として評価される場合が多く、プレゼンテーションのスキルアップのトレーニング法として発達したそうです。特に政治家の名演説が数多く残されていますが、あれはレトリックに長けた優秀なスピーチライターに依るところが大きいと言われています。しかし、今後はChatGPTと鎬を削る戦いが勃発しそうですね。
03Dec
- 【415】たかがメモ、されどメモ
  会議や面談の際に書き記したメモを数日後に見直して、「これなんだっけ？」となったことはありませんか？走り書きのいたずら書きレベルのメモは、自分で書いた字なのに読むのさえも大変なことがあります。何のことだったか思い出せず、まったく役に立たないメモ。これでは、ただ単にゴミを作っただけでしょうね。老婆心ながら、こんな下手なメモしか書けない人のために一推しの提案です。それは『理学書の目次』の書き方を参考にしたら良いと思います。本文の内容を横書きの箇条書きで、簡潔に表現していますから。手書きよりKeyinの方が速く、文字の醜美には無縁のZ世代でも、話の要点を要領よく纏めるために役立つと思います。後なって見直しても「これなんだっけ？」とならないメモが書けて、しかも会議や面談の時の情景までも蘇れば最高でしょうね。
30Nov
- 【414】あっという間に
  「『あっ』と言う間」の意味は「『あっ』と叫ぶ程度の短い時間の間に『何か』が起こる／起こった」ということで、ほとんどの人が一度や二度は使ったことがあるでしょう。今はなき神田沙也加さんのCMソング「アーストイレのスッキリ～♪」の替え歌の「あっという間にスッキリ～♪」が懐かしく思い出されます。https://www.youtube.com/watch?v=muhGvMRHFAgなお、外国人に教えるときは、ローマ字の“atto-iumani”ではなくて発音を重視して、格好良く“att-yeumani”が良いようですよ。
27Nov
- 【413】有事と無事
  まず文字を素直に解釈してみましょう。有事：何かが発生すること、何事かが起こること無事：何も発生しないこと、何事も起こらないことしかし、通常の使われ方は有事とは、何かが勃発すること、例えば『台湾有事』などで、これは文字の解釈とほぼ同じです。無事とは、良くない事態に遭遇したけれども、大事には至らなかった。例えば「無事に生還しました」などで、これは「有事はあったけれども、大事には至らなかった」とか「有事があったけれども、大きな損害は回避できた」ということであり、「何事も起こらない」という文字の解釈とは異なります。つまり『有事』と『無事』とは観点が異なっているのです。古来、掛け合いで、問う側が「○○なのに××とはこれいかに」という形式のお題を出し、答える側は「△△なのに□□と言うが如し」と答える『無理問答』という言葉遊びがあったそうですが、「何も無かった訳ではなく、有ったのに『無事』というのは、これ如何に？」「負けるのが嫌いなのに、『負けず嫌い』というがごとし。」お後が宜しいようで。
25Nov
- 【412】 J-アラート
  北朝鮮がロケットを打ち上げると、TVの全チャンネルがJ-アラートの特別放送一色になります。この特別放送はJ-アラートの警報が解除されるまで数時間に渡って継続されます。そして放送の間中、「外に出ないで、屋内で窓から離れて待機するように」というメッセージが繰り返し繰り返し何度も放送されます。『窓から離れて屋内で待機する』というのは国民の安全を守るための一つの方策かもしれませんが、どれだけの効果があるのでしょう。先の戦争で、「上陸してきた敵兵を竹槍で倒す」といった大本営の指導に似ているような・・・・迎撃システムPAC3が迎撃態勢を取っている映像を見せられることもありますが、我々庶民はマジでどうすれば身の安全を図れるのでしょう？https://news.yahoo.co.jp/pickup/6482511
22Nov
- 【411】馬の哀れ
  金沢競馬で、レース中に突然の停電で照明が消えて走路が真っ暗になり、3騎手が落馬し、馬1頭が安楽死処分となるという事故が発生しました。https://www.chunichi.co.jp/article/809438本来、馬は日の出ともに活動を開始し、日暮れとともに就寝するという健康優良児的な生活をおくっています。しかし、競走馬は『競馬』という極めて人間的なイベントのために、本来の生活サイクルから外されて、無理矢理夜間引き出されて人工照明の下で走らされることがあります。https://ameblo.jp/chiro-tsugu/entry-12688895519.htmlその挙げ句に、停電で安楽死とはまったく浮かばれませんね。
21Nov
- 【410】 SDG’s時代の料理
  近年、調味料の著しい発達により、料理は調理の過程で如何に味付けするかに力点が置かれ、その結果として、不味い素材であっても美味しくいただけるようになったと思います。食事は栄養があって美味しいことが一番ですから、私たちにとってそれで何の不都合もありませんが、でもやはりSDG’sに向けてその上を目指したい気がしています。「素材の味を活かす味付け」という言葉もありますが、「老舗から伝統のお店の味」、「先代から受け継がれたお店の味」とか「味がしっかりしみている」などは味付けの妙に対する褒め言葉であって、素材に対する褒め言葉ではありません。極論すれば、『料理とは調味料を駆使して素材の味を誤魔化す技術』なってしまったとは言えないでしょうか。コンポストを作るとき、調理前の食材屑だけで作ると良くできますが、食事の食べ残しが入ると良くできません。理由は多すぎる油と塩のせいと言われています。料理は、良い風味の食材のその味を活かして食事の形態を整えるものであってほしいと思っています。
12Nov
- 【409】白夜と極夜
  白夜（Midnight Sun）：太陽が地平線の下に完全に沈みきらず、または沈みきっても薄明状態が続き、真夜中の時間帯でも暗くならない現象のことを言います。北半球（北極圏）では6月の夏至前後に見られる現象で、場所によっては5～7月の2ヶ月間ずっと太陽が地平線の上にあって、夜のない所もあるようです。極夜（Polar Night）：太陽の全部または一部が一日中地平線の下にあって、昼間の時間帯でも薄明にしかならない現象のことを言います。北半球（北極圏）では12月の冬至前後に見られる現象で、場所によっては約2ヶ月間11時から13時の2時間ほど、うっすらと明るくなる程度の所もあるようです。白夜と極夜、正しくはどちらも太陽光の照射限界である66.6度より高緯度の北極圏や南極圏で起こる現象のことを言います。さて、『白夜』の対義語は『極夜』と言い、『黒夜』とは言いません。『極夜』の対義語は『白夜』と言い、『極昼』とは言いません。外来語の訳語ですから、この辺の不揃いは「勘弁して！」ということでしょうか。英語では、白夜のことは『白夜』の語源通り“white night”とも言いますが、“midnight sun”という方が一般的と言われています。極夜のことは『極夜』の語源通り“polar night”と言い、やはり“black night”は一般的ではないようです。
04Nov
- 【408】ターニングポイント
  日本語では『転換点』とか『潮目』と言われます。「子供は親を選べない」と言いますが、一生の間に自分で選べる大切なことは幾つかあります。小中高の進学先は無理としても、大学進学、就職先、結婚相手は自分で決められる人生のビッグイベントですよね。どこに住むか、どういう保険に加入するか、病気になった時どの病院にかかるか、どうゆう資産運用をするか、・・・・・人生は『選択』の連続です。やり直すことができない一回限りの人生で、良い人生を送るためには良い選択が不可欠です。一つの良い選択がターニングポイントとなって、それ以後ウハウハのトントン拍子なんてこともあります。人生の成功者は選択の成功者と言っても過言でないでしょう。しかし、『選択』はある意味『賭け』です。「失敗したらやり直せばよい」ことももちろんありますが、「傷つきたくない」のは人情です。それが最も強く表れるのが『投資』でしょう。日本人は安定志向の『貯蓄好き民族』といわれています。宝くじの『ハズレ』くらいは我慢できても、株式投資での『損』は我慢できないのでしょうね。ゴッドハンドと呼ばれる名医の手術を受けても助からないこともあれば、最新鋭の豪華客船で遭難することもあり、有名なリゾート地に別荘を建てたらハリケーンや火山で災害保険金を申請する羽目に陥ることもあります。選択で成功する王道はありません。やはり『賭け』ですね。
27Oct
- 【407】赤チン
  『赤チン』はマーキュロクロム（Mercurochrome ）液のことで、マーキュリー（mercury）つまり水銀の有機化合物を水とエタノールで2%程度に薄め、変質防止に炭酸ナトリウムを加えたものだそうです。正式名称は“Dibromo Hydroxy Mercurifluorescein”（以下DHMと略記する）です。ヨーチンに比べ刺激は弱く、殺菌力もあまり強くありませんが、家庭や学校では傷薬の常備薬で、怪我をすると『赤チン』で赤く塗られたものでした。ところが1955年頃から始まった高度経済成長期に公害が大きな問題となり、有機水銀による水質汚染・土壌汚染が社会問題となりました。熊本県水俣湾での『水俣病』、新潟県阿賀野川流域での『新潟水俣病』が発生したことから、1973年にはDHMなど有機水銀を含むほとんどの医薬品や農薬が日本国内での製造・使用が禁止となりました。1998年に米国でも食品医薬品局（FDA）から“not generally recognized as safe and effective”という表現で製造・販売が停止されたそうです。しかし当時は、「1918年に抗菌作用が発見されて以来、DHMによる水銀中毒の被害は全くと言っていいほど確認されていないのに、今頃になってなぜ？」と、製造・販売中止には反対もあったようです。蛇足ですが、『赤チン』以外に、消毒薬としてヨーチンや過酸化水素水（オキシフル、オキシドール）、アクリノールの水溶液（リバノール）なども使われましたが、1971年に山之内製薬から『マキロン』が発売されると消毒薬の主役の座は『マキロン』に移ってしまいました。
23Oct
- 【406】囲碁のルール『コミ』
  囲碁は、将棋、チェス、オセロなどと同様に2人のプレイヤーで戦う室内ゲームです。囲碁のルールでは2人のプレイヤーがそれぞれ黒石と白石を持ち、『地』または『目』と呼ぶ領地を囲い合い、より多くの領地を確保したプレイヤーを勝ちとするゲームで、その戦いを『棋戦』と呼び、プレイヤーを『棋士』と呼びます。碁盤に引かれた縦横19本の線の格子点（交差点）に黒石を先着し、以後白黒交互に打つことが定められています。先着する黒石の数で棋戦の名称が異なります。（１）黒石を１つ（１目あるいは１子と言う）先着する戦い：互い先（２）黒石を２つ（２目あるいは２子と言う）先着する戦い：２子局（３）黒石を２つ（３目あるいは３子と言う）先着する戦い：３子局・・・・（９）黒石を９つ（９目あるいは９子あるいは星目と言う）先着する戦い：９子局または星目局。終局は盤上で生きている（活力がある）石が囲っている格子点（地または目という）の数で勝敗を決定します。現代のプロ棋士同士の公式戦では、『互い先』で先着する黒番1手の価値は6目半と見積もられていて、このルールを『6目半コミ出し』と言います。したがって、黒石を持つ先手番が勝利するためには7目以上の地が必要です。互い先では黒石を持つ先手番に6目半のハンディキャップを負わせて、イーブンと見なしているのです。6目半という数値は、多くの互い先の棋戦における黒番の勝率から経験的に決められていますが、囲碁団体の財団法人日本棋院及び財団法人関西棋院が定めているルールではなく、棋戦毎に両対局者が『コミ』を承認してから対局を開始します。過去においては4目半、5目半コミ出しという時代もありました。また、中国では7目半と決められているようです。今後は日中韓で統一した国際ルールができる可能性もあります。囲碁は非常に知的で論理的なゲームだと思いますが、『コミ』のように曖昧な部分も含んでいます。
19Oct
- 【405】しのぎを削る
  「しのぎを削る」は、今では「凌ぎを削る」と誤記されることが多く、種々の競走で、2人以上のランナーが激しいせり合いを演じて優劣の判定困難のまま、ほとんど同時にゴールに入るような大熱戦を形容することばとして使われています。『つばぜり合い』とか“dead heat”とかと同義です。転じて、「出世競争でA君とB君はしのぎを削っている」とか、２者が激しく争う選挙戦などで『しのぎを削る激戦区』などとも使われます。しかし、そもそも『しのぎ』とは『鎬』と書き、刀（かたな）の刃（は）と峰（みね）との間の稜線のことで、その鎬が削れ落ちるほど激しく斬り合うことを「しのぎを削る」と言ったとされています。互いの刀の鎬を削り合うような激しい斬り合いが実際にあったかどうか知りませんが、刀剣を用いない熱戦についても比喩的に「しのぎを削る」と言うようになったようです。なお、『凌ぎ』は、苦しみを堪え忍んで何とか切り抜けるという意味の「その場しのぎ」や「当座しのぎ」などと使われる『しのぎ』です。『鎬』と『凌ぎ』の語源は全く異なりますが、「鎬を削る」より「凌ぎを削る」の方が使い勝手は良さそうですね。