まず文字を素直に解釈してみましょう。

 

有事:何かが発生すること、何事かが起こること

無事:何も発生しないこと、何事も起こらないこと

 

しかし、通常の使われ方は

有事とは、何かが勃発すること、例えば『台湾有事』などで、これは文字の解釈とほぼ同じです。

 

無事とは、良くない事態に遭遇したけれども、大事には至らなかった。例えば「無事に生還しました」などで、これは「有事はあったけれども、大事には至らなかった」とか「有事があったけれども、大きな損害は回避できた」ということであり、「何事も起こらない」という文字の解釈とは異なります。

 

つまり『有事』と『無事』とは観点が異なっているのです。

 

 

古来、掛け合いで、問う側が「○○なのに××とはこれいかに」という形式のお題を出し、答える側は「△△なのに□□と言うが如し」と答える『無理問答』という言葉遊びがあったそうですが、

 

「何も無かった訳ではなく、有ったのに『無事』というのは、これ如何に?」

「負けるのが嫌いなのに、『負けず嫌い』というがごとし。」

 

お後が宜しいようで。