金曜日編集部の成澤宗男さん、まず御社社長の著作を撃つべきでは?虚構の「福沢諭吉」論 | 一撃筆殺仕事人:佐高信先生追っかけブログ

金曜日編集部の成澤宗男さん、まず御社社長の著作を撃つべきでは?虚構の「福沢諭吉」論

いや、これはちょっと驚きました。今週発売の最新号8月27日号の週刊金曜日、表紙には日韓「強制併合」から100年、「法螺を福沢、嘘を諭吉」の真意の文字です。

戦後65年と大逆事件100年と時を同じくしての日韓併合条約締結から100年をむかえたこの8月22日です。そこでこのような特集になったのだと思います。

特集記事では編集部、成澤宗男氏の「朝鮮/韓国人被曝者」についての記事、編集部によるこの併合、植民地化の歴史の図解記事に続いてこんなインタビュー記事が書かれています。


安川寿之輔・名古屋大学名誉教授に聞く
 虚構の「福沢諭吉」論と「明るい明治」論を撃つ
 歴史を歪めた丸山眞男と司馬遼太郎の「罪」

戦後のアカデミズムに君臨した丸山眞男と、「国民作家」の司馬遼太郎。
この二人による作為的な歴史偽造が厳しく問われねばならない。

http://www.kinyobi.co.jp/backnum/tokushu/tokushu_kiji.php?no=1312


安川寿之輔教授は高文研から出ている「福沢諭吉のアジア認識 日本近代史像をとらえなおす」「福沢諭吉の戦争論と天皇制論」「福沢諭吉と丸山眞男『丸山諭吉』神話を解く」の三部作で福沢諭吉の「脱亜論を書いた帝国主義者」とし批判する立場の方で先に「福沢諭吉の真実」を書いた平山洋氏との論争が話題になりましたね。


この安川寿之輔教授に対するインタビューをおこなったのも最初の記事を書かれた成澤宗男さんです。成澤さんと教授とのインタビューは、日韓「強制併合」100年にあたり、作家の司馬遼太郎氏と丸山真男東大教授の罪は重く、特に丸山教授が福沢諭吉を典型的な市民的自由主義者としてみなし、また丸山氏が明治前期を「健全なナショナリズム」昭和前期が「超国家主義」の時代としたこと、また司馬氏が「明るい明治」と「暗い昭和」として時代を比較していたことが特徴づけられるという話からはじまっています。
しかしながらこの両時代がどう関係づけられるのかは両者は明らかにしていないということで、「美味しんぼ」で知られる漫画原作者の雁屋哲さんが安川三部作を元に著書を計画中で福沢は1945年の日本破綻の張本人で、福沢のせいでアジア諸国との関係が改善されないということがテーマだと成澤さんは語ります。
安川教授は雁屋氏の主張はもっともだということで、福沢が韓国や中国に対する蔑視をし、「文明に誘導する」ということで武力侵略を合理化し、また第2次大戦期の「滅私奉公」「1億玉砕」の先駆者であったことを主張されます。

また、福沢に目立つのは表現の下劣さであり福沢の新聞であった時事新報では
漫画等もよく使われアジテーターとしての人物であるとの感想を成澤さんは教授に問いますが、教授はそのとおりとして日清戦争や義和団の乱(北清事変)のときの福沢の差別的表現を問題とします。

対談は司馬遼太郎氏のNHKドラマ化された「坂の上の雲」についてに進んでいき、司馬氏が日清、日露の戦争で朝鮮と日本との関係史がほとんど触れられていないこと、「ほとんどが事実である」と司馬氏が語っていること、祖国防衛戦争などと表現されまた主人公の秋山好古が福沢を「一番尊敬する人」のように語ることが批判されています。

そして「脱亜論」で朝鮮、中国侵略を煽り加担した福沢諭吉の罪を消し去っている丸山眞男氏、司馬遼太郎氏をはじめとする昭和の文化人たちの罪を追及しているものとなっており、最後は「昭和天皇の戦争責任」が問われていないこと、以前の千円札には韓国併合に尽力した伊藤博文が、そして現在では福沢諭吉が描かれていることを元慰安婦の方が批判しているということが語られ、対談は終わっています。


安川教授は最近も講演会を行なわれそのレポートが醍醐聰さんや多面体Fさんのブログで詳しく報告されています。

http://blog.goo.ne.jp/polyhedron-f/e/fb4af5f1866a715d4762fe0ce5e2e985

http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-79b8.html


さてここからが問題です。我らが週刊金曜日社長、佐高信さんといえば強烈な司馬批判者として超有名で最近でもNHKに「坂の上の雲」DVDを送ってくるなと怒り心頭ですが、而して福沢諭吉についてはいかがでしょうか。


この2年前に夕刊フジでの連載をまとめられた「福沢諭吉伝説」を上梓されています。最終章で佐高さんは「福沢は平熱の政治家、私は脱亜論を覆した。福沢学者の鼻を明かした。」とまで言っているのです。

福沢諭吉伝説/佐高 信
¥1,785
Amazon.co.jp
「福沢諭吉伝説」で佐高さんは福沢諭吉が開化派の闘士、金玉均のクーデターを支援していたことを引いて福沢諭吉が朝鮮蔑視者ではなかったと主張しているのですが、それがほとんど平山洋氏、坂野潤治氏の論、そして岳真也氏の小説を事実だと考えて引用されてそれに頼っています。ちなみに福沢諭吉と朝鮮のことはズバリそのものの題で杵渕信雄さんが書かれています。

「福沢学者の鼻を明かした」というならこれは安川教授への挑戦状とも考えられますが、それがほとんど全部、安川教授が論争していた平川氏に準拠していたのではお話になりません。
なお、安川教授は佐高信氏の実名を書かれ「福沢諭吉伝説」に対して「丸山諭吉論」とただ一言鎧袖一触です。(飛礫 2010年冬号)。実際あきれ果ていていたのだと思われます。さすがにこの場では遠慮したのでしょう。


この佐高さんの福沢擁護論についてはelectric heelさんが「読み方注意、『福沢諭吉伝説』恥を知れ佐高信!」で詳しく批判されています。

http://electric-heel.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-dc20.html


さて、インタビュー担当者の金曜日企画委員の成澤宗男さん、司馬遼太郎さんはともかく、福沢諭吉を持ち上げる文化人、知識人の責任を問うのなら、まずは御社の社長さんに意見するべきではないでしょうか。


確かにだれだって社長批判するのはちょっと勇気がいるのかもしれません。しかし、「逆命利君」の精神が重要なのではないですか?


ちなみに佐高社長、この本を出された2008年には慶応義塾での講演会、三田評論への寄稿、前の年に専任講師に受任などされています。
そうそう、「福沢伝説」を書いてみないかといわれたのも慶応同窓の産経住田社長でしたね。
そして慶応が協力している酒田市の東北公益文科大学では慶応大学教授の竹中平蔵さんとともに客員教授も勤めておられます。



注目記事  川人博弁護士が佐高信さんを筆刀両断!?

        佐高信さん、年金を語る

        日垣隆vs佐高信

        田英夫氏の逝去と佐高信氏

        週刊金曜日は週刊木村剛だったか?

        田原総一朗は生きながらの紙クソ(東スポマン激)

         田原総一朗さん、「佐高信は僕で商売するかわいい奴だ」

        死者に鞭打たず 追悼宮澤喜一

        武井正直氏と佐高信さん

        佐高信さんは情のある方です。鈴木邦男さん
        佐高信さんは主人持ちの評論家か?
        本島元長崎市長(広島よおごるなかれ)と佐高信さんが対談
        再び佐高信さんをJR東日本取締役に推挙


いつも有難うございます。人気ブログランキングへクリックお願いします。



にほんブログ村 経済ブログ 日本経済へ
にほんブログ村

にほんブログ村 経営ブログ 経営哲学・経営理念へ
にほんブログ村

にほんブログ村 ニュースブログ 時事ニュースへ
にほんブログ村


福沢諭吉のアジア認識―日本近代史像をとらえ返す/安川 寿之輔
¥2,310
Amazon.co.jp
福沢諭吉の戦争論と天皇制論―新たな福沢美化論を批判する/安川 寿之輔

¥3,150

Amazon.co.jp

福沢諭吉と丸山眞男—「丸山諭吉」神話を解体する/安川 寿之輔
¥3,675
Amazon.co.jp