川人博氏が佐高信氏を筆刀両断 | 一撃筆殺仕事人:佐高信先生追っかけブログ

川人博氏が佐高信氏を筆刀両断

「日ごろ人権擁護を主張する日本の学者、弁護士の多くがなぜか北朝鮮による、拉致、人権を問題にすると独裁者にたいへん寛大な態度をとる」


こういうコンテキストで先ごろ文藝春秋社の雑誌「諸君!」で姜尚中東大教授を批判した弁護士の川人博(かわひとひろし)という人がいます。川人弁護士は過労死、労災、過労自殺、職業病関連の問題を中心に弁護士活動を続けておられる傍ら、北朝鮮による拉致問題にも積極的に救出活動に関わってこられたまさに異色の弁護士といえましょう。

「諸君!」での姜尚中教授批判は、その後「週刊朝日」で教授が反論を書きはじめ、新たな展開を迎えました。それに対して川人弁護士は再批判を行い、論争は双方3回づつの発表を行ったところで、終わりとなっていましたが、このほど川人弁護士は講談社現代新書から、「金正日と日本の知識人」を発表されて、論争の総まとめと、自らの論理と行動、そしてその根拠となった体験を明らかにしています。

興味深い発表なのでぜひ手にとられることをお勧めいたします。

川人弁護士


その川人弁護士、このほどその「金正日と日本の知識人」で当の姜教授にくわえて、佐高信さん、和田春樹東大教授、水島朝穂早大教授の3人も姜教授と協同しての金日成体制温存のための主張を構成していると考え、批判の刃を向けておられます。つまり佐高信さんが「筆刀両断」されてしまいました。

これは当ブログとしても看過できません。
川人弁護士の佐高信さんへの批判をトレースしていこうと思います。


ここでは姜東大教授への川人氏の批判はおきます。佐高さんにむかった批判を追っていきます。
話は2003年8月16日の、佐高さんが客員教授を勤める東北公益文科大学での姜、佐高対談(角川文庫 日本論に収録)にさかのぼります。対談後の質疑応答の時間に、ある学生さんが

「姜教授は拉致問題の解決は6カ国んの協議で解決すべきだと言われるが、私はもっと国際的な手続き(国連人権小委員会で協議することなど)を重視べきだと思うがどうか」

というような質問をしたところ姜教授は「極端な話だが正義よりも平和を尊ぶべきだ」という答えを出されました。

このことに川人弁護士は疑問を呈したのがそもそもの姜教授批判のきっかけとなったのですが、そのとき対談者の佐高信さんは特に反応しなかったということがありました。
そんな佐高さんに川人弁護士は批判し始めます。


批判点は次の3つに置かれます。

その1

「佐高氏はミクロの大切さを重んじる。つまり具体的人間の生活において人権がないがしろにされることに異議を唱えることを信念としている(これは企業社会批判での佐高さんの姿勢でしょう。)が「北朝鮮問題」についてはその信念を捨てている。」

その2

「郷土愛が深い佐高氏だが、佐高氏の郷土酒田周辺で拉致ではないかと思われる事件が多発していることに対して口を閉じている。」

その3

「月刊現代2004年6月号の澤地久枝氏、姜尚中氏との鼎談において姜氏が「日本人として金正日のことを間違って理解していたかもしれない」としたことに佐高さんは特に反論もなく、「姜氏は今の日本の金正日感は戦中に日本がアメリカを間違って理解していたことと同じと結論づけた」と取ることができ、ほぼ「同調」した佐高信さんの見識を疑う」


この3点にほぼ絞って川人弁護士は佐高信さんを批判しています。

ここで佐高ファンとしての川人氏の佐高批判を考えますと、論点2はともかくも論点1および3は佐高信氏の直接の言説や批判に対してのものではなく幾ばくかの牽強付会的な側面を持っているのではないでしょうか。たしかに佐高さんも拉致事件に対しては社民党の辻元議員のように第二次大戦戦時下の徴用問題を引き合いに出して問題を相対化させようとしていると見られても仕方がない面はあります。しかし佐高氏は北朝鮮および金正日の政策に対しては、もちろん支持しているのではなく、2003年9月21日号のサンデー毎日「政経外科」においていわゆる美女軍団に対して軍国主義下の日本人にたとえて「切ない」として金正日独裁体制の人権無意識を批判し、昨年7月のミサイル実験の時には金正日氏を「松岡洋輔のまねをしているのですか?」とその「孤立」政策を批判しています。

と弱弱しい(笑)佐高擁護はここまで、
一番問題はこれです。


川人氏は


「私はこの数年間、佐高氏に対して再三再四、北朝鮮問題で話し合いたいと申し入れたにもかかわらず、佐高氏は反論や回答を一切拒絶し『週刊金曜日』誌上での反論掲載にも応じていない。そのような態度は佐高氏が『他人の意見を聞く姿勢がない』と言って他者を批判していることにたいへん違和感を感じる。」


ちょっとこれが本当だとしたらがっかりですね。なぜなら佐高さんにとって川人弁護士は「右翼」でも「対立者」でも「他人」でもなく、日本の会社社会を批判については同志であったからです。


そしてもうひとつ
佐高さんは川人弁護士の姜尚中氏批判発表の後、サンデー毎日4月1日号「政経外科」で


「糞バエたちはいま、我が物顔でこの世をとびまわっている。」「その舞台はおもに『諸君!』『正論』だ」と述べた上で『私と『日本論』を出した姜尚中は私以上に叩かれているが糞バエたちが同誌で批判されることはない」と述べています。


佐高さんが、川人弁護士を糞バエ扱いしたのは間違いありませんね。

これに答える形での川人氏の「筆刀両断」はこうです。


「佐高さんよ。私の指摘に対して異議があるのなら雑誌のレッテル貼りでなく私に対して正面から答えたらどうか、東北公益文科大での佐高氏と姜尚中氏の公開討議に関する私の批判に対して逃げ隠れしないで正面から反論をしてくることを待っている。」


「逃げる、嘘をつく、疑う」が権力との戦いでの佐高信さんのモットーです。
そして魯迅の「フェアープレイは時期尚早である」というのが佐高さんの同じく権力と戦う上での座右の銘です。
これまでの感じから見て、佐高さんは沈黙する可能性は大きいですね。
しかし、川人弁護士は拉致問題で「保守派」と連帯しているからといって果たして「権力」でしょうか?
そして盟友、姜尚中氏は反論している。これからの佐高さんから目が話せないことは確かです。

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川人 博
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川人 博
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↑この本の解説を書いているのは誰でしょうか?