流離の翻訳者 日日是好日 -44ページ目

流離の翻訳者 日日是好日

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

最近、経済学の専門書などを読んで新しい情報が入って眠っている間に脳が更新されているためか、よく夢を見るようになった。また思いもよらない人物が夢に現れてくる。

 

先日は東京で働いていた頃のシステム部の先輩が現れてきた。随分とお世話になった人である。私はその人に何か相談しているらしい。

 

話の内容は昭和のままのようだがビルがインテリジェント・ビルになっていたり携帯電話で話していたりと一部現代版に変更されている ……。夢は不思議なものだ。思えば当時は夜間のシステム障害対応のため交替でポケベルを持たされていた。そんな時代だった。

 

 

 

今朝の日経新聞の【春秋】欄は実に面白い。蹴鞠の名人「蹴聖」藤原成通(ふじわら の なりみち)の話が出ている。

 

また「人々が蹴鞠を愛好している時代には国栄え、よい人が政治をつかさどり、幸福がもたらされる」という「鞠の聖」のお告げも出てきた。

 

文章は「あすの朝、歴史の扉はこじ開けられているか。」という疑問形で終わっている。

 

 

 

サムライブルーの勝利を神に祈ろう!

 

先日、突然小学校からの幼馴染みが夢に出てきた。彼も私も20代くらいの様子である。随分一緒に遊んだ友人だったが音信が途絶えて40年近くになる。

 

数年前、偶然にも彼の姉上とお話しする機会を得た。どうも彼の健康状態はあまり思わしくないらしい。

 

 

朝起きぬけに観たニュースであるタレントの訃報を知った。どういうわけかファースト・ネームが彼と一致した。「虫の知らせ」で無ければ良いのだが ……。

 

 

 

「多分(たぶん)」という日本語は実にあいまいだ。広辞苑には「大抵、大方、おそらく」とある。

 

これが「多分に」となると「数量や程度あるいは確度がかなり大きいさま、相当」となる。「に」がついただけで程度が大きくなる。不思議な単語だ。

 

 

「多分」から perhaps という単語が浮かんだ。この語、中学ぐらいで学んだがしっかり辞書を引いたことも無く、普通英訳では probably を用いていた。この語一体何なのか?

 

 

辞書を引くと意外なことが書いてあった。

 

⦅英略式⦆〔偶然(haps)によって(per).起こる確率が5割以下と考えられる場合に用いる〕

 

さらに話し手の確信度は probably ⇒ maybe ⇒ perhaps ⇒ possibly の順に低くなるとあった。やはり辞書を引いてみることが重要である。

 

 

 

 

Your solution is probably incorrect.

「君の解答は十中八九間違っている」

 

Maybe your solution is incorrect.

「君の解答はおそらく間違っている」

 

Your solution is perhaps incorrect.

「君の解答はもしかしたら間違っている」

 

Your solution is possibly incorrect.

「君の解答はひょっとしたら間違っている」

 

中野信子さん『ペルソナ 脳に潜む闇』には物事の真実を一言でズバッと言い当てたような記述が多い。読んでハッとさせられることが多々ある。かなり辛辣な書だ。

 

 

因みに「ペルソナ」は英英辞典では以下のように定義されている。

 

Persona:

Someone’s persona is the aspect of their character or nature that they present to other people, perhaps in contrast to their real character or nature.

 

「ある人のペルソナとは、人が他人に見せるその人の性格や性質の側面をいい、恐らくは実際の性格や性質とは対照的な(裏腹な)側面をいう」

 

 

 

 

 

"Scarborough Fair" by SARAH BRIGHTMAN

 

Are you going to Scarborough Fair?

Parsley, sage, rosemary and thyme

Remember me to one who lives there

He once was a true love of mine

 

Tell him to make me a cambric shirt

Parsley, sage, rosemary and thyme

Without no seams nor needle work

Then he'll be a true love of mine

 

Tell him to find me an acre of land

Parsley, sage, rosemary and thyme

Between salt water and the sea strands

Then he'll be a true love of mine

 

 

Tell him to reap it with a sickle of leather

Parsley, sage, rosemary and thyme

And gather it all in a bunch of heather

Then he'll be a true love of mine

 

Are you going to Scarborough Fair?

Parsley, sage, rosemary and thyme

Remember me to one who lives there

He once was a true love of mine

 

高坂正堯氏『文明が衰亡するとき』coca-colonization という造語が出てくる。狭義では「コカ・コーラの世界進出」。転じて広義で「他国へのアメリカ文化や資本の流入」を意味している。

 

 

「…… それはアメリカ文明をコカ・コーラで代表させ、そうした低俗なものがブドウ酒や茶といった香しい飲み物の国を植民地化しつつあることへの反撥の気持ちを表わしたものであった。……」(高坂正堯『文明が衰亡するとき』から引用)

 

 

40年以上の時を隔ててこの造語を知り得ただけでも。過去の心の隙間が埋まったような心地がして同書を読破した意義があったように思える。

 

 

「八月の濡れた砂」 石川セリ(1972)

 

私の海を真赤にそめて 夕陽が血潮を流しているの

あの夏の光と影はどこへ行ってしまったの

悲しみさえも焼きつくされた 私の夏は明日もつづく

 

打ち上げられたヨットのように いつかは愛もくちるものなのね

あの夏の光と影はどこへ行ってしまったの

思い出さえも残しはしない 私の夏は明日もつづく

 

あの夏の光と影はどこへ行ってしまったの

思い出さえも残しはしない 私の夏は明日もつづく


 

 

夏樹静子さんのサスペンスに「第三の女」というものがある。一言でいえば「交換殺人」の話だ。

 

嵐による停電。暗闇となった部屋での男女の約束のシーンがある。相手の顔も見えないまま約束を交わす男女。そのまま行きずりの恋へ。非現実的ではあるがかなり官能的なシーンである。たった一度であってもお互い相手の身体は記憶に残っているものだ。

 

 

PAT BENATAR は東京の会社に勤務していたころに友人から紹介されたもので以後はまってしまった。パワフルで官能的な声がとてもセクシーだ。

 

 

"Promises In The Dark" by PAT BENATAR (1981)

 

Never again, isn't that what you said
You've been through this before
You swore, this time, you'd think with your head
No one would ever have you again
And if takin' was gonna get done, you'd decide where and when

Just when you think you got it down
Your heart securely tied and bound
They whisper promises in the dark

Armed and ready, you fought love battles in the night
But too many opponents made you weary of the fight
Blinded by passion, you foolishly let someone in
All the warnings went off in your head, still you had to give in

 

Just when you think you got it down
Resistance nowhere to be found
They whisper promises in the dark

But promises you know what they're for
It sounds so convincing, but you heard it before
'Cause talk is cheap and you gotta be sure
And so you put up your guard
And you try to be hard but your heart says try again

You desperately search for a way to conquer the fear
No line of attack has been planned to fight back the tears
Where brave and restless dreams are both won and lost
On the edge is where it seems it's well worth the cost

Just when you think you got it down
Your heart in pieces on the ground
They whisper promises in the dark

 

一昨日夜半から昨日にかけて久しぶりの雨。庭の草木も喜んでいるように見える。今日は雨上がりの小春日和。まだ寒くならない。最後の秋が続いている。

 

真夜中。本などを読んでいて外の星空が気になることがある。玄関を開けて外に出るが秋の空は大抵薄雲がかかっており星はほとんど見えない。

 

ただ紫の夜の帳(とばり)が何処までも続いているだけである。

 

 

Harden という動詞は「…をかたくする、固める」という意味だが harden one’s heart「心を鬼にする」という意味で使われるようである。

 

She had to harden (or steel) her heart against the pitiful old lady.

「彼女はその憐れな老婦人に対して心を鬼にせざるを得なかった

 

 

Harden My Heart by QUARTERFLASH (1981)

 

Cryin' on the corner, waitin' in the rain,

I swear I'll never, ever wait again.

You gave me your word, but words for you are lies.

 

Darling, in my wildest dreams.

I never thought I'd go.

But it's time to let you know.

 

I'm gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

I'm gonna turn and leave you here.

 

All of my life, I've been waitin' in the rain.

I've been waitin' for a feeling that never, ever came.

It feels so close but always disappears.

 

Darlin', in your wildest dreams.

You never had a clue.

But it's time you got the news.

 

I'm gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

I'm gonna turn and leave you here.

 

Darlin', in my wildest dreams.

I never thought I'd go.

But it's time to let you know.

 

I'm gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

I'm gonna turn and leave you here.

 

I'm a-gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

I'm a-gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

 

Harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

No, oh, oh, oh.

Harden my heart.

 

I'm gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

I'm a-gonna harden my heart.

I'm gonna swallow my tears.

 

Harden my heart.

Harden my heart.

Swallow my tears.

I'm a-gonna harden my heart.

 

学生時代の教官の著書を読んでいると3回生くらいの頃の思い出が昨日のことのように頭に浮かぶ。勉強もせず無為に時間を潰したほろ苦い思い出が多い。

 

時々「もし第二外国語がドイツ語でなくフランス語だったら今何をしているだろう?」と考えることがある。

 

フランス語であれば教養部のクラスはE1、E2ではなくE3かE4。友人関係も全く異なっていただろう。不思議なことに大学の友人にフランス語選択者は居ない。

 

 

またゼミ(専攻)についても同じようなものだ。私は近代経済学(マクロ経済学)を専攻したが私の友人にマルクス経済学を専攻した者は居ない。

 

近代経済学か会計学など経営学を専攻した友人ばかりである。もちろん法学部に転学部した友人もいる。マルクス経済学を専攻した者とは所詮意見が合わないだろうという偏見があった。

 

 

 

第二外国語は、高校時代に読んだ北杜夫の『ドクトルまんぼう青春記』の中にドイツ語やレクラム文庫の話がでてきた縁でドイツ語を選択したのだが、今にして思えば何もこだわる必要もなかったように思う。

 

 

 

フランス語を選択していたら友人も異なるし全く違う人生を歩んでいたかも知れない。人生の分岐点は意外なところに転がっているものである。

 

「鍋」の季節になった。「寄せ鍋」、「おでん」、「キムチ鍋」何でも美味しい。

 

 

 

 

 

「鍋」は英語では hot-pot という。定義は以下の通り。

 

Hot-pot:

A hot-pot is a mixture of meat and vegetables cooked slowly in liquid in the oven.

 

「オーブン内で(容器の)出汁の中でゆっくりと煮込まれた肉と野菜の混合物」

 

 

「鍋奉行」は英語で hot-pot police という。こちらの定義は以下の通り。

 

Hot-pot police:

A person who insists on observing a particular etiquette when cooking a hot-pot at the table.

 

「食卓で鍋を調理する際に特定の作法を遵守することを主張して譲らない輩(やから)」

 

 

「鍋」と言えば酒だろう。それも日本酒がマッチする。普通はビールと白ワイン。吟醸酒は時々飲むが、以下はどれも好きな歌だ。

 

 

 

日経の Opinion 欄は新語の宝庫である。先日の Retrotopia に続いて昨日は「レコノミー」という語が出現した。

 

省エネの3R(Reduce, Reuse, Recycle)に加え Retro, Reskilling, Reproduction など最近のキーワードを含めて、昨今の経済行動はREが冠につくものが多い。これを「RE型経済」すなわち「レコノミー(Reconomy)」だと論者は定義している。

 

他にも「Z世代」とか「ファストファッション」 ……とか。益々わかりにくい世の中になってきた。

 

 

「古書への旅」が続いている。送られてきた中古品を見ると「帯」が付いているのはもちろん、書店の葉書や販売店の「売上カード」が付いたもの。なかには著者の「謹呈」という栞まで付いたものがあった。大切に読まなければ ……、と思う。

 

 

 

 

 

 

これらの古書は、私を学生時代へと連れて行ってくれる乗車券のように思えてくる。とにかくじっくりと読書の旅を続けよう。

 

 

 

今年も枯葉が散り始めた。秋も終わりである。何かしら物悲しい季節となった。

 

 

今年は大分県中津市の深耶馬渓、昨年は山口県長門市の大寧寺、一昨年は福岡県添田町の英彦山、その前は福岡県朝倉市の秋月。何処かで紅葉を観ている。

 

 

 

 

 

古書を読み返していると自分が如何に何も知らなかったかに気付く。それだけでも良かったのではないか。久々の読書の秋。古書への果てしなき旅路はこれからも続く。