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流離の翻訳者 日日是好日

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

クリスマス・イブの日に経済用語をまた一つ。

 

 

「グレートモデレーション(Great Moderation)」。世界経済の緩やかな成長とインフレ率の低位安定を背景に、株式や債券などの変動が小さく金融市場全体が安定していた時期のこと。一般的には、2000年代半ばから2008年のリーマン・ショック前までの数年間を指す。「大いなる安定」または「超安定化」とも呼ばれる。

(野村證券「証券用語解説集」より引用)

 

 

The Great Moderation is a period in the United States of America starting from the mid-1980s until at least 2007 characterized by the reduction in the volatility of business cycle fluctuations in developed nations compared with the decades before. It is believed to be caused by institutional and structural changes, particularly in central bank policies, in the second half of the twentieth century.

(Wikipediaより引用)

 

 

(拙・日本語訳)

グレートモデレーション」とはアメリカ合衆国における1980年代半ばから少なくとも2007年までの期間をいう。その期間は、先進国の景気変動のボラティリティが過去数十年と比べて低下したことに特徴づけられる。このボラティリティの低下は、20世紀後半の制度的および構造的な転換、特に中央銀行の政策の転換によって引き起こされたと考えられている。

 

 

 

 

日経新聞によれば、2022年、この「グレートモデレーション」が終焉を迎えたらしい。終焉の先には何が来るのか?

 

 

今年のクリスマスは寒波に見舞われるようで久々のホワイト・クリスマスが期待できそうである。

 

 

この時期、人は今年の訃報を振りかえり改めて故人の冥福を祈るらしい。俳優の古谷一行さんが亡くなったのが今年8月のことだった。

 

私の場合、古谷さんで記憶に残っているのは1977年から1978年にかけて放送されたテレビドラマの横溝正史「金田一耕助」シリーズである。古谷さんの渋い演技が印象深い。

 

 

また、このテレビドラマの主題歌が実に素晴らしかった。茶木みやこさんの「まぼろしの人」という曲である。淡々と歌う虚無的な暗いメロディが殺人事件にしっくり来ていた。

 

 

「まぼろしの人」 茶木みやこ

 

陽炎揺れる 名もない駅に

遠い汽笛の ゆらめきが

 

かすかな余韻を残す頃

見上げた空には

静けさが満ちていた

 

なのにこの同じ空の下

暗い思い出の残り火を

 

吹き消すように みじろいだ

あの人は幻だったのでしょうか

 

 

たわむれ遊ぶ 童の頬に

沈む夕陽の 輝きが

 

優しい翳りを映す頃

暮れなずむ街には

やすらぎが満ちていた

 

なのにこの同じ空の下

辛い出来事の結末を

 

呟くように ささやいた

あの人は幻だったのでしょうか

 

 

昔観た映画で強烈な印象に残っているものがありアマゾンでDVDを探して購入したのがもう数年前になる。

 

 

その映画は「追想」というものだ。1975年のフランス映画である。主演はフィリップ・ノワレとロミー・シュナイダー。

 

ナチスの兵隊に愛する娘を射殺され愛する妻(ロミー・シュナイダー)を凌辱され焼き殺された医師である夫(フィリップ・ノワレ)がナチスの兵隊を一人ずつ処刑してゆく。そんなストーリーである。

 

ナチスの兵隊に焼き殺された妻の死体のシーンがトラウマのように記憶に残っている。こんな時代だからこそ観ておくべき作品かも知れない。

 

 

 

 

 

 

「トラウマ映画館」(町田智浩著・集英社文庫)はそんな強烈な印象が残る映画を集めたものである。こちらも一読の価値がある。

 

今朝はこの冬一番の寒波に見舞われた。とにかく寒い!積もりそうな雪も降り始めた。そんな中また一つ歳を重ねた。

 

 

中野信子さんの「ペルソナ」を読み終えた。鋭い指摘に満ち溢れた書だった。断定的な文体が心に直接に響いてくる。現在の私の「古書への旅」にも通ずる印象的な一節を以下に記載する。

 

 

「学ぶことで損をすることはない。

あくせくと、誰かに勝つために、損をしないために必死で自分を追い立てるようにして勉強するのではなく、自分の世界を豊かにするために、もっと悠々と生きて、物事を楽しむために、余裕をつくるために学ぶのだ。

もし勝ち負けにこだわりたいというなら、学ぶことは誰かとの戦争などではなく、自分との戦いなのではないかと思う。

構造的に、受験戦争という形で学ぶことをやめたくなる自分を間接的に窘(たしな)めるような時代に生まれ、学ぶことを背中から支えてもらうような環境に居られたことは、私にとっては全くの僥倖(ぎょうこう)であったと思う。」

 

「ペルソナ」(中野信子著・講談社現代新書p.195)より引用

 

 

 

もう10年以上も昔のある冬の日。フリーランス翻訳の仕事に疲れ果てた私は車を走らせ気が付けば市内の商業施設「チャチャタウン」に来ていた。

 

平日の「チャチャタウン」は閑散としてた。ベンチに腰掛けてぼぉーっとしているとあるコンサートが始まった。その日男性ボーカルが歌った曲がブルー・コメッツの「マリアの泉」だった。聴いたことがある曲だったが歌詞も知らず随分懐かしく思えた。

 

「果てない旅は続くのか 幸せ求めて僕は行く マリアに祈りただ一人 ……」。当時のフリーランス翻訳者としての不安定な生活が思い起こされる。何かに救いを求めていたのか。翻訳者になって10年余りになるがどうにかここまでやって来られた。

 

 

 

 

懐かしい冬の日。以下はそんな冬の日を思い起こさせる曲である。

 

 

 

 

久しぶりに高速に乗って山口県の「一の俣温泉」へ向かった。途中初雪に遭遇した。12月の初雪は久しぶりのことだ。「一の俣温泉」のアルカリ性のヌルっとした泉質が好きだ。

 

 

露天風呂で打たせ湯に当たると肩の疲れが癒された。露天風呂に浸かっていると今日が赤穂浪士の「討入り」の日であることが思い起こされた。元禄15年(1702年)12月14日。320年も昔のことである。

 

 

2022年、今年の漢字は「戦」らしい。今年は「戦い」の年だったようだ。ロシア⇔ウクライナについても然り、ワールドカップについても然り。「来年こそ良い年に ……」と願わずにはおられない。

 

 

新春ワイド時代劇「大忠臣蔵」の放映は1989年1月2日。昭和64年という微妙なタイミングだった。あれからもう34年も経つのか。奥多摩の旅館で友人と観たことが思い起こされる。まさに光陰矢の如しである。

 

 

 

 

明日の午後から明後日の未明にかけて黄砂が飛来する可能性が高いとのニュースを聞いた。マスクの着用が必要なほどだという。コロナでマスク着用は当たり前になったが、12月の黄砂は随分久しぶりのことらしい。

 

 

 

Yellow dust is a meteorological phenomenon that affects much of East Asia year-round and especially during the spring months. The dust originates in China, the deserts of Mongolia, and Kazakhstan where high-speed surface winds and intense dust storms kick up dense clouds of fine, dry soil particles. These clouds are then carried eastward by prevailing winds and pass over China, North and South Korea, and Japan, as well as parts of the Russian Far East.

 

黄砂とは東アジアの大部分に、年間を通して特に春季の数か月間影響を与える気象現象をいう。その粉塵は中国、モンゴルの砂漠地帯およびカザフスタンで発生する。これらの地域では高速の地表風と激しい砂塵嵐が微細で乾燥した土壌粒子の高濃度で含まれた雲を舞い上げる。その後、これらの雲は卓越風により東方に運ばれ中国、南北朝鮮および日本のほかロシア極東の一部を通り過ぎる。」

 

 

古書の旅も4冊目に入った。当時の友人たちが所属したゼミの教官の著書を読んでいると、彼らの就職先とゼミの内容との間にある程度の相関関係が見られる。

 

政府系特殊法人、大手総合商社、大手電機メーカー、信託銀行など就職先はそれぞれだが、彼らが面接でどんな話をしたのかが何となく想像できる。まあ40年以上も昔の話ではあるが ……。

 

ゼミの内容と就職先の間に脈絡が無いのは私くらいだ。マクロ経済学と損害保険。何の脈絡もない。なんで損害保険など選んだのか。

 

 

学生時代これらの書籍を読んでいたら、あんな難解なマクロ経済学のゼミには進まなかっただろう。経営学などもっと実務的な内容の方がよほど面白い。別のゼミに進んでいたらどんなところに就職していただろうか ……?

 

まあ今となっては「取らぬ狸 ……」だがそんな空想も面白い。古書の旅を始めてからものの見方が少しずつ変わってきている。全部を読み終えたらどうなっているだろう。

 

昨今の物価高からか、従来、「物価の優等生」と呼ばれてきた鶏卵(卵)の価格に関する記事が今日の日経新聞の【春秋】欄に出ていた。

 

鶏卵は鳥インフルエンザの流行とも相俟って品薄にもなっているらしい。確かにスーパーの卵の価格は上昇傾向にある。

 

 

価格を据え置いたまま商品の量を減らしたり、ホテルやレストラン、空港などでサービスの質を落としたりすることを「シュリンクフレ―ション(Shrinkflation)」という。

 

これは「収縮」の意味の「シュリンク(Shrink)」「インフレーション(Inflation)」の合成語である。

 

いつも買っていた商品のパッケージが、ある日突然小さくなっていたり量が減っていたりすると、価格が若干上がる以上に心理的影響が大きいように思う。

 

「シュリンクフレ―ション」の別の言い方に「ステルス値上げ(Stealth Price Hike)」というものがある。いずれもずる賢い値上げのやり方だ。

 

 

 

 

The food maker has been steadily reducing the package size of the product to offset rising production cost while keeping the price stable, which is a retail strategy known as “shrinkflation".

 

「その食品製造業者は、上昇する製品の製造コストを埋め合わせるために価格を据え置いたままパッケージのサイズを着実に小さくしてきた。これがシュリンクフレーションと呼ばれる小売業の戦略である。」

 

昭和の終わりから平成の初めにかけて10年ほど日テレ系で「年末時代劇スペシャル」が放映された。パソコンも携帯も無い昔ながらの年末・年始の頃である。

 

 

豪華俳優陣と巨額のコストをかけて作られた番組は年末・年始の盛り上がりと相俟って講評を博していた。「忠臣蔵」「白虎隊」「田原坂」「五稜郭」など江戸から幕末・維新にかけてのものが多かった。

 

あれから35年余り。他界された俳優の方々も数多く居られるし、当時若手の俳優も今ではベテランとなっている。時の流れを止めることはできない。

 

 

昭和を思い出しながら以下にいくつかの映像を掲載する。

 

 

 

 

「木枯し・凩」とは「秋から初冬にかけて吹く、強く冷たい風」をいう。「木枯し1号」の発表は東京と近畿地方だけらしい。今年は近畿地方で11月13日。東京ではまだ吹いていないようである。

 

12月に入って急に寒くなった。年末が近づき日々今年のカウントダウンが始まる。くる年に向けてダイアリーを買い替えたり年賀状の準備をしたり ……。何かと気ぜわしい。

 

 

 

日経新聞からまた新しい単語を知った。「フレクシキュリティ(flexicurity)」というもの。デンマーク発祥の欧州全体に広がった労働モデルのことをいう。

 

企業が従業員を解雇しやすい「柔軟性(flexibility)」と失業補償や職業訓練による「安全性(security)」を合成したもので日本語では「柔軟的失業者保障(補償)政策」という。

 

新語がどんどん造られていくが何処まで着いていけることやら ……。

 

 

Denmark's flexicurity model has been highly evaluated because it has made the nation competitive in the globalizing world.

 

「デンマークの『フレキシキュリティ』モデルは、グローバル化する世界において同国の競争力を高めているという理由から高く評価されている」

 

 

以下「木枯し」に関連した曲をいくつか。