続・英語の散歩道(その109)-受験戦争の僥倖-映画「白昼の死角」から | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今朝はこの冬一番の寒波に見舞われた。とにかく寒い!積もりそうな雪も降り始めた。そんな中また一つ歳を重ねた。

 

 

中野信子さんの「ペルソナ」を読み終えた。鋭い指摘に満ち溢れた書だった。断定的な文体が心に直接に響いてくる。現在の私の「古書への旅」にも通ずる印象的な一節を以下に記載する。

 

 

「学ぶことで損をすることはない。

あくせくと、誰かに勝つために、損をしないために必死で自分を追い立てるようにして勉強するのではなく、自分の世界を豊かにするために、もっと悠々と生きて、物事を楽しむために、余裕をつくるために学ぶのだ。

もし勝ち負けにこだわりたいというなら、学ぶことは誰かとの戦争などではなく、自分との戦いなのではないかと思う。

構造的に、受験戦争という形で学ぶことをやめたくなる自分を間接的に窘(たしな)めるような時代に生まれ、学ぶことを背中から支えてもらうような環境に居られたことは、私にとっては全くの僥倖(ぎょうこう)であったと思う。」

 

「ペルソナ」(中野信子著・講談社現代新書p.195)より引用