今年のクリスマスは寒波に見舞われるようで久々のホワイト・クリスマスが期待できそうである。
この時期、人は今年の訃報を振りかえり改めて故人の冥福を祈るらしい。俳優の古谷一行さんが亡くなったのが今年8月のことだった。
私の場合、古谷さんで記憶に残っているのは1977年から1978年にかけて放送されたテレビドラマの横溝正史「金田一耕助」シリーズである。古谷さんの渋い演技が印象深い。
また、このテレビドラマの主題歌が実に素晴らしかった。茶木みやこさんの「まぼろしの人」という曲である。淡々と歌う虚無的な暗いメロディが殺人事件にしっくり来ていた。
「まぼろしの人」 茶木みやこ
陽炎揺れる 名もない駅に
遠い汽笛の ゆらめきが
かすかな余韻を残す頃
見上げた空には
静けさが満ちていた
なのにこの同じ空の下
暗い思い出の残り火を
吹き消すように みじろいだ
あの人は幻だったのでしょうか
たわむれ遊ぶ 童の頬に
沈む夕陽の 輝きが
優しい翳りを映す頃
暮れなずむ街には
やすらぎが満ちていた
なのにこの同じ空の下
辛い出来事の結末を
呟くように ささやいた
あの人は幻だったのでしょうか