続・英語の散歩道(その111)-横溝正史「犬神家の一族」から-「まぼろしの人」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今年のクリスマスは寒波に見舞われるようで久々のホワイト・クリスマスが期待できそうである。

 

 

この時期、人は今年の訃報を振りかえり改めて故人の冥福を祈るらしい。俳優の古谷一行さんが亡くなったのが今年8月のことだった。

 

私の場合、古谷さんで記憶に残っているのは1977年から1978年にかけて放送されたテレビドラマの横溝正史「金田一耕助」シリーズである。古谷さんの渋い演技が印象深い。

 

 

また、このテレビドラマの主題歌が実に素晴らしかった。茶木みやこさんの「まぼろしの人」という曲である。淡々と歌う虚無的な暗いメロディが殺人事件にしっくり来ていた。

 

 

「まぼろしの人」 茶木みやこ

 

陽炎揺れる 名もない駅に

遠い汽笛の ゆらめきが

 

かすかな余韻を残す頃

見上げた空には

静けさが満ちていた

 

なのにこの同じ空の下

暗い思い出の残り火を

 

吹き消すように みじろいだ

あの人は幻だったのでしょうか

 

 

たわむれ遊ぶ 童の頬に

沈む夕陽の 輝きが

 

優しい翳りを映す頃

暮れなずむ街には

やすらぎが満ちていた

 

なのにこの同じ空の下

辛い出来事の結末を

 

呟くように ささやいた

あの人は幻だったのでしょうか