梅雨が明け、高校野球の地区予選も終わった。酷暑の日々が続いている。
高校野球の地区予選を観ていて3回と7回の終了時に「給水タイム」が設けられていることを知った。随分と合理的な話である。
我々の世代では、学校等での体育(スポーツ)の時間中、水を飲むことは決して許さなれかった。「水を飲むことは弛(たる)んでいる」とみなされた。今そんなことをすれば当然に学校も教員も処罰される。
「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という言葉がある。これは「無念無想の境地に至れば火さえ涼しく感じられる。どんな苦難に遭っても、その境涯を超越して心頭にとどめなければ、苦難を感じない。」という意味で、元々はある漢詩の句に由来する。
簡潔に言えば、「死を覚悟すれば何も怖くない」ということだろうが、死を覚悟することはそんな簡単なものではない。
「夏日題悟空上人院」 杜荀鶴(とじゅんかく)
三伏閉門披一衲 三伏門を閉じて一衲(いちのう)を披(ひら)く
兼無松竹蔭房廊 兼ねて松竹の房廊を蔭(おお)う無し
安禪不必須山水 安禅必ずしも山水を須(もち)いず
滅卻心頭火亦涼 心頭を滅却すれば火も亦(また)涼し
ある夏の日に悟空上人の寺にて詩を認(したた)める。
酷暑の三伏の時期にも寺門を閉ざして、僧衣をきちんと身に着ける。
その上、この寺には部屋や廊下を強い日差しから覆う松や竹も無い。
しかし、安らかに座禅を組み修行に励むのに必ずしも山や川は要らない。
暑いと思う心を消し去れば、火でさえ自然と涼しく感じられるものだ。
(拙・和文英訳)
One summer day, I wrote a poem at the venerable Goku's temple.
Even during the extremely hot Sanpuku season, the temple gates are closed and monks wear their robes properly.
Moreover, there are no pine or bamboo trees in this temple to cover the rooms and corridors from the burning sun.
However, mountains and rivers are not necessary to practice zazen in peace.
If you quench the feeling of heat, even fire will naturally feel cool.
なお、「三伏(さんぷく)」とは、夏の極暑の期間を指し、夏至後の第3の庚(かのえ)の日を初伏、第4の庚の日を中伏、立秋後の第1の庚の日を末伏という。