英語の迷い道(その26)-「中国の三大ボイラー(火炉)」-楊万里「夏夜追涼」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

まだ梅雨が明けていないというのに、物凄い暑さである。これから先が思いやられる。

 

 

中国に、昔から「中国の三大ボイラー(火炉)」と呼ばれる三つの都市がある。重慶(Chongqing)南京(Nanjing)および武漢(Wuhan)の三都市である。

 

これらの都市では、毎年7月中旬から8月末にかけて37℃から42℃くらいの高温が続くらしい。なお、昨今の地球温暖化やシティヒートの影響による日本の夏とは異なり、中国の暑さは以下の漢詩に詠われるように古来からのもののようである。

 

 

 

 

「夏夜追涼」            楊万里(ようばんり)

 

夜熱依然午熱同         夜熱(やねつ)依然として午熱(ごねつ)に同じ

開門小立月明中         門を開きてしばら小(しばら)く立つ 月明(げつめい)の中

竹深樹密蟲鳴処         竹深く樹密にして 蟲(むし)鳴く処

時有微涼不是風         時に微涼(びりょう)有るも 是れ風ならず

 

 

(拙・現代語訳)

「夏の夜に涼を追う」

夜になってもまだまだ暑く昼と同じようで、門を出て暫くの間月明かりの中に佇んでいた。竹や樹木が鬱蒼と生い茂る中、何処からか虫の音が聞こえてきた。

その時ふっと涼しくなった気がしたが、とくに一陣の風が吹いたわけではなかった。

 

 

楊万里(1127-1206)は中国南宋の詩人。また、南宋の都、臨安(現在の杭州市)は、中国の七大ボイラー重慶・南京・武漢・長沙(Changsha)・南昌(Nanchang)・杭州(Hangzhou)・上海(Shanghai))の一つとなっている。