流離の翻訳者 青春のノスタルジア -25ページ目

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今日の日経新聞に「人道回廊」という言葉が出てきた。

 

「人道回廊」

人道回廊とは、戦闘で孤立した地域から民間人を安全な場所に退避させたり、医療品や食料などの支援物資を運びこんだりするためのルートを言う。紛争の当事者が戦闘の一時停止などで合意し、軍事攻撃を受けない安全な経路などを設定する。国連や第三者が仲介に入ることも多い。

 

2023年パレスチナ・イスラエル戦争では、ガザ地区住民の退避、物資運搬の確保を目的に国際連合機関が人道回廊の設置を要請した。ハマスによる対イスラエル攻撃開始から4日が経過した10月11日には、ブリンケン米国務長官が記者団に対し、ハマスが支配するパレスチナ・ガザ地区から民間人を退避させるための人道回廊設置について、イスラエルやエジプトと協議していると明らかにしている。

(日経新聞「きょうのことば」及びWikipediaより一部改訂・引用)

 

(拙・和文英訳)

"Humanitarian Corridor"

Humanitarian corridors are the routes for evacuating civilians from areas isolated by fighting to safety and for bringing in medical supplies, food, and other relief supplies. The parties to the conflict agree to suspend the fighting and establish a safe route that will not be subject to military attack. In many cases, the United Nations and third parties mediate.

 

During the 2023 Palestinian-Israeli War, United Nations agencies requested the establishment of humanitarian corridors to evacuate Gaza residents and ensure the transportation of goods. On October 11, four days after Hamas' attack on Israel began, U.S. Secretary of State Blinken told reporters that he was in talks with Israel and Egypt about establishing a humanitarian corridor to evacuate civilians from Hamas-controlled Gaza Strip.

(Partially revised and quoted from the Nikkei Shimbun "Today's Word" and Wikipedia)

 

 

 

 

リビングだけでなく書斎で香を焚くようになって1年余りになる。ある陶器市で「香炉」を買ったことがきっかけだった。

 

今まで「スズラン」「ラベンダー」「シロツメクサ」「リンドウ」「シラウメ」などいろいろな香りを試してみたがどれも特徴があり甲乙つけがたい。

 

最近「柘榴(ザクロ)」の香りがお気に入りになっている。少し甘酸っぱい不思議な香りだ。

 

私が生まれ育った家の庭には柘榴の木があった。ルビーのような柘榴の実の甘酸っぱい味を今も思い出す。

 

柘榴は英語で Pomegranate。 柘榴の花の花言葉は「成熟した美しさ」。柘榴の実の花言葉は「結合」

 

少し季節外れの話題になった。

 

 

「前置詞3年冠詞8年」という言葉がある。それくらい冠詞は難しい。自分なりに理解するまでずいぶん時間が掛かった。それでもまだ不明瞭なところがある。

 

 

 

翻訳会社勤務時に英文法を中心テーマとしたメルマガを発行していた。メルマガは登録翻訳者・通訳者を始め翻訳・通訳依頼先(企業など)の担当者に送付していた。

 

そんなある日、メルマガ送付先の大学の教授から問い合わせがあった。「今度冠詞をテーマとしたものを書いて貰えないか」というものだった。また「一度お会いして英語談義を楽しみたい」とも仰った。光栄な話である。

 

 

冠詞については、それまで専門書を2冊読んでいた。以下のものである。

 

・「英語の冠詞ドリル」(椎名照雄著・The Japan Times)

・「英語冠詞講義」(石田秀雄著・大修館書店)

 

 

 

 

大学教授と英語談義と思うと畏まったが、研究室に伺うと先生はコーヒー淹れてくれお菓子を出してくれた。穏やかな方だった。

 

冠詞の使い方を人に説明するのは実に難しかったが、自分なりに頭が整理された気がした。他にも英語の蘊蓄に関する様々なお話がうかがえとても楽しいひと時となった。

 

 

冠詞がどうにか論理的に理解できるようになったのは、翻訳者になって3年目くらいのことだった。突然ではなかったが、頭の中のモヤモヤがいつの間にか晴れていた。以下はそんな趣旨の問題である。

 

 

(問題)

何によらず、これまでにできないと思っていたことが何かの拍子に突然できるようになったり、これまでよくわからずにもやもやしていたものが突然理解できたりするのは人生における大いなる喜びのひとつだと思う。そういう時はあたかも目の前の不透明なヴェールが一枚すっとはがれたような気がするものである。

(京都大学 1991年前期)

 

(拙・和文英訳)

Regardless of what it may be, I think it is one of the great joys in life that we suddenly, by some chance, become able to do something that we thought we could not do before, or that we suddenly come to understand something that we did not understand well and felt unclear. At such times, we feel as if an opaque veil in front of us suddenly peeled off.

昨日のNHKの番組で葉加瀬太郎氏「ひまわり」を聴いた。実に懐かしい曲だ。

 

今から13年前、2010年下半期のNHKの朝ドラ「てっぱん」の主題歌である。その年も今年と同じく猛暑で「9月は夏、10月は残暑」と言われた。

 

当時は翻訳会社に詰めて勤務し始めた頃で、朝から晩まで英訳と向き合う日々を過ごしていた。慣れない技術英語に目、肩、腰を痛めながら整骨院に通いつつ耐えていた時期だった。

 

ドラマ「てっぱん」は出勤前のひと時の憩いだった。人々が自由に踊る主題歌「ひまわり」を聴くと何故か明るい気持ちになり「今日一日だけ何とか頑張ろう!」と思えるようになった。

 

当時、土日になるととにかく車で遠くまで走った。見知らぬ街で見知らぬ店に入ったり、見知らぬ人々と会話することが翻訳のストレスを解消してくれた。「ひまわり」を聴くとそんな苦しかった当時を思い出す。

 

 

 

少し古い問題だが、当時の心境が思い起こされる。

 

ひとはしばしば、日常生活のわずらわしいしきたりや拘束をのがれて一人でふとどこか遠いところへ行ってしまいたくなる。が、実際にそれができる人はきわめて少ない。ほとんどの場合、ただそうしたいと心に思うだけで実行はできず、したがって思いだけがつのるようになる。

(京都大学 1984年)

 

(拙・和文英訳)

It is often the case that people feel like getting away from burdensome conventions and restrictions of daily life and suddenly going somewhere far away by themselves. However, there are very few people who can actually do such a thing. In most cases, people just want to do it in their heart, but can't do it, and therefore only the feeling for it grows higher and higher.

 

半袖だとちょっと寒い、でも長袖だと少し暑いような日々が続いている。天候は今日から雨。来週は少し寒くなるかもしれない。

 

私が小学校の頃、運動会は秋の体育の日前後に開催された。その時期までは体操服で学校に通っていたからまだ暑かったのだろう。運動会が終わると秋が深まっていった。

 

当時、運動会の入場行進が何故かとても好きだった。マーチに合わせて何か軍隊の行進みたいで心が躍る気持ちがした。不思議なものだ。

 

 

中学2年くらいの音楽の教科書に「遥かな青空」という曲が載っていた。何処かかっこいい曲だった。

 

よく調べるとこの曲「(革命歌)ワルシャワ労働歌」というものだ。そりゃ勇ましいはずだ。何故この曲が中学の教科書に採用されたのか。そのあたりの真意はわからない。

 

 

 

「遥かな青空」

1.

山や川が呼んでいる       みんな元気に出かけよう

夏は過ぎて草に木に       風にいのちがみなぎる

胸を張れ胸を張れ          仰げはるかな青空

道は広くひとすじに       進むわれらをまねくよ

 

2.

草はゆれる道ばたに       踏むな小さなその花を

腕を組めばうたごえも    はずむ笑顔だなかまよ

この手からこの手から    明日の世界が生まれる

道はみどりほがらかに    昇る朝日がまねくよ

 

 

 

昨日、最初の英会話のレッスンに参加した。4名のグループレッスンだった。

 

英会話を始めた理由は…?と聞かれ、「ボケ防止のために」と言いたかったが「ボケ」がスッと出てこない。仕方なく to rehabilitate English conversation と誤魔化した。

 

「ボケる」は英語では何というのか?調べてみた。和英辞典の記載は以下の通り。

 

ぼける(呆ける)=もうろくする

grow (go) senile; become feeble-minded with age; go gaga

 

形容詞 senile の英英辞典の定義を確認すると

 

Senile:

If old people become senile, they become confused, can no longer remember things, and are unable to look after themselves.

「老人が呆けるとは、(精神的に)錯乱し、もはや物事が思い出せず、自分自身の面倒が見られなくなる状態をいう」

 

I restarted studying English conversation as a means of preventing senility.

ボケ防止のために英会話の勉強を再開しました」

 

 

「ボケ防止」まで考えなくてはならない歳になったのか?

 

 

「追憶」

1.

星影やさしく          またたくみ空

仰ぎてさまよい       木陰を行けば

葉うらのそよぎは    思い出さそいて

澄みゆく心に          しのばるる昔

ああ なつかしその日

2.

さざ波かそけく       ささやく岸辺

すず風うれしく       さまよい行けば

砕くる月影             思い出さそいて

澄みゆく心に          しのばるる昔

ああ なつかしその日

 

大学入学後、下宿生活にも慣れてきた1978年5月。テレビもない下宿の部屋でラジオの深夜放送を聴くことが多くなっていた。

 

教養部の授業に価値を見いだせず、スチューデント・アパシーに近い状態になった。「何のために大学に入ったのか?」と漠然と思うようになっていた。

 

時間は山ほどあるのに、自分が進むべき方向がわからない、そんな状況だった。もしかしたら今の状況に似ているかもしれない。

 

 

そんな1978年5月のある夜、ラジオからある曲が流れてきた。田中美智子(榊みちこ)の「北へ向かって」

 

何故か心に残る曲で、今も時々頭に浮かぶ。次に北へ向かうのは果たして何時のことだろうか?

 

 

 

暑かった9月は去り10月に入った。朝晩はしのぎやすくなった。十五夜が過ぎて空の色も少し変わった気がする。

 

 

先日、近くの「白野江植物公園」ヒガンバナを見に行ってきた。ヒガンバナは別名曼珠沙華(マンジュシャカ)、英語では spider lily という。

 

ヒガンバナの花の色には赤、黄色、白があるが、白い花は赤と黄色(ショウキズイセン)が交配してできたものらしい。赤と黄色が交配して白になるのは不思議だが、これは遺伝子の白化変種と言われている。

 

ヒガンバナの隣で賑やかに咲いていたのがキバナコスモスのオレンジだった。

 

 

 

 

 

 

 

10月から英会話のリハビリのためにスクールに通うことにした。会話からは随分長く遠ざかっており先日のレベルチェック・インタビューでリスニングの弱さを実感した。

 

インタビューはオンラインで、面接官はアメリカ人男性だった。簡単な自己紹介をした後にリスニングのテストが2本あった。聴き取れないところも多かった。

 

聞き取った内容を英語で述べたり、内容に関する質問を受けたり。

 

さらに、検査官は3種類の楽器の写真を私に見せた。ドラムとサクソフォーンとギターだ。Can you play these instruments? と私に質問した。私が No, I can’t. と答えると、 Choose one and explain how to play the instrument. と指示した。

 

とりあえずギターを選んだが、なかなか説明するのが難しい。「ギターを両手で抱え、弦を指で弾いて音を出す。」と何とか言えたが、さらに How do you change the sound? ときいてきた。「弦の上の指をスライドさせて音を変える。」とどうにか言えた。

 

結局、結果は中の上レベル。リスニングの弱さが響いた。

 

ディレンマ(dilemma)を広辞苑で引くと「相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態。抜きさしならない羽目(境遇)。進退両難。」とある。

 

英英辞典の定義は以下の通り。

 

Dilemma:

A dilemma is a difficult situation in which you have to choose between two or more alternatives.

「2つ(またはそれ以上)の選択肢から1つを選択しなければならない困難な状況」

 

Those days, he had been in a dilemma about whether to study abroad or not.

「当時、彼は海外留学するか否かで板ばさみになっていた」

 

 

この選択肢が3つ、4つ、5つと増えると、trilemma, quadilemma, quintilemma という形になる。

 

 

経済学に「国際金融のトリレンマ」という概念がある。これは国際金融政策において以下の3つの政策を同時に達成することはできないというものである。

 

①為替レートの固定化(または安定化)

②自由な資本流出入(資本取引の自由化)

③金融政策の独立性

 

例えばユーロ圏において、もしユーロを受容し自国通貨を放棄すれば、ユーロ圏内で為替を固定することになる(①達成)。また、域内での自由な資本移動も認められている(②達成)。しかし、金融政策はすべて欧州中央銀行に一任することになり独立した金融政策を採ることはできない(③不達成)

 

以下は、少し前の日経新聞「経済教室」「インフレ下の小売り 自社の強み生かす王道を」(鈴木智子・一橋大学教授)からの引用(抜粋・一部改訂)である。

 

 

(本文)

昨今、世界が過去数十年見られなかったインフレに見舞われているが、消費者にとっては、名目所得が物価ほど上がらなければ買えるものが少なくなり購買力が低下する。一方、企業にとってはインフレでコストが上昇すると利益率が圧迫され、価格引き上げと競争力維持のバランスを取らねばならなくなる。

 

小売企業がインフレに対処するためにとる一般的な戦略は、コストコントロールと顧客支援活動が中心となる。顧客支援活動にはロイヤルティープログラムの強化、価格の保証、品ぞろえやCSRの取り組みの強化があげられる。

 

一方で、価格は据え置くが容量を縮小する「シュリンク(縮小)フレーション」、コスト上昇に対応するために商品やサービスの質を低下させる「スキンプ(手抜き)フレーション」、コストの上昇以上に値上げを続けることで超過利潤を得る「グリード(強欲)フレーション」などのイニシアチブ(構想)も存在する。

 

しかしこれらは、短期的には小売企業の利益につながるが、長期的には業界全体の損失につながりかねない。消費者の信頼とロイヤルティーを損ない、小売企業のブランドエクイティを危うくし、顧客の流出、愛用者の減少、売上の低下を招く恐れがある。(以下略)

 

 

(拙・和文英訳)

Recently, the world has been experiencing inflation that has not been seen in decades, but for consumers, if nominal incomes do not rise as much as prices, they will have less to buy and their purchasing power will decrease.For companies, on the other hand, rising costs due to inflation will put pressure on their profit margins, forcing them to strike a balance between raising prices and maintaining competitiveness.

 

Common strategies that retailers use to cope with inflation are centered around cost control and customer support activities.Customer support activities include strengthening of loyalty programs, price guarantees, and strengthening of product lineup and CSR initiatives.

 

On the other hand, there are initiatives such as “shrinkflation” that keeps prices unchanged but reduces capacity, “skinpflation” that reduces the quality of products and services in order to cope with rising costs, and “greedflation” that earns excess profits by continuing to raise prices more than costs rise.

 

However, while these initiatives can lead to profits for retailers in the short run, they can lead to losses for the industry as a whole in the long run. It could erode consumer trust and loyalty, jeopardize a retailer’s brand equity, lead to an outflow of customers, a decrease in loyal users, and a decline in sales. (hereinafter omitted)