流離の翻訳者 青春のノスタルジア -23ページ目

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

今日の日経新聞の【春秋】欄に「恬淡」(てんたん)という熟語がでていた。「心がやすらかで無欲なこと。あっさりしていて物事に執着しないさま。」のことを言う。

 

「恬」という漢字を漢和辞典で引くと「やすらか。平然として落ち着いている。平気でいる。」とあり、ここに「やすらか」という意味があるようだ。

 

この「恬」で思い出した人名がある。中国・秦帝国の「蒙恬」(もうてん)という武将である。「世界史用語集」(山川出版社)を引くと「?~前210年 秦の将軍。前215年30万の軍を率いてオルドスに匈奴を討つ。万里の長城修築にも協力。」とあった。

 

蒙恬は、弟の蒙毅とともに匈奴討伐などに功績を挙げ始皇帝に重用されたが、趙高たちの陰謀によって扶蘇と共に自殺させられた。悲劇の名将と言われている。

 

昔はこんな人名も楽しみながらよく頭に入ったものだ。

 

 

 

因みに「恬淡」を和英辞典で引いてみると、Unselfish; disinterested; indifferent (to fame) などの形容詞が訳語として挙げられていた。英文例は以下の通り。

 

She is that rarity among politicians today: a person who is indifferent to power.

彼女は昨今の政治家には珍しく権力に恬淡とした人だ

 

 

先日から「京都の歴史を歩く」(小林丈広・高木博志・三枝暁子著/岩波新書)を読んでいる。帯に自宅でめぐる「本当の京都」とあった。自分に馴染みが深い地域を選んで読んでいるが、当地を歩いているような心地になる。

 

 

今年はもう無理だが、来年こそは京都を訪れたい。最後に行ってからもう15年になる。

 

高校に入学して2か月くらい経った頃、ある模擬試験を受験させられた。「関西模試」と呼ばれるものでやたら難しかった印象がある。

 

未知の英単語ばかりだったが英語はなんとか点数になった。数学と国語は点数になる以前のものだった。

 

一か月ほどして結果が返ってきた。得点・偏差値とともに成績優秀者名簿が配布された。名簿には全国の進学校の成績優秀者の氏名がカタカナで掲載されていた。

 

 

高校2年に上がると「関西模試」「進研模試」と呼ばれるようになった。この「進研模試」を実施していたのが「福武書店」で、本社が岡山にあった。

 

高校3年時は「福武書店」「進研ゼミ」を申し込んだ。英・数・国の主要3科目コースだったが科目ごとに月別のテキストが今も何となく目に浮かぶ。「Challenge(チャレンジ)」というタイトルだった。

 

この「福武書店」「ベネッセ(コーポレーション)」に商号変更したのが1995年、阪神淡路大震災が起こった年である。

 

 

「ベネッセ」には娘が小さい頃「しまじろう」「すきすきかいじゅう」でお世話になった。

 

40代の頃には「ベネッセ」の株を保有していたが、今はもう手許にない。思えば何かと自分の人生に関わってきた会社のようである。

 

 

この「ベネッセ」が今月、経営陣による自社株買収(MBO)を実施し、株式を非上場化すると発表した。少子化で主力の「進研ゼミ」など教育事業の先細りが続く中、意思決定を迅速にできる環境を整えることが理由らしい。

 

 

なお、MBOとは、以下のようなものである。

 

Management Buyoutの略称。M&Aの手法のひとつで、会社の経営陣が、金融支援を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法を言う。具体的には、グループの経営方針により親会社が子会社や一事業部門を切り離す際、第三者に売却せず、経営陣がその株式を取得し、会社から独立するために用いられることが多い。また、株式公開のメリットが薄れた上場会社が、会社自ら株式非公開に踏み切るための手段として活用されることもある。

(野村證券HP・証券用語解説集より引用)

 

 

秋の終わり、何となく寂しいニュースである。

 

 

 

今日は快晴。年末年始に向けて朝から1階の窓やサッシの清掃を依頼した。家内の友人紹介の業者である。枚数が結構あるため午後3時くらいまで掛かるらしいが見違えるほどにピカピカになっている。やはりプロは違うと感じた。

 

毎日清掃を行っている人は、きっと心の中も清々しいものだろう。そんな気がする。

 

 

高校時代の友人でビジネス・コンサルタントになった者がいる。もう随分昔、彼が福岡で事業を立ち上げた当初、毎朝仕事前に近隣の公園などの掃除を行ったらしい。

 

親不孝通り近くの事務所だったが、掃除というプラスの行動がプラスの気持ちを生じさせ、それが仕事に良い影響をもたらしたそうだ。

 

 

銀行などの支店で、行員(従業員)に毎朝店舗の周りを掃除させているところもあるが、これはCSR(Corporate Social Responsibility)の取り組みの一つでもある。

 

他にも掃除と経営を結び付けて考える理論は結構あるようだ。

 

 

昨日の昼過ぎから関節痛がすると思ったら微熱が出ていた。思えば久々の発熱である。コロナの時代、発熱に神経質になりすぎていたようである。

 

薬を飲んで一日おとなしく寝ていたら、今日は随分楽になった。風邪の引きかけだったのかも知れない。もう大丈夫そうである。

 

 

今朝から冷え込むと予報されていたがさほど寒くはないようだ。郵便受けを覗くと、朝刊とともに11月に受けた健康診断の結果と一通の喪中はがきが届いていた。今年もそんな季節になった。

 

再びベッドで寝ていると頭の中にある曲のメロディーが流れてきた。「♪♪~街中を秋のクレヨンが足ばやに染めあげてます~♪♪」。太田裕美の「最後の一葉」

 

 

「秋のクレヨン」。何とも美しい表現である。今年も美しい季節が過ぎてゆく。

 

 

「マグニフィセント・セブン」(The Magnificent Seven)とは、1960年のアメリカ映画「荒野の七人」の原題であるが、昨今この「マグニフィセント・セブン」が違う意味で使われるようになっている。

 

 

「マグニフィセント・セブン」とは、米国株市場における主要テクノロジー企業7社を指す。GAFAM(Google,Amazon,Facebook(現Meta Platforms, Inc),Apple,Microsoft)と呼ばれる主要5銘柄に、TESLA(テスラ)とNVIDIA(エヌビディア)を加えた7銘柄を意味する。

 

この7銘柄は、2023年年初からの米国株式市場を牽引しており、その影響力の大きさからマグニフィセント・セブンと呼ばれている。中でも、半導体大手のエヌビディアの株価は2023年5月末時点で年初来約2.6倍上昇し、その時価総額が一時、1兆米ドルに達して注目された。

(以上、野村證券HP【野村の解説】より引用)

 

 

昨日から急に寒くなった。今日からファンヒーターを使い始めた。今年も秋は短そうだ。午前中外出したが、ダウンジャケットを羽織った人が見られた。11月初旬は半袖でも過ごせたのが嘘のようである。

 

水温の温度調節がマズかったようで、熱帯魚と一緒に飼っていた淡水魚(メダカ・小エビ・貝など)が死んでしまった。水温が高すぎたようである。可哀想なことをしてしまった。

 

 

「日高睡足猶慵起」(日高く睡り足れども猶(なお)起くるに慵(ものう)し)で始まる漢詩がある。「日は高く昇り、睡眠も十分とれているのに起きるのが面倒くさい」という意味だ。寒くなったからかよく眠れるようになった。毎朝こんな気持ちになる。

 

学生時代(とくに大学3年以降)は、毎日がこんな感じだった。何か一つでも打ち込めるものが見つけられれば、もっと充実した学生生活が送れただろうに。また仮定法過去完了の話になった。

 

 

「日高睡足猶慵起」の漢詩は、以前英訳を試みているので、以下に記載しておく。

 

 

 

「香爐峰下新卜山居草堂初成偶題東壁」      白居易

「香炉峰下新たに山居を卜(ぼく)し草堂初めて成る 偶(たまた)ま東壁に題す」

 

日高睡足猶慵起                    日高く睡り足れども猶起くるに慵(ものう)し

小閤重衾不怕寒                    小閣に衾(ふすま)を重ねて寒を怕(おそ)れず

遺愛寺鐘欹枕聽                    遺愛寺の鐘は枕を欹(そばだ)てて聴き

香鑪峯雪撥簾看                    香鑪峯の雪は簾(すだれ)を撥(かかげ)て看(み)る

匡廬便是逃名地                    匡廬(きょうろ)は便(すなわ)ち是れ名を逃るるの地

司馬仍爲送老官                    司馬は仍(な)お老を送るの官為(た)り

心泰身寧是歸處                    心泰(やす)く身寧(やす)きは是れ帰する処

故郷可獨在長安                    故郷何ぞ独り長安にのみ在らんや

 

(拙・現代語訳)

日は高く昇り、睡眠も十分とれているのに起きるのが面倒くさい。小さな部屋に布団を重ねているので寒さは怖くない。

遺愛寺の鐘は枕から頭を上げて聴き、香爐峰の雪は簾を上げて見ることができる。

匡廬(廬山)は名誉や名声を求めず引き篭もるには都合のよい場所であり、司馬も老後の隠居生活には恰好の職である。

心が落ち着き、身体も安まる場所こそが安住の地であり、故郷はなにも長安に限らない。

 

(拙・和文英訳)

“A poem composed on the east wall in commemoration of the first settlement of the thatch hut at the foot of Mt. Koroho” by Bai Juyi

 

Even in the late morning with enough sleep, I’d like to be in the bed a little longer,

Where there’s no fear of cold under layered bedclothes in this small hut.

I listen out for the sound of bells from Iaiji temple on the pillow,

Whilst scrolling the reed screen to look at the snow on Mt. Koroho.

Lushan is a place to hide myself from seeking honor and fame,

While the local governor is a suitable post for me to spend my last days.

Here’s the very place that I could live a quiet life with peaceful mind,

There’s no reason why Chang’an should solely be my hometown!

 

最近、日経新聞のコラムで興味深い記事を見つけると、その著者(学者)の本を探して買うようになった。また積ん読本が増えつつある。

 

ただ、興味深い(=わかりやすい)と思ったコラムはどういうわけか女性著者のものが多い。文章が柔らかいからか、スッと頭に入ってくる。一冊は消費者行動論・マーケティングに関するもの。もう一冊は国際関係論に関するもの。

 

それにしても今月の「私の履歴書」前日本銀行総裁の黒田東彦氏の文章の内容は難しい。【経済教室】よりも難解だ。これまでの不勉強が悔やまれる。

 

 

とにかく年内はもう本を買うのはもうやめよう。机の上が積ん読本で山盛りになってしまう。気がつけば今年も残すところ1か月半。年内にどこまで積ん読本を消化できることやら。

 

 

郊外では田畑で雑草を燃やしているようであちこちで煙が上がっている。その近くを車で通りすぎると車内に煙の香りが入ってくる。何か懐かしい匂いだ。

 

柿がたわわに実っている景色があちこちで見られるようになった。秋は確実に深くなっている。日本は今の時期が一番美しい。

 

 

青春時代に聴いたアーティストが亡くなるのは辛いことだ。これからはそんな訃報も多くなるだろう。随分歳をとったものである。

 

 

 

 

県内のあちこちで紅葉が見頃となりつつあるが、今日は生憎の雨。来週は一気に寒くなるようである。

 

ウイークデイの何処かで近場で紅葉狩りでもでしてみたい。

 

 

「山行(さんこう)」           杜牧(とぼく)

遠上寒山石径斜                    遠く寒山に上れば 石径(せっけい)斜めなり

白雲生処有人家                    白雲生ずる処(ところ) 人家有り

停車坐愛楓林晩                    車を停めて坐(そぞろ)に愛す 楓林の晩(くれ)

霜葉紅於二月花                    霜葉は二月の花よりも 紅(くれない)なり

 

(拙現代語訳)

遥々と寂しい山に登っていくと、石の多い小道が斜めに続いている。白い雲がかかっているあたりに人家が見える。

車を停めて思わず夕日に照り映えた楓の林の景色を眺めてみた。霜にあたり紅葉した楓の葉は二月の桃の花よりもずっと赤くて美しい。

 

(拙英語訳)

“Mountain Walking” by Du Mu

Desolate mountain top afar off commands a stony path running slantwise to a house under the white clouds in the distance.

Stopping the cart to stroll around the maple trees in the twilight, frosted leaves look redder than plum blossoms of February.

 

 

最近、ウォーキングができない冬場のためにフィットネス・バイクを買い求めた。今は一日20分ほど漕いでいるが、少しずつ増やしてゆきたい。果たして何時まで続くことやら……。

 

私が大学に入学した1978年は女性ヴォーカルの名曲が多い年だ。

 

渡辺真知子さんの「かもめが翔んだ日」「ブルー」八神純子さんの「思い出は美しすぎて」「水色の雨」庄野真代さんの「飛んでイスタンブール」「モンテカルロで乾杯」などなど。

 

いずれもカラオケでよく歌ってきた曲だ。そんな中、その年の夏ごろに発売されたのが大橋純子さんの「たそがれマイラブ」だった。非常に虚無的(ニヒリスティック)な歌詞が魅力的な曲だった。難しい曲なのであまり歌ったことはない。

 

大学1年の夏休みはあまり思い出がないが、丸山真男「日本の思想」の感想文と格闘していた記憶が残っている。同書は45年の時を超えて、今年なんとか読破したが、当時の自分には歯が立たなかったようである。

 

 

ご冥福を心からお祈りしたい。