高校に入学して2か月くらい経った頃、ある模擬試験を受験させられた。「関西模試」と呼ばれるものでやたら難しかった印象がある。
未知の英単語ばかりだったが英語はなんとか点数になった。数学と国語は点数になる以前のものだった。
一か月ほどして結果が返ってきた。得点・偏差値とともに成績優秀者名簿が配布された。名簿には全国の進学校の成績優秀者の氏名がカタカナで掲載されていた。
高校2年に上がると「関西模試」は「進研模試」と呼ばれるようになった。この「進研模試」を実施していたのが「福武書店」で、本社が岡山にあった。
高校3年時は「福武書店」の「進研ゼミ」を申し込んだ。英・数・国の主要3科目コースだったが科目ごとに月別のテキストが今も何となく目に浮かぶ。「Challenge(チャレンジ)」というタイトルだった。
この「福武書店」が「ベネッセ(コーポレーション)」に商号変更したのが1995年、阪神淡路大震災が起こった年である。
「ベネッセ」には娘が小さい頃「しまじろう」や「すきすきかいじゅう」でお世話になった。
40代の頃には「ベネッセ」の株を保有していたが、今はもう手許にない。思えば何かと自分の人生に関わってきた会社のようである。
この「ベネッセ」が今月、経営陣による自社株買収(MBO)を実施し、株式を非上場化すると発表した。少子化で主力の「進研ゼミ」など教育事業の先細りが続く中、意思決定を迅速にできる環境を整えることが理由らしい。
なお、MBOとは、以下のようなものである。
Management Buyoutの略称。M&Aの手法のひとつで、会社の経営陣が、金融支援を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法を言う。具体的には、グループの経営方針により親会社が子会社や一事業部門を切り離す際、第三者に売却せず、経営陣がその株式を取得し、会社から独立するために用いられることが多い。また、株式公開のメリットが薄れた上場会社が、会社自ら株式非公開に踏み切るための手段として活用されることもある。
(野村證券HP・証券用語解説集より引用)
秋の終わり、何となく寂しいニュースである。