ソウルメイト・ドラゴン⑫ 愛を言葉で伝えたい | 立ち止まったハートが前進する!未来が視える奇跡リーディング

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【未来が視える!奇跡リーディング】で、立ち止まったあなたのハートを開きます。女性の健やかな幸せのためにポラリスは輝きます。人響三九楽ヒビキサクラ

 

ソウルメイト・ドラゴン ① 天命を載せた龍

ソウルメイト・ドラゴン② 私は龍の背中に乗る

ソウルメイト・ドラゴン③ 運命は「もし・・・」を超えた積み重ね

ソウルメイト・ドラゴン④未来は過去を手放した「今」から開かれる

ソウルメイト・ドラゴン⑤ 星が私を導く

ソウルメイト・ドラゴン⑥ 一見ネガティブな出来事にでさえ、最善の未来がある

ソウルメイト・ドラゴン⑦ 私は皆に応援されている

ソウルメイト・ドラゴン⑧ この結婚生活は、仮面夫婦でセックスレス

ソウルメイト・ドラゴン⑨ あきらめが明らかに改まった時、光が見える

ソウルメイト・ドラゴン⑩ 運命という龍に選ばれここに来た

ソウルメイト・ドラゴン⑪ 神様が用意した束の間のドルチェヴィータ

 

 

この時から、私は心から望むものができた。
それは家定様との間の子どもだ。
私と家定様に子どもが産まれ、その子が男子であれば次の将軍の跡継ぎが難なく問題もなくなる。
さらにもし私達の子どもができれば、家定様も未来に希望が持てるのではないか、と思った。

「のう、幾島。
もし私と上様の間にお子ができたのなら、義父上様も一橋慶喜様を推さず、私達の子を時期将軍へと推して下さるのではないか?」
「はい、それはもちろんそうできれば一番ようございますが・・・。」
いつもはハッキリと物申す幾島が、珍しく口ごもった。

幾島の目を見て言った。

「昨日、初めて上様と結ばれた。

まだ上様はお若い。
元気いっぱい、というわけではないが、私との間にお子を作ることもまったく可能性がないわけではない。
ほんのわずかでも可能性があるならば、それに賭けてみる。

幾島、私に協力してはもらえないか?」

幾島は目を伏せ、頭を下げた。

「承知いたしました。
 御台様がそのようにご決意を固めておられるのでしたら、私から西郷を通じ、斉彬様にそう申します。
が、御台様、その可能性を持ちながらも、一橋慶喜様を上様に推していただくこともお忘れなきようにお願いいたします」

「幾島、次の将軍について上様の見解があるのだ。
やはり上様はこの国のことをしっかり考えておられる。

もちろん、お義父上様もそうだ。
だが、今のこの国の状態を一番わかっているのは上様だ。
上様がお決めになることを、私はどうのこうのと申せない。
今はそれよりもほんのわずかでも、私と上様のお子ができる可能性を探りたい」

ぴしゃりと言うと、幾島がますます困った顔をして目線をそっと外した。

幾島はお義父上様に忠実だから、私の返答に困っているのがわかった。
心なしか幾島が肩を落しているように見えた。

しかたない、と言い聞かせる。

自分が何を背負い、大奥に来たのかわかっている。
わかった上で、やってみたい。
叶えてみたい。

女だからこそ、できること。

ほんのわずかでも可能性があるなら、そこに賭けたい。

と改めて心を決め、強く拳を握った時だった。
 

「歌橋様がお越しでございます」
と、侍女が家定様の乳母である歌橋を連れてきた。

家定様の本当の生母である歌橋。

少し緊張し、お腹に手を当て呼吸を整え彼女の前に出た。

そして二人だけで話せるよう幾島にも席を外させ、人払いした。

どうして自分が呼ばれたのかわからず、堅い表情をしていた。

「御台様、ご機嫌麗しくて何よりでございます。
本寿院様が、昨日は上様と御台様が一緒に休まれたことを喜ばしく思っているのでお伝えするように、と託かってまいりました」

ほんとうか?

心の中で叫んだが、顔に出ないようそっと膝を押さえた。
そして家定様を自分の出世の道具にした女と、そのために自分の子どもをさし出した女の言葉に真実があるのか、探ってみた。

「そなたが言われた通り、上様は本当はとても利発な方であった。
これまで命を狙われたこともあり、愚鈍なフリをしておられたが、何よりもこの国のことを考えておられるのがわかった。
そして上様は、大変お菓子作りがうまい。
私も食べさせていただいて、驚いた。
上様はもし自分がこのような身分でなければ、菓子を作るお役目につきたかったそうだ。
自分が作った菓子を食べてもらい、人に喜んでもらうのがすきだそうだ。
本当の上様は、ただただ自分が得意なことで人に喜んでもらうだけで、幸せなのかもしれない」

うつむいていた歌橋の肩が震えていた。
歌橋は顔を上げて言った。
「上様が、そのようなことを・・・・・・」

「ええ。

そして、このようにも言われた。
もし私がこの世を去り、今度菓子職人として生まれ変わっても、私の妻でいてほしい。
自分の作った菓子を食べ、笑っていてほしい。
いつまでもずっと自分のそばにいてほしい
そう、約束してほしい、と言われた」

言いながら目から涙が流れることに気づいた。

なぜだかわからない。
家定様はまだお元気だというのに。
私のそばにいる、というのに。

でも私は過去形で話していた。


歌橋も目を真っ赤にし、必死で涙をこらえているようだった。

涙を流したまま、言葉を続けた。

「私は、上様に約束した。
今度生まれ変わっても、美味しいお菓子を作って私に食べさせて下さい、と。
でも、今はまだ上様と一緒にいたい。
できれば、上様との間にお子がほしい。
無茶な望みなのは、よくわかっておる。
が、それが上様の希望になるかもしれない。
私はこの先もずっと上様と一緒に生きていたい。
あの方を支えていきたいのじゃ」

歌橋は畳に伏して、頭を下げた。

その肩は小刻みに震えていた。

「御台様、ありがとうございます!!

本当にありがとうございます。
上様がそのようなお言葉を、言われたのですね。
生きる希望を持たれたのですね。

よかったです。

本当によかったです。
上様は苦しいことだけでは、なかったのですね。
生きておられて、楽しいこともあったのですね。
御台様のおかげです。
御台様にお会いできたからこそ、上様は希望が持てたのです。
歌橋、心より御台様に感謝いたします」

顔を上げた歌橋も、涙を流していた。

その顔は大奥で家定様を育てた乳母ではなく、自分が産んだ子を泣く泣く龍に差し出した母親の顔だった。


私は目を閉じ、上様を思った。

ああ、家定様・・・・・・あなたは、愛されておられますよ。
たぶん歌橋はやむにやまれぬ理由があり、あなた様を本寿院様に差し出したのでしょう。
本当はあなたを、我が子だと抱きしめたかったはず。
安全な場所で、自由に生かしてあげたかったはず。
けれど決して口に出せない大きな愛で、あなた様をずっと見守り愛していたのです。

私は胸いっぱい歌橋の上様への愛を吸い込んで、言葉で出した。

「歌橋、上様を育ててくれてありがとう。

心より礼を申します。
あなたがいたから、私は上様と出逢うことができました。
たとえ上様がどんなお方であろうと、私は上様を心より愛し受け入れています。

上様を大切にお守りいたします。

どうぞ、ご安心下さい」

この言葉に、歌橋は上様と同じ丸い目を大きく見開いた。

息をするのも忘れたように口を開き、私の顔を凝視した。
そして何か言いたそうに口ごもったけど、言いだせずその場で固まった。
私は決して言葉に出せない思いを、精いっぱい笑顔に込めた。

歌橋はついに両手で顔を覆い、泣き始めた。
私は歌橋のそばに行き、彼女の肩をそっと抱きしめた。

 

お母様・・・
私の愛おしい人を産んで下さったお母様。
ありがとうございます。

感謝の思いを込め、歌橋の背中をさすった。

愛する我が子に母と名乗れず乳母としてそばにいる母親と、一縷の望みをかけ愛する人との子を望む私。
オレンジ色の夕陽が部屋に差し込み、私達をあたたかく包む。
形は違えど、切ないほど美しい愛がそこにあった。

家定様にこの愛を伝えたい。

目に見える愛だけが、愛ではない。

目に見えないけれど、目に見える愛よりも深い愛がある。

私達はどれだけの愛に気づかず、生きているのだろう。

愛に背中を向ける方が楽なのかもしれない。

だが愛はその背中さえも包み込む。

歌橋の愛は、私にそのことを教えてくれた。

それが名乗ることを許されない母の愛だ、と。

 

伝えたいけれど伝えられない愛は、どこまでも深く私の中に沈み込む。

だけど私は伝えられる。

歌橋の愛も、私の愛を。

愛を態度だけでなく、言葉でも伝えたい。

この愛を上様にお伝えすることを私は夕陽に誓った。

 

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あなたは伝えたい愛が、ありますか?

 

それは、誰に一番伝えたいですか?

 

どうしてそれを伝えたいのでしょう?

 

愛は態度と言葉でしっかり伝えましょう。

 

あなたがそうして欲しいように、相手もそうして欲しいのです。

 

 

 

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