MOTHER/LUNA SEA
1. LOVELESS
2. ROSIER
3. FACE TO FACE
4. CIVILIZE
5. GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜
6. AURORA
7. IN FUTURE
8. FAKE
9. TRUE BLUE
10. MOTHER
STYLE/LUNA SEA
1. WITH LOVE
2. G.
3. HURT
4. RA-SE-N
5. LUV U
6. FOREVER & EVER
7. 1999
8. END OF SORROW
9. DESIRE
10. IN SILENCE
11. SELVES
DUAL SELF COVER ALBUMと銘打って発表されたLUNA SEAのリテイクアルバム。
アルバム単位でセルフカヴァーを行うのは、リブート後に発表した「LUNA SEA」以来。
その際にも大きな衝撃を与えていた彼らですが、代表作とも言える「MOTHER」と「STYLE」までが、まさか現代に蘇ることになろうとは。
思い入れがあるファンも多い大名盤だけに、相応の覚悟と自信がなければできないであろう再構築。
それをさらりと2枚同時にやってのけてしまうのが、LUNA SEAがレジェンドとして君臨し続けている理由なのでしょう。
アルバム構成に隙が無いのは所与のものとして、更に流れが良くなったと感じるのが「MOTHER」です。
コーラスワークを強めることで奥行きが出た「FACE TO FACE」、Vo.RYUICHIさんの表現力の向上によって凄みを増した「GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜」など、基本的には純粋に進化を遂げたと言えるラインナップ。
一方で、「AURORA」から「FAKE」までの流れについては、オリジナルをリスペクトしつつも大幅に解釈を変えてきていて、特に「AURORA」のロックナンバーとしての進化は目を見張るものでした。
これによって、「GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜」を挟んだ二部構成的だった流れが、最初から最後までストーリーの連続性を感じさせる展開になったなと。
完璧だと思っていたオリジナルを凌駕し、想い出補正を飛び越えて、これが完成版「MOTHER」なのだとリスナーに受け入れさせてしまったというのが、もはや奇跡なのですよ。
「STYLE」については、逆に「FOREVER & EVER」までの流れと、「1999」からの流れをはっきり切り替えて、タイトで神経質な第一部と、高揚感を加えて盛り上げていく第二部という解釈ができそうです。
前半は、先行配信されていた「G.」はもとより、「HURT」から「LUV U」までの強化具合いが半端ないですね。
新たな要素を加えたというよりは、筋繊維が太くなったことで強靭になったと言えそうなアンサンブルの熟成。
シンプルな演奏力で勝負している楽曲が多いからこそ、その音圧をダイレクトに感じずにはいられません。
シングル曲が固められた後半は、とにかくノンストップ感。
「1999」から「END OF SORROW」に繋ぐギミックは踏襲しつつ、そのまま「SELVES」の導入まで息継ぎなしで走り切るような勢いを、懐の深い音像の中に見つけることができました。
なお、エンジニアは「CROSS」に引き続き、スティーヴ・リリーホワイト氏が担当。
ベースが格好良く聴こえるミックスのセンスが絶妙で、メンバーの総意として彼に依頼するのも納得です。
もちろん、細部においてはオリジナルのアレンジの方が好みだったり、若さ故の鋭角的な切れ味も捨て切れなかったり、好みの部分も含めてすべてにおいてセルフカヴァー盤が上回っているとは思いませんが、現在のLUNA SEAの武器がこれ以上ないほどに表現されている1枚。
ヴィジュアル系の歴史に名を遺す作品となったのは間違いないのでは。
<過去のLUNA SEAに関するレビュー>
A WILL
THE ONE -crash to create-
PROMISE
LUNA SEA