ヴィジュアル系において、尺の長い曲と言えば、30分を超えるX JAPANの「ART OF LIFE」の知名度がダントツでしょう。 最近だと、メリーの「激声」も、15分を超えるシングルとして、大きなインパクトを与えました。 この手の楽曲に共通して言えることは、組曲的なアプローチであること。 パーツをそれぞれ再構築させたら、2、3曲に分離できるような構成であることが多いですよね。
しかし、この「THE ONE -crash to create-」は、それらの組曲たちとは異質。 基本的に存在しているベースのサウンド、メロディ、世界観が、常に一定に保たれているのです。 ダイジェスト的に、どの部分を切り取っても、ひとつの楽曲として確かに認識できる。 ひとつのアイディアから膨らませて、固定観念にとらわれない、自由なアレンジを試みた結果、必然的に23分になったといったところ。
また、これだけの長さがあっても、中だるみするどころか、最後まで緊張感を持って聴けるから凄い。 例えば、Dir en greyの「アクロの丘」なども、ひとつのイメージから膨らませての長編ではありますが、それでも10分未満。 これを倍の長さにしたら、と考えると、いくらDirでもダレてしまいそう。 こんなにゾクゾクしたまま、何度でも聴きたくなる23分は、ある意味、革命的。 まったく、長さを感じさせません。