EDEN / LUNA SEA | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

EDEN/LUNA SEA
¥3,059
Amazon.co.jp

1.JESUS
2.BELIEVE
3.Rejuvenescence
4.RECALL
5.ANUBIS
6.LASTLY
7.IN MY DREAM(WITH SHIVER)
8.STEAL
9.LAMENTABLE
10.Providence
11.STAY

LUNA SEAの1993年にリリースされた3rdアルバム。
メジャー1stシングルである「BELIEVE」や、後にリカットされる「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」を含む11曲が収録されています。

「LUNA SEA」、「IMAGE」と貫いたダーク&ハードな路線から、音楽性の変化が見られることから、賛否両論が巻き起こった作品。
メンバーも自ら"失敗作"と公言しており、あまりライブでも演奏されなかった不遇さがある一方、根強いファンも多いことでも知られていますね。

大局観としては、とても白い。
ゴシックなイメージを一掃してしまうくらいに、透明感があり、幻想的な雰囲気を持つ楽曲を多く揃えているのが、本作の特徴です。
後にも先にも、ここまで白系サウンドで統一されたLUNA SEAはお目にかかれないのではないかと思えるくらい。

「JESUS」、「BELIEVE」、「Rejuvenescence」と、勢いがあるスタートを切るのですが、その中に、ポップさが垣間見える点で、これまでのダークナンバーとは一線を画している。
激しさで押すことよりも、メロディアスさを意識しているような印象です。

そして、「RECALL」、「ANUBIS」と、どんどんファンタジックな世界に入り込んでいくと、ポップとマニアックの境界線をフワフワと彷徨うトリップ感から、抜け出せなくなっていく。
「ANUBIS」は、「Blue Transparency」の前奏として演奏されていたものを、1曲に再構築したのでしたっけ。
だからか、この手のナンバーでも、ライブ感はあったりするのですよね。
インディーズ時代のレアアイテムを再録した「LASTLY」も、そんな世界観に、さらっと馴染んでいるから面白い。

「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」は、シングルとして有名ですが、ある意味、このアルバムを象徴している楽曲かもしれません。
白くて、ポップで、幻想的。
そのくせ、歌詞については、ダークなイメージも残しているので、ほんのり不気味さも潜んでいる。

ジャジーな「STEAL」、掛け合いからの開放的なサビが高揚感を煽る「LAMENTABLE」と、バンド感がある楽曲が続き、ラストに向けて疾走していくと思いきや、どっぷりと暗く壮大な「Providence」が次に配置されているあたりは、聴きやすさの中に含まれる毒々しさを、複合的に表現したといったところか。

締めは、問題作である「STAY」。
結局、この作品の評価は、ラストに送り込まれたこの楽曲を受け入れられるかどうかで決まってしまうのだろうな。
活動再開後も含めて、ここまで突き抜けた明るさ、ポップさを持ったナンバーは、ほとんど見られない。
ある程度、全体的にJ-POP化された後期ならともかく、比較的初期の作品に、しかも、「Providence」の後に、こんなメジャー感バリバリの曲が待っていたら、ファンの戸惑いも容易に想像が付くというもの。
今となっては、この食った感じもLUNA SEAと思えるのですけど。

もっとも、1曲1曲は粒ぞろい。
RYUICHIさんの声も、鋭さを残していた頃ですし、「STAY」の極端さを置いておけば、失敗作というほど、聴きどころがない作品とは思えません。
やはり、V系の源流とも言えるアレンジ力、構成力の高さや、音作りについては、20年経った今でも目を見張るものがある。
時代が時代なので、音質面で物足りなさはあるも、2007年にリマスター盤がDVD付きでリリースされているので、そちらを購入すれば、それほど気にならないでしょう。

比較対象となる前作、前々作が、名盤中の名盤と謳われている2枚であったことが不幸すぎましたね。
なんだかんだ、格好良い。
まぁ、何が一番格好良いかって、これだけのアルバムを作っておきながら、「失敗作」と言い切ってしまう、LUNA SEAというバンドのスタンスなのかもしれませんけれど。

<過去のLUNA SEAに関するレビュー>
THE ONE -crash to create-
PROMISE
LUNA SEA
LUNA SEA(インディーズ)