惡 / MUCC | 安眠妨害水族館

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惡/MUCC

 

 1. 惡 -JUSTICE-

2. CRACK

3. アメリア (惡 MIX)

4. 神風 Over Drive

5. 海月

6. Friday the 13th

7. COBALT

8. SANDMAN

9. 目眩 feat.葉月(lynch.)

10. スーパーヒーロー

11. DEAD or ALIVE

12. 自己嫌惡

13. アルファ

14. My WORLD (惡 MIX)

15. 生と死と君 (惡 MIX)

16. スピカ

 

 

MUCCにとって、アルバムとしては初のオリコントップ10を獲得した15thアルバム。

初回生産限定盤、通常盤、朱ゥノ吐VIP会員限定受注生産盤の3タイプでリリースされました。

 

アルバムを制作するたびに、その時点でのマイブームが大きく反映され、音楽性が常に流動的に進化しているパブリックイメージがある彼らですが、近年では、それらの経験を普遍的なサウンドに還元していくアプローチが増えてきています。

もちろん、現在進行形で流行のサウンドは押さえてあり、自らの楽曲にアグレッシブに取り入れる手法は継続。

ちょっとやそっとの変化であれば簡単に昇華することができるほどの土台が、既に出来上がり切っていると捉えたほうが適切なのかもしれません。

いずれにせよ、この「惡」についても、フラットにMUCCらしさをぶつけた作品であると言えるでしょう。

 

メジャー進出以降、曲をリリースしてからライブを行うというサイクルが定着していたことに着眼し、ライブで楽曲を育てることを目的に、会場限定でのデモテープを複数リリースしてきた直近の彼ら。

それらをすべて落とし込むのではなく、ライブで成長させることで完成したと断言できる楽曲のみを収録しているところには、こだわりも感じます。

発表済みの楽曲の寄せ集めになるどころか、ライブ感の強化にもつながっていて、満を持してオリジナルアルバムに入ってきた、といった感覚なのですよ。

 

キラーチューンがわかりやすく場を盛り上げ、アクセントとなる楽曲も役割を理解しているので、緩急が絶妙。

足りないところをアルバム曲が補う感覚も抜群であり、終盤における「アルファ」から「スピカ」までの輝きは半端じゃなかったな、と。

シングルとして発表されていた楽曲、ライブでのみ演奏されていた楽曲、アルバムでの新曲とをバランスよく配合して、再構築されたアルバムの構成は、まるで単独公演のセットリストのよう。

ライブができない時代、16曲というお腹にたまる重量級の作品を送り出したことには、その辺のメッセージも含まれていたりして。

本作には選外となってしまったデモテープの楽曲たちも、いつの日か、正式に収録されるまで育っていくことを期待しています。

 

フォーキーで歌謡曲的なメロディと、ずっしりと重厚なサウンドは、もはやお家芸。

レゲエ風のハズシにしても、煌びやかなシンセにしても、派生していく幅広いサウンドは、既に彼ららしさとして認識させてしまっている。

「目眩」にて、lynch.のVo.葉月さんとのコラボレーションを見せる企画力の充実もあって、非の打ちどころのない作品に仕上がったのではなかろうか。

ここまで正攻法のMUCCを詰め込んだアルバムがセールス的にも結果が出たというのは、ずっと応援していたリスナーにとってはこの上なく喜ばしいニュースでしたね。

 

なお、各タイプの初回プレス盤には、収録された16曲に、「taboo (惡 MIX)」と「例えば僕が居なかったら (惡 MIX)」を加えた全18曲を、Gt.ミヤさんがマスタリングした楽曲データがダウンロードできるエムカードが付属。

ハイレゾ音質と、CD音質とを選べるのもありがたい仕様です。

エムカードは使用期限があるのが一長一短ですが、ダウンロードだったら、一度してしまえば半永久的に聴けるわけですし、CD現物を新品で早期に購入したファンだけが手にできる音源、という特典対象の絞り込みをするには有効なツールでもあるのかも。

その意味でも、CDを買って、現物に触れて聴いてほしい1枚です。

 

<過去のMUCC(ムック)に関するレビュー>

壊れたピアノとリビングデッド

自己嫌悪 DEMO~Clean Ver.~

脈拍

T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-
THE END OF THE WORLD
シャングリラ
カルマ
6
COVER PARADE
鵬翼
朽木の灯
葬ラ謳
痛絶
アンティーク