アンティーク/ムック
1. 赤い音
2.アカ
3.4月のレンゲ草
4.オルゴォル
5.九日
エイプリルフールの罪滅ぼしで、ムックをレビューします。
まぁ、V系が好きで、ムックの名前を聞いたことがないって人は少ないでしょう。
紹介するのは、1stミニアルバム「アンティーク」。
本来はデモテープとして作成する予定だったところ、cali≠gariの青さんに「1,000枚プレスするなら、CD作成の方がコストが安い」とアドバイスを受け、ムック初のCDとして発売されました。
結果、初回プレスは即日完売、五寸釘が封入された追加プレス盤も完売しまして、2ndプレス盤まで発売した作品。
2ndプレス盤は、「焼け跡」が追加収録され、全曲リマスタリング、曲順の入れ替えも行われました。
この頃のムックは、cali≠gariの後輩バンドとして密室ノイロヲゼに所属し、昭和歌謡系というジャンルを作り出した先駆者的ポジションでしたね。
当時は、密室系と称されたムックですが、同じ密室系のカリガリとの違いは、音の重さ、厚さでしょうかね。
カリガリは薄い音、ムックは重い音を好む気がします。
メジャーに進出したり、海外でも精力的に活動するなど、その後の活躍はご承知のとおりですが、このアルバムで見られる「四畳半ロック」が、ムックの原点かと。
最近では、ラウドにメタル、デジロックやジャズと、様々な要素を取り入れた楽曲を生み出していますが、ボーカルラインに見られる哀愁、ノスタルジックなフレーズがあるから、芯がブレない。
テクニックにも磨きがかかり、音圧の増した最近のムックも好きなので、安定して長く聴き続けられるバンドのひとつです。
さて、そんな彼らの初CDなのですが、最初だからしょぼさ、粗さがあるかといったら大間違い。
この時点でこのクオリティだったら、そりゃ大きくなるよという納得の作品です。
音の厚みや、スキル的な面では、さすがにメジャー進出後には劣りますが、曲のセンス、表現力、アレンジ、完璧すぎました。
マニアックさと、聴きやすさの絶妙な隙間にある音楽。
そして、内面からこみ上げる感情を吐き出す表現力。
若いからこその「イタさ」が、魅力になっていました。
特に、「アカ」のような、独特の譜割が面白く、痛々しい歌詞の曲や、昭和歌謡曲の原点、「九日」がお気に入り。
「九日」は、語りで犬神凶子さんが参加していたりします。
10年以上前の作品が、今聴いても新しい。
レアなのかもしれないけれど、ムッカーさんだけでなく、昭和歌謡系好きにはぜひ聴いてほしいアイテムです。