6 / ムック | 安眠妨害水族館

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6/ムック

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1. 666
2. 空虚な部屋
3. 赤い空
4. はりぼてのおとな
5. フォーティーシックス
6. 神の星
7. 春、風のふいた日
8. 夕紅
9. 遥か

日欧同時発売となり話題を集めた、ムックの6thアルバム。
5thアルバムである「鵬翼」から半年に満たないインターバルでのドロップとなりました。

2006年に発表された6th。
タイトルが「6」で、導入のインストが「666」と、6づくし。
前作から時間が経っていないことを考えれば、どうせなら6月6日あたりのリリースにしても良かったのでは、と思ってしまいます。

本作は、デジタルにラウドに、様々な方向に音楽性を広げていく彼らにとって、初期の音楽性におけるひとつの終着点と言えるでしょう。
インスト曲を含めて9曲とボリュームは抑えめではあるが、その分、濃密さは増している。
「鵬翼」が、比較的歌謡テイストを強めていた反動もあってか、重く、暗く、といった意識も強められた気がしますね。

前半と後半で趣向が異なっているのが特徴的かと。
SEを除いて、それぞれ4曲ずつ分けてみると、前半がGt.ミヤさんによる楽曲、後半がそれ以外のメンバーによる楽曲とはっきり区別されています。
そのため、入り口はこれまでの音楽性を踏襲。
出口に向かうにつれ、バラエティが広がりだし、その後の何でもやってしまうスタイルへの前兆が見えてくるという。

中でも、最後の2曲となる「夕紅」と「遥か」の存在感が大きいな。
全体的には暗さを纏った本作。
その印象を緩和するどころか、塗り替えてしまうくらいのインパクト。
スピード感を残し、パンキッシュさを出した「夕紅」で、切ない哀愁を提示していくと、優しい和メロが美しく響くミディアムナンバー、「遥か」に繋ぐ。
これにより、もうひとつの強みであったノスタルジックな世界観もしっかりアピール。
この抜け目なさ、さすが、V系シーンに昭和歌謡ライクな楽曲を定着させた立役者です。

本作以前の初期衝動をガツンとぶつけた作品、または本作以降の個性に振り切れた作品たちに比べて、やや地味な立ち位置なのかな。
シングル曲が収録されていないこともあって、楽曲単位で勝負するというよりも、全体でのまとまりや流れで魅力を生み出そうとするタイプのアルバム。
その点からも、玄人好みという部分があるのかもしれません。

だが、メンバー全員が個性を出したうえで、ムックとしての統一感もバッチリ。
実は根強いファンが多い作品だというのも頷けます。
10年経っても色褪せずに聴くことができる、不朽の1枚。

<過去のムック(MUCC)に関するレビュー>
T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-
THE END OF THE WORLD
シャングリラ
カルマ
COVER PARADE
鵬翼
朽木の灯
葬ラ謳
痛絶
アンティーク