COVER PARADE/ムック | 安眠妨害水族館

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COVER PARADE/ムック


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1.翼をください/赤い鳥

2.ワインレッドの心 /安全地帯

3.四季の歌/芹洋子

4.ロマンチスト/The Stalin

5.素顔/長渕剛

6.彼と彼女/泉谷しげる

7.せんちめんたる/cali≠gari

8.LA VIE EN ROSE feat.Kyo/D'ERLANGER

9.にわか雨session/ラヴィアンローズ

10.傘がない/井上陽水

11.なごり雪/イルカ

12.九日/ムック



LUNA SEAやイエモンなど、様々なアーティストのトリビュート盤でカバー曲を披露しているムック。

そんな彼らが、カバーアルバムを作ってしまったのがこの作品。

一般流通では発売されず、以下のアイテムを全てそろえたうえで、武道館ライブの会場に行ってようやく配布されるという、地方ファンや多忙ファン泣かせのレアアイテムとなりました。


1. 2005年6月9日に配布されたDVD

2. シングル「ガーベラ」の封入物

3. 特別アルバム「6」の封入物

4. シングル「流星」の封入物

5. 2006年6月6日日本武道館公演のチケット


全てそろえるまで、実に丸1年かかるという。これ、どのくらいのムッカーさんに配布されたんだろう。

ちなみに、2~5までだけでも、この中から5曲ピックアップされたミニアルバムが配布されました。


このバンドは、既存の曲を再構築して、ムックのオリジナル曲ではないかというレベルにまで昇華させる能力に長けているなと感じます。

「葬ラ謳」に収録された「およげ!たいやきくん」を聴いていただければ顕著に表れているかと。

トリビュート盤でも、本家食いを実行してきた彼らですが、今作でも、そのリメイク能力は存分に発揮されています。


フォークソングは、初期ムックらしいじめじめした切ないアレンジに。

ロックンロールは、この時期のムックに多かったパンキッシュでアグレッシブな構成に。

先輩バンドのcali≠gariの曲は、あえて原曲の印象を変えないようにしつつ、単純な技術、勢いで本家を食ってやろうという心意気。

アレンジの幅もバリエーションを持たせ、「なごり雪」のパンクバージョンの意外性、ハマり具合、ここでこう来るかというドキドキ感がたまりません。

ただ好きな曲を並べただけのアルバムにあらず、時代やジャンルを超えた様々なアーティストの曲を、すべてムックというフィルターを通して、現在のひとつのアーティストの楽曲として蘇らせている。

アルバムとしてのメリハリ、展開も自然で、配布CDにここまでこだわらなくても、と思えるほどの完成度。


個人的には、「素顔」や「彼と彼女」、「傘がない」のような、初期のムックを彷彿とさせる四畳半ロックを体現した曲が好み。

その中で、ボーナストラック的な位置づけで、1stCD「アンティーク」から、「九日」をセルフ・カバーしているあたり、ニクい演出ですね。

途中でアコースティックになる展開を含みつつも、基本的な部分は原曲に忠実なので、技術的にレベルアップしたムックの音で初期の代表曲を聴けるというのは嬉しい。


ひとえに残念なのは、このCDがレア中のレアなアイテムだということ。

もっと多くの人に聴いてもらいたい作品だな、と素直に思いました。


<過去のムックに関するレビュー>

アンティーク