『007 スペクター』 | やりすぎ限界映画入門

やりすぎ限界映画入門

ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『007 スペクター』
☆☆☆☆★[85]

2015年/イギリス=アメリカ映画/148分
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ/クリストフ・ヴァルツ/レア・セドゥ/ベン・ウィショー/ナオミ・ハリス/イェスパー・クリステンセン/モニカ・ベルッチ/レイフ・ファインズ


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:モニカ・ベルッチ


■第2稿 2018年 7月4日 版

[シリーズ第24作目]




『007』シリーズ「伝統」の宿敵と対決する第24作目『007 スペクター』。だが「『007』極限のくそリアリズム時代」は「破壊」された。「何で?」「どうして?」……。ヴィム・ヴェンダース監督の『夢の涯てまでも』を見た淀川先生の、「私は3日間寝込んでしまった。見た日は靴も脱がないでベッドにぶっ倒れた」という言葉を思い出した。僕も同じような心境になった。ショックで1週間放心状態になってしまった。

[「宿命のバカ映画」]




『007 ダイ・アナザー・デイ』「伝統のバカ映画」から「宿命のバカ映画」へ。絶対「シリアス映画」が許されないのが『007』血の「伝統」なのか? 極限のくそリアリズムは「死んだ」。「新シリーズ」の「ブロフェルド3部作」が始動か? 『007 ダイヤモンドは永遠に』の「ブロフェルド女装」と同レベルまで堕ちた「絶対ありえない」頭の悪さ。『ランボー3 怒りのアフガン』と「同格」の裏切り。『007 スカイフォール』と同じサム・メンデス監督なのが今も信じられない。

[『007』血の「伝統」]




■『八つ墓村』より

「宿命のバカ映画」に「豹変」した『007 スペクター』が、『八つ墓村』で尼子一族の「落ち武者」8人が焼いた家に見えた。山の上から笑ってる「落ち武者」8人の姿が、ルイス・ギルバート監督とガイ・ハミルトン監督の姿に重なって見えた。「シリアス映画」を「豹変」させた血の「伝統」に驚愕した。

[復活した「ガン・バレル」]




『007』「伝統」のオープニング「ガン・バレル」が完全復活。だがこの時気づくべきだった。「ガン・バレル」と共に復活した、……恐るべき「伝統」の「気配」に。

[現代の視点でありえないもの]




■兄弟

■「ようこそ ジェームズ
  久しぶりだな
  やっと再会できた
  遅かったな
  カッコウ」


ブロフェルドとボンドが「兄弟」。「新シリーズ」の新しい着想? 「なぜ?」「どうして?」……。『007 慰めの報酬』で「彼女が自殺しなきゃ 君は我々に寝返ってた」という理由が、「兄弟」という「オチ」。だが「テロリスト」と「英国諜報員」の「兄弟」の物語が、今後『007』シリーズで魅力的なドラマとなるのか不安を感じた。




またブロフェルドがボンドに「針を刺す」ほどの確執が、『007 スペクター』では描かれない。『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』級の「台詞だけの説明」で、僕は共感できなかった。またこの「台詞だけの説明」では、「スペクター」を築いた理由が子供の頃のボンドへの「嫉妬」にも見えかねない。「絶対ありえない」だろう。




■「会った直後に瞬間セックス」

■「一緒に殺されるわよ」
 「悪くない死に方だ」
 「気は確かなの?
  ミスター…」
 「ボンド
  ジェームズ・ボンドだ」


完全復活「会った直後に瞬間セックス」。そして「名乗り」。甦る血の「伝統」。とうとう6代目も “本物のジェームズ・ボンド” に染まるのか!




■「良心に目覚めた」ホワイト

■「ボスに逆らった
  それまで精一杯 従ったのだが
  彼が変わってしまった」
 「君が-
  良心に目覚めた?」
 「諜報機関が相手ならいいが-
  女や-
  子供にまで…」


「絶対ありえない」。ホワイトは「ヴェスパー」を自殺に追い込んだ人間の一人。ブロフェルドは今も何も変わってない。「諜報機関が相手ならいいが」など小学生の戯言。テロ自体が「女」「子供」を巻き込む非道な行為だ。「宿命のバカ映画」への「破壊」が始まる。




■針

■「ジェームズ
  “本当の君” がいる所に-
  針を刺す
  頭の ここにね
  視覚と聴覚
  そして平衡感覚に-
  ごく微妙な針の動きで
  探りを入れてみる」


「絶対助からない」。脳に針を刺されたらボンド「即死」でシリーズ打ち切りだろう! ここまで極限「監視体制」で拘束されたら命はもう「絶対助からない」! 強過ぎる「スペクター」に観客は「絶望」して映画は終わりだ!




■時計

■「時計を…
  1分だ
  1分だよ」
 「何だって?
  何?」


極限「監視体制」。「君のデスクに座り- 君の恋人にキスし 君の食卓にいる!」状態で、何でブロフェルドは「Q」の「秘密兵器」を知らない! 「バカ過ぎる」! 「成立」しない「矛盾」。マイナス方向のバカさ加減でパンツについてしまった!




■ “ナイン・アイズ” システムの阻止

■「システム稼働は今夜0時
  防がねば…
  我々がCと対決する間に-」
 「Qにシステムを止めさせます」


ここまで極限「監視体制」のシステムをQ一人のハッキングで阻止なんかできねぇだろ! 「絶対ありえない」。映画は「完全破綻」した。




■恐るべき「虚仮威し」の「傷」

■「痛そうだ
  我慢できるか?」
 「傷は癒える
  君の方は?」


ブロフェルドの顔の「傷」ができた理由。『ダークナイト』のジョーカーの「傷」に対抗して張った恐るべき「虚仮威し」の虚勢。極限のくそリアリズムに見せようとしてるが「Q」の「秘密兵器」を「知らなかった」だけだろ! 「ハッタリ」の「虚仮威し」に絶対騙されるな! パンツについてしまった!




■「オリンピックアスリートを超える身体能力」

■「なぜ ここに?
  俺に会いに?」
 「いいや
  彼女は待ってるよ」


ボンドを殺しにわざわざ姿を現すが「ヘリコプター墜落」の危険性を予測しなかったのか? これだけ極限「監視体制」を持つなら遠隔通信は可能なはず。身の危険を冒すバカな真似は「絶対ありえない」。だがボンドもあの状況が現実なら「絶対助からない」。ブロフェルドもまさか弟が「オリンピックアスリートを超える身体能力」でマドレーヌを救出すると思わなかった! もはや二人共どっちもどっちで「バカ過ぎる」!






■ヘリコプター墜落

■「撃て
  早く撃て」
 「弾切れだ」


「逮捕」されんなよ! MI6「在任8年」「5年間はMの警護」をしてたミッチェルを潜入させたほどの「スペクター」の「首領」が、のこのこ姿現して「ヘリコプター墜落」。おまえ小学生か! 『007 ダイヤモンドは永遠に』の「幼稚園のバス・ジャック」級の「お笑いキャラ」。恐るべき血の「伝統」から『007』は逃れられないのか! 「てめぇのバカさ加減にはな 父ちゃん情けなくて涙出てくらぁ!」 『007 カジノ・ロワイヤル』から築き上げてきた極限のくそリアリズムの「墓場」と化した。

……「ダメだこりゃ」。

[『スパイダーマン3』と『007 スペクター』]




『007 スペクター』は、『007 カジノ・ロワイヤル』から『007 スカイフォール』まで積み上げてきた極限のくそリアリズムの「墓場」となった。僕には『007 スペクター』に、サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』と同じようなことが起きたように見えた。

[「監視体制」情報化社会の極限のくそリアリズム]




■「〈世界の監視体制の
  主導権を握れば-〉
  〈我々の得る情報量は
  世界最大となります〉」


名前は「スペクター」ではないが、近い「組織」が現実に「実在」すると僕は思ってる。テロ組織や国際的ハッカー集団がそれで、2015年には中央官庁を始め日本の各省庁がサイバー攻撃を受けたこともあった。「監視体制」が実在してる「現実」だ。「情報操作」も行われてるかもしれない。情報化社会が進んだ近い将来、個人は「監視体制」の前に、「プライベート」「秘密」を持てない時がくるかもしれない恐怖を今感じてる。

[「スペクター」という名前の「フィクション」]




『ゴッドファーザー』シリーズは「ニューヨーク・マフィア史」を基に、多くの「史実」の寄せ集めを構成し「フィクション」として描いた映画だった。映画にされて不都合な目に遭う人間も実在し、撮影中は「マフィアからの脅迫」を受けたのは有名だ。

「アメリカ」は実際に起きたテロ事件の「具体例」と、「組織」「犯人」を特定できるまで調べてたのかもしれないと今思う。『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』にも「シンジケート」が出てきた。『007 カジノ・ロワイヤル』から “本物” の「組織」を「スペクター」という名前の「フィクション」で見せる気だった『007 スペクター』が、とうとう近い目に遭ったのかもしれないとも「ふと思った」。

僕が「『007』極限のくそリアリズム時代」に期待してたものは、『ゼロ・ダーク・サーティ』に近いものだった。“本物” の「組織」の全貌を「ボンドの視点」で見せてほしかった。僕達が知らない世界危機の「現状」を、「スペクター」という「フィクション」にして見せてほしかったのだ。

[『スパイダーマン』シリーズ「全6作品」]


■『スパイダーマン3』より

サム・ライミ監督は『スパイダーマン』シリーズを、本当は「6本」にしたかったらしい。『スパイダーマン3』を見て感じるのは、2時間19分の映画に「サンドマン」「ヴェノム」「グリーン・ゴブリン」は詰め込み過ぎ。とても2時間19分で終われない話を、強引に2時間19分で終わらせてる。本当は「サンドマン」「ヴェノム」「グリーン・ゴブリン」を「各1本」の映画にしたかったように見える。「全6作品」で「911」のテーマを描く、壮大な物語にしたかったのかもしれないと今思う。

実際は『007 スペクター』も『スパイダーマン3』と同じ結末になってしまったように見える。何らかの事情で「打ち切り」になったのだろう。「無理」にでも「組織」の話を完結しなければならなくなった、「強引」にでもブロフェルドを逮捕しなければならなくなったのだろう。「一人では絶対作れない」映画の難しさを思い知らされるしかなかった。




だが「ギャグ映画」「シリアス映画」に「豹変」するのが『007』の「歴史」。「ギャグ映画」「シリアス映画」の両方あって『007』。“本物” の『007』ファンは「ギャグ映画」「シリアス映画」のどちらも大好きなのかもしれない。“本物” の『007』ファンはどちらでも大喜びなのだ。「25作目」がどの方向に進むか、僕も楽しみにしたいと今思う。

[モニカ・ベルッチ=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





史上最高齢50歳の “ボンド・ガール” 「イタリアの宝石」モニカ・ベルッチに魂が震えた。恐るべき年の取り方。50歳「極限の美」に震撼せよ。ボンドが「会った直後に瞬間セックス」したくなる極限のくそリアリズムを魅せた。モニカ・ベルッチ「壮絶ガーター・ベルト」に「眩暈」がした。恐るべしモニカ・ベルッチ! 「あんたに殺されたくねえ」。




『007 ドクター・ノオ』
『007 ロシアより愛をこめて』
『007 ゴールドフィンガー』
『007 サンダーボール作戦』
『007は二度死ぬ』
『女王陛下の007』
『007 ダイヤモンドは永遠に』
『007 死ぬのは奴らだ』
『007 黄金銃を持つ男』
『007 私を愛したスパイ』
『007 ムーンレイカー』[前][後]
『007 ユア・アイズ・オンリー』
『007 オクトパシー』
『007 美しき獲物たち』
『007 リビング・デイライツ』[前][後]
『007 消されたライセンス』[前][後]
『007 ゴールデンアイ』
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
『007 慰めの報酬』[前][後]
『007 スカイフォール』[前][後]
『007 スペクター』

『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
『007』始末記②「作品」ベスト10
『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]

画像 2016年 5月 2018年 7月