■『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
☆☆☆☆[80]
1999年/イギリス=アメリカ映画/127分
監督:マイケル・アプテッド
出演:ピアース・ブロスナン/ソフィー・マルソー/ロバート・カーライル/デニース・リチャーズ
[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。
■やりすぎ限界女優賞:ソフィー・マルソー
■第3稿 2018年 5月28日 版
[シリーズ第19作目]
「これでもか」という「壮絶CGアクション」が爆発する第19作目『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』。「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」のクライマックス。「壮絶CGアクション」は観客を飽きさせないが、「台詞だけの説明」の「誘拐事件」に人間のリアリズムが見えない。「CG」映像が “本物” に見えれば見えるほど、「本当にそう見える」には程遠い「人間」達が際立ってしまった。
[デスモンド・リュウェリン有終の美]
『007 ロシアより愛をこめて』から『007 死ぬのは奴らだ』以外の17作品に出演した「Q」役のデスモンド・リュウェリンが引退。そして本作がデスモンド・リュウェリンの遺作でもある。ボンドと組んで暴れたことも何度かあった。『007』に絶対欠かせない重要な存在。とても魅力的な爺さんだった。「Q」の最期「デスモンド・リュウェリン有終の美」に、『007』の歴史の大きな一つが終わったように見えた。
[恐るべき「虚仮威し」]
■「銃弾は今も延髄を移動してて-
触覚 臭覚
痛みの感覚を奪い-
彼に常人以上の耐久力を与えた
いずれは死に至るけど
今は不死身のように強い」
「堺」が消えた “本物” 映像の前でこれだけ言われたら、この能力にボンドが苦戦するもの凄い展開を期待してしまう。また「いずれは死に至るけど」という伏線に、この傷が「冷戦」の傷跡まで繋がる「悲劇性」を期待するだろう。
だがとんでもない「ハッタリ」だった! 『007 ゴールドフィンガー』の「全裸金粉」、『007 黄金銃を持つ男』の「第3の乳首」に続く全然意味のない「虚仮威し」。最後まで殆ど話に関係ない恐るべき「虚仮威し」にぶっ飛べ!
[「誘拐事件」台詞だけの説明]
父、母、娘、犯人の「関係性」が「台詞だけの説明」しかなかった。「誘拐事件」の真相を最後まで観ることができなかった。
父親への恨みが台詞でしか説明されない。父娘の絆に何があったのかを一切見せない映画だった。ソフィー・マルソーがこんなに悪い理由が、台詞だけで実感できなかった。「本当にそう見える」には程遠く、僕には感情移入できなくなってしまった。
[現代の視点でありえないもの]
■「やりすぎたCG」
「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」のクライマックスを叩きつける「私の釣り船」「スキー」カザフスタンの「基地」「パイプライン」「潜水艦」。
■「壮絶CGアクション」
映ってる映像はもはや全部 “本物”。ボンドの「壮絶CGアクション」「オリンピックアスリートを超える身体能力」が “スピードの向こう側” へ突き進む!
■「オリンピックアスリートを超える身体能力」
「私の釣り船」から「潜水艦」まで「絶対助からない」。人間が生き残れる領域を超えた。「パイプライン」で見せた「反射神経」はもはや人間のものではない。
■BMW Z8
どんどん激しさを増す「CG」。あまりの科学の最先端技術に絶句。もはや映ってるものは全部 “本物” にしか見えない。
■潜水艦
現実にしか見えないリアル映像だがこの状況で「絶対助からない」。この「やりすぎ」度が「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」が何かを訴える。
■「会った直後に瞬間セックス」
リアリズムに向かってた「会った直後に瞬間セックス」が「伝統」に近づいてきた。どんどん「バカ映画」に逆戻りが進行。ハミルトン監督とギルバート監督の「亡霊」が見えた。
[壮絶「太腿」ソフィー・マルソー「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」]
■ソフィー・マルソー「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」
話の印象が薄いせいで、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』で僕の記憶に残ったのはソフィー・マルソー「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」だけだった。「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」しか記憶に残らない映画ではいけない。またソフィー・マルソー「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」がなければ☆☆☆☆[80]も危なかったかもしれない。ソフィー・マルソー「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」が『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』を救った。特に「太腿」が壮絶。
[ソフィー・マルソー=ザ・ボンバー・ダイナマイト]
やはり世界のソフィー・マルソーには敵わない。「瞬殺」。『007 ゴールデンアイ』のファムケ・ヤンセンに続く凄まじき3人目のビッチ。だが悪役なんか関係ない。ソフィー・マルソーは映ってるだけでやりすぎ限界女優賞だ。ソフィー・マルソーの「限界悩殺美脚ダイナマイト・パンスト」は “ボンド・ガール” の歴史に大きな何かを残した。“ダイナマイト・ボンバー・ギャル” とは何かを極限まで魅せた。
■『007 ドクター・ノオ』
■『007 ロシアより愛をこめて』
■『007 ゴールドフィンガー』
■『007 サンダーボール作戦』
■『007は二度死ぬ』
■『女王陛下の007』
■『007 ダイヤモンドは永遠に』
■『007 死ぬのは奴らだ』
■『007 黄金銃を持つ男』
■『007 私を愛したスパイ』
■『007 ムーンレイカー』[前][後]
■『007 ユア・アイズ・オンリー』
■『007 オクトパシー』
■『007 美しき獲物たち』
■『007 リビング・デイライツ』[前][後]
■『007 消されたライセンス』[前][後]
■『007 ゴールデンアイ』
■『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
■『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
■『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
■『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
■『007 慰めの報酬』[前][後]
■『007 スカイフォール』[前][後]
■『007 スペクター』
■『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
■『007』始末記②「作品」ベスト10
■『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
■『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
■『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]
画像 2016年 4月