■『007 サンダーボール作戦』
☆☆☆☆[80]
1965年/イギリス映画/129分
監督:テレンス・ヤング
出演:ショーン・コネリー/クローディーヌ・オージェ/ルチアナ・パルッツィ
[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。
■やりすぎ限界女優賞:ルチアナ・パルッツィ
■第4稿 2018 年5月26日 版
[シリーズ第4作目]
「会った直後に瞬間セックス」の方向性に突き進んだシリーズを、『007 ロシアより愛をこめて』のテレンス・ヤング監督が引き継ぐ第4作目『007 サンダーボール作戦』。ヤング監督にも「ハニー・ライダー」の「前科」はあった。だがヤング監督は「会った直後に瞬間セックス」に「理由」をつける監督だった。
米ソ冷戦を背景にNATOの原爆を国際犯罪組織「スペクター」が奪う。『007 ロシアより愛をこめて』の「新型暗号解読機」 “レクター” より明確に、本格的な「世界情勢」が『007 サンダーボール作戦』で描かれる。約50年前のアクション映画から冷戦の「史実」を実感できたのは衝撃だった。ガイ・ハミルトン監督で暴走したシリーズを、『007 ロシアより愛をこめて』との「中間点」にしようとしたのかもしれない。ヤング監督は「会った直後に瞬間セックス」とリアリズムの「世界情勢」を融合させた。
[歴史の勉強]
「世界情勢」「時代背景」が描かれれば良いという訳ではないが、ソ連崩壊まで続いた冷戦が僕の生まれる前から存在した「史実」を『007』から実感した。
映画を見ることは「歴史の勉強」だ。「世界情勢」が極限のくそリアリズムで描かれる映画からは、当時の「時代背景」を見ることができる。「会った直後に瞬間セックス」の「バカ映画」でも、「時代背景」冷戦は極限のくそリアリズムの「史実」だ。「歴史の勉強」ができることは映画の魅力の一つかもしれない。
[ “本気” の殺陣]
テレンス・ヤング監督は俳優の格闘の撮り方が壮絶。『007 ロシアより愛をこめて』と『007 サンダーボール作戦』はショーン・コネリーも相手の俳優もかなり “本気” で痛そうだ。
映画は「本当に走らなければ走ってるように見えない」「本当に殴らなければ殴ってるように見えない」。当時はCGがないので「本当にやる」しかない。映画には「『007』大スペクタクル・コント時代」でロジャー・ムーアが見せる “段取りにしか見えない殺陣” もある。『007 ロシアより愛をこめて』の「列車の死闘」もだが、これだけの格闘を見せたのは凄まじい。アクションと「世界情勢」にリアリズムを見せたヤング監督を尊敬した。
[水中撮影]
どうやって撮影したのかと思うほどの水中撮影が壮絶。「スタートを掛ける」「カットを割る」「NGの撮り直し」相当大変だったのではないだろうか。見てる僕が耳がキンキンになって酸欠で頭がボーっとしそうだった。ヤング監督と全スタッフ、俳優達の体を張った “本気” の撮影を尊敬した。
[中途半端]
「世界情勢」とアクションにリアリズムを見せながらも、「会った直後に瞬間セックス」の「バカ映画」であること。ショーン・コネリーのファンが『007』として認識してるスタイルなのかもしれない。僕の「現代の視点」ではそれがとても「中途半端」に見えた。だが冒頭のジェット・パックから、全てのアクションにリアリズムを見せたヤング監督の “本気” を賞賛した。『ダークナイト』の「スカイフック」の原点が『007 サンダーボール作戦』だった衝撃に漏らしてしまった。
[現代の視点でありえないもの]
■ミンク
■ミンク
「お前ここに何しにきた!」と聞きたくなるほどバカ過ぎる。「一体どこでミンクを手に入れたのか?」あまりのバカさ加減に度肝を抜かれた。この凄まじきバカさ加減と緊張感のなさが「『007』ギャグかシリアスか模索時代」「『007』大スペクタクル・コント時代」の特色。恐るべし『007』。ショーン・コネリーには「ミンク」が似合いすぎた。
[ルチアナ・パルッツィ=ザ・ボンバー・ダイナマイト]
『007 サンダーボール作戦』の “ボンド・ガール” で有名なクローディーヌ・オージェが僕は好みではない。『007 サンダーボール作戦』の “ボンド・ガール” はスペクター№12のルチアナ・パルッツィだった。ダーヴァル少佐の秘書姿。バイクで現れる黒のレザー姿。ホテルで風呂に入る姿。壮絶 “ダイナマイト・ボンバー・ギャル” が悪役で早く殺される結末が残念でならない。
■『007 ドクター・ノオ』
■『007 ロシアより愛をこめて』
■『007 ゴールドフィンガー』
■『007 サンダーボール作戦』
■『007は二度死ぬ』
■『女王陛下の007』
■『007 ダイヤモンドは永遠に』
■『007 死ぬのは奴らだ』
■『007 黄金銃を持つ男』
■『007 私を愛したスパイ』
■『007 ムーンレイカー』[前][後]
■『007 ユア・アイズ・オンリー』
■『007 オクトパシー』
■『007 美しき獲物たち』
■『007 リビング・デイライツ』[前][後]
■『007 消されたライセンス』[前][後]
■『007 ゴールデンアイ』
■『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
■『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
■『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
■『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
■『007 慰めの報酬』[前][後]
■『007 スカイフォール』[前][後]
■『007 スペクター』
■『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
■『007』始末記②「作品」ベスト10
■『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
■『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
■『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]
画像 2015年 7月