『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』 | やりすぎ限界映画入門

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ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
☆☆☆☆★[85]

1997年/イギリス=アメリカ映画/119分
監督:ロジャー・スポティスウッド
出演:ピアース・ブロスナン/ミシェル・ヨー/ジョナサン・プライス


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:ミシェル・ヨー


やりすぎ限界男優賞:ジョナサン・プライス


■第3稿 2018年 5月28日 版

[シリーズ第18作目]




“ボンド・ガール” に「アジアの脅威」ミシェル・ヨーが登場した第18作目『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』。「メディア」のテーマに現代のリアリズムが描かれたが、あとは「伝統」に忠実な「バカ映画」。またあまりに激しい「CG」によって「これは本当か?」という疑問が加速度を増す。恐るべし「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」。最後まで飽きさせないノンストップ・アクションが「もはやこの世で作れない映像はない」ことを証明した。

[メディアの恐怖「情報操作」]




情報化社会の現代では「情報操作」が可能だろう。フィクションでも「絶対ありえない」話に見えない怖さがあった。流れている情報の全てが真実か嘘か本当はわからない。「もしかしたら嘘かもしれない」というメディアの恐怖にリアリズムがある。今は流れてる情報の全てを「鵜呑み」にしてはいけないかもしれない。「自分で真実か嘘かを確かめる」批判の「目」が、生きるために最も重要な「自分の身を守ること」になるのかもしれない。


[ “女好きの諜報員” ]




1代目ショーン・コネリーから3代目ロジャー・ムーアまで “女好きの諜報員” はコントにしか見えなかった。特に1代目と3代目は諜報活動が「全然危険に見えない」せいだ。「本物の人間」に近づけようとした4代目ティモシー・ダルトンは、「伝統」と「リアリズム」の間で本当に「そう見える」挑戦をした。

「『007』大スペクタクル・アクション&CG時代」の壮絶さは、4代目ティモシー・ダルトンが完全な「成立」まで到達できなかった “女好きの諜報員” を、「CG」で “本物” に見せてしまったこと。「CG」のあまりに激しいアクションによって、「本当なのか?」と思わせるほど映像にリアリズムが出たせいだった。

[「会った直後に瞬間セックス」のリアリズム]




あまりにアクションが壮絶で、『007 ゴールデンアイ』から “女好きの諜報員” にリアリズムが生まれた。「これだけ危険なことしてたら羽目を外さねば精神が持たない」という、説得力が見えるようになった。壮絶アクションが「不規則な生活」「金に不自由してない」ことに説得力を持たせ、「会った直後に瞬間セックス」のリアリズムを生み出した。4代目が到達できなかった「成立」させる答えを、5代目が「想像を超える危険な仕事のリアリズム」で「成立」させたのかもしれない。

[現代の視点でありえないもの]




■「やりすぎたCG」

ビルの「垂れ幕」、街中の「ヘリコプターの爆発」は本当に凄まじい。「もはやこの世で作れない映像はない」壮絶さを叩き付ける。「堺」が消えて「壮絶CGアクション」はもはや全部本当にやってるようにしか見えない。「CG」は映像の限界を超えた。






■「壮絶CGアクション」

「CG」技術がなかった『007 消されたライセンス』の時代は「爆発」「アクション」は「本当にやる」しかなかった。今となっては「本当にやる」しかなかった『007 消されたライセンス』のアクションの方が危険に見える。逆に「CG」が昔の「本当にやる」しかなかった危険撮影の壮絶さを際立たせた。






■BMW 750iL

「堺」が消えたあまりに激しい「CG」映像は、もう本当に可能か不可能かを判断できない。化学は発達し過ぎてしまった。「こんな事だってできる」という、科学の最先端への挑戦に「秘密兵器」は変化した。「アストンマーチンDB5」の頃が懐かしい。

[ミシェル・ヨー「アジアの脅威」]




『ポリス・ストーリー3』『グリーン・ディスティニー』のミシェル・ヨーが “ボンド・ガール” に登場。『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』はこの頃の流行だった「アジア映画」のアクションが取り入れられた。

だが『ポリス・ストーリー3』のバイクで列車に飛び乗ったミシェル・ヨーのファンには物足りなかっただろう。アメリカ映画は規制が厳しく「この人でなくても代役が可能」なアクションしかできない。ジャッキー・チェンに鍛えられた足技の壮絶さが唯一限界の危険さを見せた。「アジア映画」に挑戦した多くのアメリカ映画が、逆に本拠地「アジアの脅威」を余計際立たせる結果ばかりを見せた時代だった。

[「 “大衆の期待に応えること” !」]




■「マスメディアの-
  基本的ルールだよ
  “大衆の期待に応えること” !」


かわいそうなジョナサン・プライス。誰だって「こいつ絶対殺せ」と思われる役なんかやりたくない。だが全ての観客に「こいつ絶対殺せ」と思わせたのは本当に芝居が上手いからだ。ジョナサン・プライスには申し訳ないが僕も「こいつ絶対殺せ」と思ってしまった。「 “大衆の期待に応えること” !」を見せた見事な最期に、ジョナサン・プライスを尊敬した。

[ミシェル・ヨー=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





やはり世界で一番偉大な女優はアジアの女優だ。美人で芝居とアクロバットができたら女優なら「無敵」。だがミシェル・ヨーはもの凄い美人だが僕はあまり好みではない。あまり好みでなくても惹かれるのは、ミシェル・ヨーの持つ人間の魅力が本当に偉大だからかもしれない。この恐ろしい “ダイナマイト・ボンバー・お姉さん” に殺されたくない。




『007 ドクター・ノオ』
『007 ロシアより愛をこめて』
『007 ゴールドフィンガー』
『007 サンダーボール作戦』
『007は二度死ぬ』
『女王陛下の007』
『007 ダイヤモンドは永遠に』
『007 死ぬのは奴らだ』
『007 黄金銃を持つ男』
『007 私を愛したスパイ』
『007 ムーンレイカー』[前][後]
『007 ユア・アイズ・オンリー』
『007 オクトパシー』
『007 美しき獲物たち』
『007 リビング・デイライツ』[前][後]
『007 消されたライセンス』[前][後]
『007 ゴールデンアイ』
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
『007 慰めの報酬』[前][後]
『007 スカイフォール』[前][後]
『007 スペクター』

『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
『007』始末記②「作品」ベスト10
『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]

画像 2016年 4月