■『007 慰めの報酬』
やりすぎ限界映画：☆☆☆☆★★★［95］
2008年／アメリカ＝イギリス映画／107分
監督：マーク・フォースター
出演：ダニエル・クレイグ／オルガ・キュリレンコ／マチュー・アマルリック／ジュディ・デンチ／ジェフリー・ライト／ジェマ・アータートン／ジャンカルロ・ジャンニーニ
2009年 第25回 やりすぎ限界映画祭
■2009年 ベスト10 第3位：『007 慰めの報酬』
■やりすぎ限界男優賞／やりすぎ限界女優賞／やりすぎ限界監督賞／やりすぎ限界脚本賞／やりすぎ限界審査員特別賞：『007 慰めの報酬』
［ネタバレ注意！］※見終わった人が読んで下さい。
■やりすぎ限界男優賞：ダニエル・クレイグ
■やりすぎ限界女優賞：オルガ・キュリレンコ
■やりすぎ限界女優賞：ジェマ・アータートン
■やりすぎ限界男優賞：ジェフリー・ライト
■やりすぎ限界男優賞：ジャンカルロ・ジャンニーニ
■第2稿 2016年 4月22日 版
［シリーズ第22作目］
『007 カジノ・ロワイヤル』の直後から直結して始まるシリーズ初の「完全続編映画」第22作目『007 慰めの報酬』。だが話が「難解」過ぎて一度見ただけで絶対理解できない。その「難解」さは「何回」見てもまだ理解できない部分が多い。このとんでもないやりすぎ限界映画において、とにかく僕が理解できたことを書く。今の社会情勢において「どこまで本当のことに見えるか？」という「嘘」を極限まで創作してる。もしかしたら「全部本当のことだった」なんてオチだったらどうしよう…。「『007』極限のくそリアリズム時代」の暴走を君に贈る。
また『007 慰めの報酬』は、4代目が初めて「切れたボンド」を見せた『007 消されたライセンス』の「極限のくそリアリズム版リメイク」に見える。4代目の “すげぇ切れ方” を6代目が超える。このおしっこを漏らさずに見れない「ヤバさ」の真実を伝えねばならない。
［『007 カジノ・ロワイヤル』回想］
■「そっちが紹介を頼んだから
私の組織が世話をした」
冒頭の「ムバレ ウガンダ」のシーンでスカイフリート株への投資を受けるル・シッフル。その仲介をしたのがホワイトだ。ル・シッフルもホワイトの「組織」で働いてた一人にすぎない。
■「奴を渡すよ」
「ありがとう 兄弟」
フィリックス・ライターの援助でル・シッフルから1億1500万ドルを奪ったボンド。ル・シッフルを潰してCIAに渡した信用が『007 慰めの報酬』でのライターとの友情へと続く。
■「マティスよ
“CIAがル・シッフルを確保
今夜中に国外に連れ出す” と」
■「悪いが君の友達のマティスは－
私の友達でね」
マティスのメールで確保されたはずのル・シッフルはCIAに確保されてなかった。またボンドが拷問を受け、ヴェスパーが路上に縛られてた時マティスが一人無事であったこと。ここからマティスと「組織」の繋がりの「灰色」の容疑をボンドが抱く。
この前後でヴェスパーの “彼氏” が拉致されたと推測される。
金を取り返せなかったことが見切られ、ホワイトがル・シッフルを射殺。
■「なぜかな？
君と彼女は助かった」
■「不思議だろ？
皆 殺されたのに
君らだけ残った
何かメッセージが読めないか？」
「灰色」のマティスが「味方寄り」である証明。「逮捕覚悟」の堂々とボンドに姿を見せる行動は身の「潔白」を証明しようとした。「組織」の「メッセージ」が何かは『007 慰めの報酬』では解き明かされない。
■「彼女には長く付き合った
フランス人の恋人がいたの
彼はル・シッフル一味に
捕われ－
彼女は “協力せねば彼を殺す” と
脅された
我々は敵を追うことに忙しく
そこまで目を配らなかった」
■「なぜ 拷問の夜
殺されなかったと？
彼女は奴らと取引して－
金と交換に あなたを助けた
自分の死が迫ってると－
知っていたから」
ヴェスパーが自殺してボンドに罪を償う。ヴェスパーは “彼氏” の命を救いたくて金を盗んだ。だが盗んだ時点で死の覚悟も決めてた。始めは愛する “彼氏” を救うための犯罪だったが、そのうち「利用したボンドに特別な感情を抱くようになった」のだと推測される。
そして「カジノ・ロワイヤル」の1億1200万ドルをホワイトが持ち去る。
■「ボンドだ
ジェームズ・ボンド」
ヴェスパーの残した手掛かりからホワイトを狙撃して拉致するボンド。追われて逃げる壮絶カーチェイスから『007 慰めの報酬』が始まる。
［『007 慰めの報酬』継続］
■「ヴェスパーの “彼氏”
彼女が救おうとした男よ
死体でイビザ海岸に漂着
“魚に食われた顔” とか
ポケットには（ “彼氏” の）ID」
■「彼女が小箱にしまってた
（ “彼氏” の）毛髪をDNA検査
別人だった」
ここで疑われるのはヴェスパーの “彼氏” も「組織」の人間であること。「生きてる」ことが怪しい。ヴェスパーは最初から “彼氏” に騙されてたという話。『007 慰めの報酬』はここにボンドの怒りが爆発する。
■「誰に雇われた？」
「前から君と話したかった
ヴェスパーから いろいろ話を
彼女が自殺しなきゃ
君は我々に寝返ってた
あれだけ惚れてたからな」
「組織」のボンドが「寝返ってた」と言う「真実」は解き明かされない。「メッセージ」と合わせ謎を残したまま映画は終わる。
■「我々は こう思っていた
“相手は天下のMI6にCIA”
“何もかも筒抜けだ” と
我々の存在も知らない？」
■「我々の仲間は
あらゆる場所に出向いている
そうだろ？」
Mを狙撃した裏切者のミッチェルをボンドが射殺。ミッチェルはMI6「在任8年」「5年間はMの警護」。MI6にまで潜入してる「組織」の大きさが見え始める。ホワイトの姿も消える。
ここで疑われるのはヴェスパーが実は「組織」の一員であった可能性。だが「全裸で拷問」のシーンでヴェスパーは路上で縛られてた。もしボンドが避けれなかったらこの時点でヴェスパーは即死だった。「組織」もボンドが避けれるかどうかは五分五分だったはず。「死んでいい扱い」をされたヴェスパーは「組織」の一員ではなく、やはり脅されて利用されてたと推測される。
■「我々はル・シッフルに入る洗浄用の
金をマークして番号を記録
その行方を追ってました」
■「同じ記号シリーズの札が
“スレイト” の名で－
ハイチの銀行口座に
預けられているのです」
■「その名の男が
今朝 ロンドンからハイチへ
入国申告書では
滞在先は “デサリヌ・ホテル”
325号室です」
“スレイト” は「地質学者」と説明される。しかし「地質学者」がいきなりボンドにナイフで襲い掛かるのは「絶対ありえない」。また「地質学者」がカミーユの命を狙うのも不自然だ。“スレイト” が本当は何者だったかは最後までわからない。
■「彼が あなたを裏切るのを
防いだのよ」
「見え透いたウソっぱちは
ムカつく
メドラーノ将軍に近づくために
俺と寝たんだろ？」
この「地質学者」を雇ったドミニク・グリーンが登場。グリーンとカミーユは本当に恋人の関係だと推測される。だが「エルネスト・モンテス」の娘がなぜ自分に近づいてきたか疑いを抱いてた。それが「地質学者」に殺しを依頼して試したシーンだと推測。やはり死なずに生きてた。後でカミーユは「元ボリビア諜報部員」だと説明がある。車でボンドを素早く撃つシーンでその素性が描かれてた。こんなの1回見ただけでとても理解できない。
■「すでに26ヵ国が－
あんたの新しいボリビア政権を
承認すると約束している
返り咲きたいだろ？
俺の組織なら1週間で実現する」
「君らの求める見返りは？」
「砂漠だよ」
グリーンの「組織」がメドラーノ将軍を利用してボリビアのクーデターを仕掛ける。“ティエラ計画” が始まる。
■「 “ボリビアのクーデターは
阻止せず 新政権は米国に－”
“石油の採掘権を賃与する” 」
「石油でいいのか？」
「ダイヤでも出たか？」
■「それには こいつがジャマだ」
「英国諜報部員のボンドだ」
「始末してくれるか？」
「ああ」
CIA南米局長のグレゴリー・ビームはグリーンの「組織」とアメリカの取り引きを画策。だがビームの助手のフィリックス・ライターは画策に反対。ビームは “石油の採掘権” のためイギリスを裏切りボンドを始末する約束を交わす。
■「カナダ情報局から何か？」
「後で話す」
「パイプラインの敷設は？」
「あと－」
「2000キロだな」
「障害は？」
「私の方にはない」
「こっちもだ」
「シベリアの資金を回せ」
「了解」
「米国は どう出る？」
「奴らの関心は独裁者より－
自国の利益さ」
「裏をかかれたと知ったら…」
「そうなる」
「 “ティエラ計画” を優先するのか？」
「カナダの件も重要だぞ」
「世界で最も貴重な資源だ
我々が押さえねば
ボリビア最優先だ」
“トスカ” にホワイトの姿も確認。ボンドが「組織」に近づく。だが捜査のために誤って特別警護部の部員を殺してしまう。「カードを停止」「パスポートは “要注意扱い” 」にされる。『007 消されたライセンス』に近い設定が見える。
■『007 慰めの報酬』［後編］につづく
■『007 ドクター・ノオ』
■『007 ロシアより愛をこめて』
■『007 ゴールドフィンガー』
■『007 サンダーボール作戦』
■『007は二度死ぬ』
■『女王陛下の007』
■『007 ダイヤモンドは永遠に』
■『007 死ぬのは奴らだ』
■『007 黄金銃を持つ男』
■『007 私を愛したスパイ』
■『007 ムーンレイカー』［前］［後］
■『007 ユア・アイズ・オンリー』
■『007 オクトパシー』
■『007 美しき獲物たち』
■『007 リビング・デイライツ』［前］［後］
■『007 消されたライセンス』［前］［後］
■『007 ゴールデンアイ』
■『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
■『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
■『007 ダイ・アナザー・デイ』［前］［後］
■『007 カジノ・ロワイヤル』［前］［後］
■『007 慰めの報酬』［前］［後］
■『007 スカイフォール』［前］［後］
■『007 スペクター』
■『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
■『007』始末記②「作品」ベスト10
■『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
■『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10［前編］
■『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10［後編］
画像 2016年 4月