『007 ダイヤモンドは永遠に』 | やりすぎ限界映画入門

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ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『007 ダイヤモンドは永遠に』
☆☆☆☆★[85]

1971年/イギリス映画/125分
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ショーン・コネリー/ジル・セント・ジョン/チャールズ・グレイ


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:ジル・セント・ジョン


■第3稿 2015年 8月16日 版

[シリーズ第7作目]




2代目ジョージ・レーゼンビーから1代目ショーン・コネリーへ。シリーズ初の「代変わり」が大失敗に終わった第7作目『007 ダイヤモンドは永遠に』。ジョージ・レーゼンビーの「1本だけで降板事件」で1代目ショーン・コネリーが再びジェームズ・ボンドに復帰。「豹変」する「ギャグ映画」。ガイ・ハミルトン監督とショーン・コネリーが止めを刺す「『007』ギャグかシリアスか模索時代」の最終章。

「シリアス映画」などハミルトン監督は絶対許さない。突っ込んだら切りがない、最初から最後まで「絶対ありえない」ことのオンパレード。「『007』大スペクタクル・コント時代」に繋がる「いかに笑わせるかが勝負」の「伝統」が歯止めの効かない暴走を始める。物語なんかどうでもいい。もはや “ボンド・ガール” ジル・セント・ジョンの肢体以外何も記憶に残らない。「激バカ映画」に方向修正したガイ・ハミルトン監督の裁きが下る。

[第4位「1代目:ショーン・コネリー」(復帰)]


■1代目ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー(復帰)

『007 ダイヤモンドは永遠に』がここまで「激バカ映画」になったのは、もはやガイ・ハミルトン監督だけのせいではない。「復帰」を遂げたショーン・コネリーが「共犯」となり「豹変」に加担した。「ミンク」のショーン・コネリーはきっと恐るべき力を秘めてたのだ。……「あんたに殺されたくねえ」。

[ブロフェルド3部作「最終章」]




『女王陛下の007』に続く「ブロフェルド3部作」の「最終章」3作目。『女王陛下の007』で「真面目」になったブロフェルドをハミルトン監督が「破壊」。国際犯罪組織「スペクター」の首領でありながら「最終章」は極限「お笑いキャラ」へ「豹変」。ブロフェルドの強さは『スター・ウォーズ エピソードⅥ ジェダイの帰還』の「皇帝」と同じになる。「ブロフェルド3部作」の最期が壮大な「大スペクタクル・コント」で幕を閉じる。


■ガイ・ハミルトン監督


■ルイス・ギルバート監督

「シリアス映画」『007 ロシアより愛をこめて』では脅威の存在だった「スペクター」。だが「『007』ギャグかシリアスか模索時代」において『007 ゴールドフィンガー』の成功から「方向性」が検討されたのだろう。「ギャグ映画」が世界で圧倒的な成功を収めた結果、ガイ・ハミルトン監督とルイス・ギルバート監督がシリーズの「正義」となった。「スペクター」の最期はギャグと化し、もはや「世界征服」は日本の「戦隊モノ」の「幼稚園のバス・ジャック」と同格まで堕ちた。ここから「もう戻れない」「『007』大スペクタクル・コント時代」が始まった。

[ガイ・ハミルトン「前科2犯」]




『007 ダイヤモンドは永遠に』を『007は二度死ぬ』に匹敵する壮大な「大スペクタクル・コント」に完成させた罪は重い。ルイス・ギルバート監督に加担し、「『007』大スペクタクル・コント時代」への確実な「先導」をした「罪」。ガイ・ハミルトン監督は『007 ゴールドフィンガー』に次ぐ「前科2犯」となる。

[現代の視点でありえないもの]




■ブロフェルド暗殺

冒頭のブロフェルド暗殺から漏らした。リアリズムなら銃で頭を撃ち抜くがそんなことは絶対しない。ベッドに縛り付けたブロフェルドを泥の中に放り込むボンド。生死も確認しないなど「絶対ありえない」。本当は殺す気などないのだ。「いかに笑わせるかが勝負」の、巨額の製作費を掛けた「大スペクタクル・コント」がすでに始まってた。




■替え玉

「スペクター」の首領が命懸けてこだわったのが、自分の「替え玉」など「絶対ありえない」。ボンドが間違えて「替え玉」を殺すと得意になって大喜びした。ハミルトン監督によって「お笑いキャラ」へ「破壊」されたブロフェルド。他にも身を守る方法はあったはずだ。とうとう最期まで本当に世界征服したい人間には見えなかった。




■ブロフェルド女装

「スペクター」の首領が「女装」して逃げる。「絶対ありえない」。もはや大きい方が出るギリギリだった。スペクターの「首領」が本当にこれでいいのか!




■「パンツに挿したカセットテープ」

ジル・セント・ジョンが「パンツに挿したカセットテープ」で「人工衛星」を止める。ジル・セント・ジョンに止められる「絶対ありえない」設備は大問題だ。




■本気で殺す気がないボンド

最終対決でクレーンにぶら下げたブロフェルドを建物に何回もぶつけて楽しむボンド。もはやお笑いバラエティ番組級のコント。ボンドに本気で殺す気はない。基地が大爆発するとブロフェルドを放って全員が海に飛び込む。ブロフェルドの生死が最後までわからないなど「絶対ありえない」。きっと皆ただ楽しく遊んでるだけだった。ブロフェルドは12作目『007 ユア・アイズ・オンリー』で復活する。

[ジル・セント・ジョン=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





とにかくジル・セント・ジョンは凄かった。本編が下らないだけにジル・セント・ジョンの肢体の壮絶さが際立つ。あまりに激しい露出。意味のない衣装。ジル・セント・ジョンも “ボンド・ガール” 史上で間違いなくプレイメイト級の “ダイナマイト・ボンバー・ギャル” だった。「パンツに挿したカセットテープ」は絶対忘れられない。




『007 ドクター・ノオ』
『007 ロシアより愛をこめて』
『007 ゴールドフィンガー』
『007 サンダーボール作戦』
『007は二度死ぬ』
『女王陛下の007』
『007 ダイヤモンドは永遠に』
『007 死ぬのは奴らだ』
『007 黄金銃を持つ男』
『007 私を愛したスパイ』
『007 ムーンレイカー』[前][後]
『007 ユア・アイズ・オンリー』
『007 オクトパシー』
『007 美しき獲物たち』
『007 リビング・デイライツ』[前][後]
『007 消されたライセンス』[前][後]
『007 ゴールデンアイ』
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
『007 慰めの報酬』[前][後]
『007 スカイフォール』[前][後]
『007 スペクター』

『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
『007』始末記②「作品」ベスト10
『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]

画像 2015年 8月