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■『007 死ぬのは奴らだ』
☆☆☆☆★[85]
1973年/イギリス映画/121分
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ロジャー・ムーア/ジェーン・シーモア
[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20150905/13/rocky-balboa-1976/4d/bf/j/o0400056013416284247.jpg?caw=800)
■やりすぎ限界女優賞:ジェーン・シーモア
■第3稿 2015年 9月5日 版
[シリーズ第8作目]
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1代目ショーン・コネリーから3代目ロジャー・ムーアへ。5代目ピアース・ブロスナンと6代目ダニエル・クレイグしか知らない現代の若者達に、僕は “本物のジェームズ・ボンド” を伝えねばならない。
「激バカ映画」から「大胆なバカ映画」へ。ジョージ・レーゼンビーの「1本だけで降板事件」で「シリアス映画」は死んだ。「正義」となったガイ・ハミルトン監督とルイス・ギルバート監督にロジャー・ムーアが加担し、「大スペクタクル・コント」=「微塵のリアリズムも存在しない世界観」へ「3乗」の破壊力で突き進む第8作目『007 死ぬのは奴らだ』。「ジェームズ・ボンド」=「モテモテのイケメン英国諜報員が悪を倒して美女とやりまくるバカ映画」という、世界で最も強い印象の『007』の「方向性」がここに完全完成する。ここから “本物のジェームズ・ボンド” の世界、「もう戻れない」 “スピードの向こう側” の “棲息速度域” 「『007』大スペクタクル・コント時代」がいよいよ幕を開ける。
[第1位「3代目:ロジャー・ムーア」]
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■3代目ジェームズ・ボンド:ロジャー・ムーア
「最強のジェームズ・ボンドは誰だ?」の問いに、「ロジャー・ムーアに決まってんだろ」と幼馴染のTは速答だった。「もう戻れない」領域まで到達した狂気の映画ヲタクは「ロジャー・ムーア」と答える者が多いはず。ロジャー・ムーアの偉大さは「全然強そうに見えない」ことだ。本当に弱々しい「伝説」の “段取りにしか見えない殺陣” の創始者。「『007』極限のくそリアリズム時代」の6代目ダニエル・クレイグと対極の領域に棲んでる。「ギャグ映画」から「極限のバカ映画」へシリーズを「完成」させたロジャー・ムーアの「罪」は重い。「『007』大スペクタクル・コント時代」の4作品と「『007』ハード・アクション時代」の『007 オクトパシー』を合わせ、ロジャー・ムーアも「前科5犯」の罪を犯した。“本物のジェームズ・ボンド” =「微塵のリアリズムも存在しない世界観」はロジャー・ムーアによって完成された。
またロジャー・ムーアは『007』全23作品で出演最高記録7本を保持してる。その全7作品が歴史に残る大ヒットを記録した現実は尊敬しなければならない。現在でも70年代、80年代の有線にはロジャー・ムーアの作品の主題歌が流れてるほど。ロジャー・ムーアはショーン・コネリーが完成させたジェームズ・ボンドのイメージを崩し、新しい「ボンド像」を生み出すことに成功した。2代目ジョージ・レーゼンビーにできなかったことを成し遂げ、シリーズを未来に繋げた功績は大きい。3代目ロジャー・ムーアこそが “本物のジェームズ・ボンド” なのかもしれない。
[ガイ・ハミルトン「前科3犯」]
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「会った直後に瞬間セックス」「水着のボンド・ガール」はもはや標準装備。「いかに笑わせるかが勝負」「ど派手なギャグの秘密兵器」という新たな「伝統」を不動のものにした「罪」。『007』を完全な「お笑い」に完成させたガイ・ハミルトン監督は、『007 死ぬのは奴らだ』で「前科3犯」となる。
[現代の視点でありえないもの]
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■品がない
インパクトさえあればいい訳ではない。映画全体が映ってるものに「品がない」。ガイ・ハミルトン監督は「激しさ」だけを追い求め突っ走り過ぎたのかもしれない。どんどん「もう戻れない」方向へ『007』が突き進む。
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■タロットカード
占いなど嘘だった。もうバカ過ぎて何も言えない。「騙したのね」とならないのが「絶対ありえない」。「お前らもういい加減にしろ」。
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■ワニ
リアリズムならワニは「絶対助からない」。凄まじい限界の「やっつけ仕事」に震撼する以外もはやなす術はない。
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■ “段取りにしか見えない殺陣”
「超てきとう」。本気でアクションに挑む気が全然見えない。「最強のジェームズ・ボンド」が誰かロジャー・ムーアが叩きつける。これが “本物” の「伝説」 “段取りにしか見えない殺陣” だ! おしっこを漏らして震撼する以外もはやなす術はない。
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■圧縮ガス弾
……「やりすぎ」だろう。これが “本物のジェームズ・ボンド” だ! 「微塵のリアリズムも存在しない」世界にもはや「血」など存在しない。「いかに笑わせるかが勝負」の “荒” 手のギャグにぶっ飛べ!
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■鉄の義手
銃を握り潰す鉄の義手が、ニッパ―でワイヤーを切られ、開かなくなり死ぬ。
[現代の視点でありえないキャラクター]
「『007』大スペクタクル・コント時代」の4作品『007 死ぬのは奴らだ』『007 黄金銃を持つ男』『007 私を愛したスパイ』『007 ムーンレイカー』には、「微塵のリアリズムも存在しない」暴走キャラクター達が登場する。彼らは物語に殆ど影響しないが異常なほど目立って暴れ、「大スペクタクル・コント」に花を添える。「お笑い」の絶対領域を叩きつけた「現代の視点でありえないキャラクター」達を語らない訳にいかないだろう。
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■ペッパー保安官[1回目]
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まずペッパー保安官に部下がいるなど「絶対ありえない」。絶対仕事ができる人間に見えない。ペッパー保安官は『007 黄金銃を持つ男』で再登場する。「もう戻れない」「お笑い」だった時代の『007』の真実を確かめてほしい。
[ジェーン・シーモア=ザ・ボンバー・ダイナマイト]
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書き切れないほどやりたい放題メチャメチャの映画だったが、ジェーン・シーモアだけは本当に美しかった。僕には千秋を長身にしたようなジェーン・シーモアはど真ん中だった。また僕が好きな『はいからさんが通る』の大和和紀の絵にそっくりで超かわいい。間違いなく “ボンド・ガール” 史上上位に君臨する “ダイナマイト・ボンバー・ギャル” だった。
■『007 ドクター・ノオ』
■『007 ロシアより愛をこめて』
■『007 ゴールドフィンガー』
■『007 サンダーボール作戦』
■『007は二度死ぬ』
■『女王陛下の007』
■『007 ダイヤモンドは永遠に』
■『007 死ぬのは奴らだ』
■『007 黄金銃を持つ男』
■『007 私を愛したスパイ』
■『007 ムーンレイカー』[前][後]
■『007 ユア・アイズ・オンリー』
■『007 オクトパシー』
■『007 美しき獲物たち』
■『007 リビング・デイライツ』[前][後]
■『007 消されたライセンス』[前][後]
■『007 ゴールデンアイ』
■『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
■『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
■『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
■『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
■『007 慰めの報酬』[前][後]
■『007 スカイフォール』[前][後]
■『007 スペクター』
■『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
■『007』始末記②「作品」ベスト10
■『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
■『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
■『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]
画像 2015年 9月