『007は二度死ぬ』 | やりすぎ限界映画入門

やりすぎ限界映画入門

ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『007は二度死ぬ』
やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]

1967年/イギリス映画/117分
監督:ルイス・ギルバート
出演:ショーン・コネリー/浜美枝/丹波哲郎/若林映子


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:浜美枝


やりすぎ限界男優賞:ショーン・コネリー


■第3稿 2015年 7月25日 版

[シリーズ第5作目]




いよいよこいつの登場だ……。「『007』ギャグかシリアスか模索時代」に止めを刺す “本物” ルイス・ギルバート監督。「極限のバカ映画」『007 ムーンレイカー』で『007』を「もう戻れない」 “スピードの向こう側” の “棲息速度域” に到達させた男。「前科一犯」となる最初の「犯罪」第5作目『007は二度死ぬ』。冷戦の宇宙開発競争を背景に米ソ開戦の危機をジェームズ・ボンドが救う。「世界情勢」は「描けばいい」訳ではない。日本の子供番組レベルの美術が、壮大なスケールで「極限のマイナス方向」に爆発する。

[外国から見た日本]



外国映画に登場する日本はかなり危険な解釈が多い。だが僕は「誤解」されることがあまり嫌ではない。誤解されても「日本を描きたい」と思ってくれた気持ちがうれしい。描きたくなるのは「魅力がある」証拠だ。「日本人」である僕は日本をイメージした『007は二度死ぬ』のオープニング・タイトルが好きだ。

[ヤバい]




だが実際は日本人の僕が見てかなり「ヤバい」。誤解された日本を見て「ヤバい」と実感するのは「外国人にどう思われてるか」ということ。僕は「誤解」を笑って見るのが好きだ。「見る価値もないナンセンス」と思うか「滅多に見れない貴重な極限の際物」と思うか意見は分かれる。僕は間違いなく後者の意見だ。「貴重な映像」をこの世に残した『007は二度死ぬ』は映画史に刻まれる偉業を成し遂げた。

1代目ショーン・コネリー全6作品のベスト1は間違いなく『007 ロシアより愛をこめて』。だが “裏” ベスト1は間違いなく『007は二度死ぬ』だ。

[ブロフェルド3部作]




「伝統」の宿敵「スペクター」の首領ブロフェルドが『007は二度死ぬ』で初めて「顔を見せる」。5作目『007は二度死ぬ』6作目『女王陛下の007』7作目『007 ダイヤモンドは永遠に』は、ブロフェルドが「顔を見せる」「ブロフェルド3部作」。新シリーズ前の20作品では12作目『007 ユア・アイズ・オンリー』が「スペクター」との最期の戦いだが、「顔を見せる」のは「ブロフェルド3部作」のみだ。


■ルイス・ギルバート監督


■ガイ・ハミルトン監督

「『007』ギャグかシリアスか模索時代」「『007』大スペクタクル・コント時代」のキャラクターに、もはやリアリズムなど存在しない。「シリアス映画」『女王陛下の007』で一度ブロフェルドは「真面目」になる。だが2代目ジョージ・レーゼンビーの降板で『007 ダイヤモンドは永遠に』では壮大な「大スペクタクル・コント」キャラに「豹変」。“本気” で「世界征服」を目指す人間には最期まで見えなかった。ブロフェルドを決定的な「お笑いキャラ」の「方向性」にしたのがルイス・ギルバート監督とガイ・ハミルトン監督だった。

[ルイス・ギルバート「前科1犯」]




「会った直後に瞬間セックス」を超える「大スペクタクル・コント」=「微塵のリアリズムも存在しない世界観」の創始者。次回作『女王陛下の007』の失敗で『007』はルイス・ギルバート監督とガイ・ハミルトン監督の「ギャグ映画」の「方向性」が「完全決定」となる。「確実」に「『007』大スペクタクル・コント時代」「極限のバカ映画」へ「コマを進めた」ギルバート監督の「罪」は重い。『007は二度死ぬ』でルイス・ギルバート監督は「前科1犯」となる。

[現代の視点でありえないもの]




■洗練されたお風呂

温泉のような大浴場で下着姿の女達がボンドの背中を流す。これらのシーンがシダリス監督の『ピカソ・トリガー』シリーズに強烈な影響を与えたのかもしれない。ルイス・ギルバートがイメージした「日本のお風呂」で完全に漏らした。




■神前式

スペクターの基地に潜入するため、「日本人になる」という理解できない理由で結婚するボンド。和服を着た日本の結婚式が行われる。ボンドの三三九度は限界だ。こんな貴重な映像は二度と見れない。おしっこ垂れ流し状態だ。




■漁師

結婚したボンドが漁師になる。麦わら帽子で手拭いを首に巻くボンド。歴史に残る衝撃映像だ。この説明しがたい「異様な違和感」を体感してほしい。漁師になったショーン・コネリーでおしっこは全部出尽くした。


■「くノ一ルック」の浜美枝&「現代版の忍者」の丹波哲郎




■忍者

『ラスト サムライ』『バットマン ビギンズ』『007 消されたライセンス』にも忍者が登場する。「忍者」が出てくる外国映画は後を絶たない。外国人にとって「日本の脅威ベスト10」に入るような恐れ方だ。だがなぜ信憑性に欠ける忍者がここまで脅威の存在に見えるかは理解できない。

「現代版の忍者」の訓練を受けたボンドが火口の秘密基地に潜入する。「全身タイツ」のような灰色の忍者スーツが凄まじい。ショーン・コネリーの「全身タイツ」で僕は大きい方が出るギリギリだった。こんなバカな恰好はショーン・コネリーの映画人生で「最初で最後の不祥事」だ。「貴重な映像」が消えずに残る映画の偉大さに震撼した。

[浜美枝=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





『007は二度死ぬ』の “ボンド・ガール” は若林映子ではなく浜美枝だった。日本にも “ボンド・ガール” がいた噂は聞いてた。だが「日本の花嫁」姿で登場した “ボンド・ガール” に僕は度肝を抜かれた。初めて見た時あまりの衝撃でビビってしまった。

だが浜美枝の本当の偉大さは最後の秘密基地での活躍。ミニスカートに見える衣装はよく見ると『あずみ』のようなくノ一ルックだ。くノ一ルックに生足全開スニーカーという衣装があまりに壮絶。一体ここに何しにきたかわからない。また基地が大爆発する時なぜか水着になってる姿がさらに凄まじい。……「あんたに殺されたくねえ」。観客はルイス・ギルバート監督の「演出」におしっこを漏らして震撼する以外もはやなす術はない。




『007 ドクター・ノオ』
『007 ロシアより愛をこめて』
『007 ゴールドフィンガー』
『007 サンダーボール作戦』
『007は二度死ぬ』
『女王陛下の007』
『007 ダイヤモンドは永遠に』
『007 死ぬのは奴らだ』
『007 黄金銃を持つ男』
『007 私を愛したスパイ』
『007 ムーンレイカー』[前][後]
『007 ユア・アイズ・オンリー』
『007 オクトパシー』
『007 美しき獲物たち』
『007 リビング・デイライツ』[前][後]
『007 消されたライセンス』[前][後]
『007 ゴールデンアイ』
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
『007 慰めの報酬』[前][後]
『007 スカイフォール』[前][後]
『007 スペクター』

『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
『007』始末記②「作品」ベスト10
『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]

画像 2015年 7月