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今日はですね…、、
しばらく前(だいぶ前…?)にお友達のAyakoさんから「かずのすけ、これどう思う??」と伺った話で、
「ひまし油でシミが取れる」
という都市伝説…?
のような話がYouTube中心に話題になっていたそうです。
実際にひまし油でシミを取ろうとしている人が結構沢山いらっしゃって驚きました…(^^;)
まぁよくよく調べてみますとひまし油だけでなく、
「ひまし油」と「重曹」を混ぜ合わせたものを使用する…ということのようです。
あとシミだけでなく「ニキビ痕」や「ホクロ」なども取れるという情報もありました。
それで、その当時は
「ひまし油なんてリップクリームとかにもよく入っているし美白効果やシミ取りの効果が実際にあったとしたらもっと有名でもおかしくない。重曹は医薬品とかにもなっているけどシミを取るような効能はないよなぁ…。」
と、正直この噂についてはかなり懐疑的でした。
ぶっちゃけ最初に聞いたときの感想は
「いや、そんなわけないだろ( ゚-゚)」
でした。笑
ただ、僕自身はこういう噂が立つには必ず何らかの理由があると考えておりまして、
どんなに怪しい話でもまずは肯定して、そうなる理由を考えてみることにしているのです。
しかし、、その後も色々調べてはみたもののこれといってシミを取るといえるメカニズムは分からずで、
結局月日ばかりが流れていました。
…それが、つい最近とあることを発端に、この
「ひまし油でシミがとれる」
という都市伝説が、実は本当にあり得る話なのではないか!?
と考えるに足る科学的な裏付けを発見したので
それを今日はお話したいと思います。
動画でも解説してみたので、是非こちらも暇つぶしにご覧になってみてください!(*^-^*)ゞ
(動画のほうがやや簡単な説明になっていると思います!)
▶「ひまし油」と「重曹」でシミが取れる!?科学的な理由を解説します【美容都市伝説の真相】
〈目次〉
0:37 「ヒマシ油」&「重曹」 成分の説明
2:27 ヒマシ油と重曹を混ぜると…?「カソーダ」とは
3:52 『ヒマシ油でシミが取れる』噂は本当か?
4:39 ヒマシ油でシミが取れるメカニズム
8:10 ヒマシ油でのシミ取りの注意点
◎「ひまし油」&「重曹」 成分の説明
というわけで、まずは使用するアイテムについて説明していきますね。
ご用意頂く(?)のは、メーカーとかはなんでもいいのですが、
「ひまし油」(化粧品成分名では「ヒマシ油」)というオイルですね。
こちらは「キャスターオイル」と書いてあるのですが、
こちらは化粧品グレードの純正ひまし油です。
ひまし油というのは「トウゴマ」という植物の種子から得られる【油脂】の一種ですね。
油脂については以下の記事や、
▶【肌荒れしない油】はあるの?オイル成分の肌荒れメカニズムと正しい使い方
↓こちらの動画でも解説しています。
油脂は植物や動物などが生体内で生成しているオイル成分で、
3つの脂肪酸とグリセリンが合体した「トリグリセリド」という形のオイルです。
炭化水素油やエステルなどと比較して、分解したり酸化する特性のある油分ですね。
化粧品にもリップクリームの主成分やスキンケアアイテムの成分として配合されることがありますし、
ひまし油自体は「PEG-60水添ヒマシ油」など、化粧品成分の原料として加工されることも多いです。
また医薬品などでも利用されているらしく、下剤として飲用で利用されるケースもあるようですね。
そして、「重曹」というのは、
「炭酸水素ナトリウム」という化学成分ほぼ100%の粉末です。
ナチュラルクリーニングなどでも人気のアイテムですよね。
▶重曹・セスキ炭酸ソーダ・炭酸ソーダで油汚れを洗ってみよう!その①<実験編>
水に溶かすと1%でpHが8.2程度の弱アルカリ性を示す成分で、
水溶液を加熱すると二酸化炭素を発生するなどの特性があります。
これを利用しているのが「ベーキングパウダー」で、ケーキとかを膨らませているあれです。
ちなみに同じ成分が「医薬品」としても登録されているんです。
↑ほら、「重曹」って書いてあります。
ちなみに効能は「胃酸過多」「胸焼け」など、
胃酸の主成分は塩酸なので、
こういった弱アルカリ性の成分を飲み込むことで酸性を中和してムカつきを抑える効果があります。
↓このような白い粉末の成分です。
まぁここまで説明してみたのですが、
これらの成分単品で見ても、シミを取るとか美白効果のような、そういった作用については
一切インターネット上では情報がヒットしません。
まぁ科学的にも性質的にそのような効果は見込めないと思います。
ある人曰くは
「重曹はアルカリ性だから皮膚刺激が強く、それで炎症を起こしてカサブタになって剥がれているだけ」
というふうに言っていたのですが、正直それは考えにくいです。
理由としては、
そもそも重曹って水に溶かしたとしてもpHは最大9弱程度で、
そんなに刺激がある成分とも言えません。
さらに油には溶けないので、アルカリ性を発揮することもありません。
多少の刺激がある可能性は否定できませんが、シミが取れるほど肌に影響する可能性は非常に低いです。
そしてひまし油はスキンケアで使われるようなオイルですから、これが原因とはまず考えにくいですよね。
というわけで、これらの成分単品ではシミを取るような効果は期待できないと言えそうです。
◎「ひまし油」と「重曹」を混ぜると…?【カソーダ】とは
実施にひまし油と重曹でどのようにシミを取るのか?というと、
この「ひまし油」と「重曹」を1:1くらいの比率で混ぜたものを、
シミとかニキビ痕に塗った状態で絆創膏などをして長時間置いておきます。
するとしばらくすると患部が腫れてきて、
数日後カサブタのようになってポロリととれる
という感じだそうです。
それで、ひまし油と重曹を混ぜたものには、正式な【名称】があるらしいです。
これを「カソーダ」と言うそうです。
日本ではナトリウムのことをソーダと言って、カソーダの「カ」は多分キャスターオイルの「Ca」かな?
そしてこの「カソーダ」、実は市販されているんですね。
↑カソーダクリームというのを購入してみました。
ちなみにカソーダは一回自分でも作ってみたのですが、
全然混ざらないわビーカーにベトベトのオイル?粉?がへばりついちゃうわで大変だったので
後片付けも含めて自作するのは意外とめんどくさいです;
しかもうまく出来たのかもよく分からなかったので、、
一応ちゃんとした既製品を買ってみました。
水が少量入っているんですね。
(多分これは結構重要なポイント)
これ、中身を開けてみるとこんな感じです。
下の方に粉が結構たまっていて、上にオイルが分離しています。笑
全然混ざってるように見えないけどなぁ…;
粉の周りにオイルがベタッとくっついてくるペースト状のクリーム(?)です。
ちなみにこれ、手に塗るとザ・オイルと言う感じで、
洗剤使わないと中々落ちません…。。
これを、シミとかにせっせと塗っている人がいるわけですね~。
チラ。
(…ですよね、、)
というわけで僕は使わないんですけど。笑
では、この「カソーダ」にはシミを取る効果があるのか?
という話なんですが…
最初、僕はこのカソーダというものは単に油脂に炭酸水素Na混ざっているだけですし、
別に大きな化学反応が起こっているようにも見えないわけですので
シミを取る効果なんかあるわけないよなぁ…、、
と思っていたのです。
しかし、実は先日「ピーリング剤」について調べ物をしていた時に
非常に面白い情報を見つけてしまったのです。
結論から言えば、
そう、この「カソーダ」という物質には
「シミを取る」と思わせる科学的裏付けが、あります。
それについて、説明していきますね。
◎ヒマシ油でシミが取れるメカニズム
まず最初に、今回のメカニズムを説明する「鍵」は
【ひまし油】にあります。
ひまし油は先程も言ったように「油脂」の一種なのですが、
油脂というのは3つの「脂肪酸」と、「グリセリン」が合体して出来上がっているオイルです。
そしてこの「脂肪酸」の種類は、様々な油脂それぞれ異なっています。
オリーブオイルであれば「オレイン酸」が多くて、ごま油であれば「リノール酸」が多くて…
というふうに、
それぞれの油脂で沢山持っている脂肪酸の種類が異なります。
その中でもひまし油は、非常に特殊な脂肪酸を持っている油脂でして
伊藤製油株式会社さんのホームページを参照しますと、
このように「リシノレイン酸(別名:リシノール酸)」という成分がその90%近くを占めています。
(※リシノレイン酸はリシノール酸の古い呼び方です。)
このリシノール酸という脂肪酸自体が非常に珍しいですし、9割が同じ脂肪酸で構成されているというのもまた非常に珍しいです。
このリシノール酸(リシノレイン酸)を少し調べると…
「ヒドロキシ酸」というものの一種であることが分かります。
この「ヒドロキシ酸」、なにか覚えていますか…?
そう、以前の「血みどろピーリング」の記事・動画等で説明した
▶The Ordinary「血みどろピーリング」AHA30%+BHA2%の効果を検証した結果…?
「グリコール酸」(αヒドロキシ酸)や、「サリチル酸」(βヒドロキシ酸)などが
この「ヒドロキシ酸」の仲間なのです。
上の方にグリコール酸や乳酸、リンゴ酸や酒石酸などの他のヒドロキシ酸も書かれていますね。
しかしこの「リシノール酸」、ひまし油の構成脂肪酸のその殆どを占める成分とは言いましても
以前も説明したように、
脂肪酸はあくまでグリセリンと結合した状態で存在しているので、
通常の油脂の状態ではこの脂肪酸は0.1%~0.01%程度しか存在していません。
▶オレイン酸などの「不飽和脂肪酸」を含む油脂は毛穴に悪い?【油脂をスキンケアに使用するコツ】
ですから、
ひまし油そのものを塗布しても当然このヒドロキシ酸の効果を得ることは出来ません。
しかし、ここでさらなるキーとなるのが、そう…「重曹」です。
重曹などの弱アルカリ性の成分を「油脂」に作用させると、
『加水分解反応』という化学反応が起こり、
なんとこの油脂の結合が外れて、脂肪酸が生成されるのです。
つまり、ひまし油に重曹を混ぜることで、
ヒドロキシ酸である『リシノール酸』を発生させていたのです。
…というわけでもうお分かりかと思いますが、
この『カソーダ』というアイテム、
これ、実は【ピーリング剤】だったのです。
ヒドロキシ酸はその構造特性でタンパク質変性を起こす作用があるため、
作用の強弱はあれどヒドロキシ酸であれば大なり小なりピーリング効果が期待できます。
これで、
シミやニキビ痕の部位にひまし油と重曹を混ぜたもの(カソーダ)を塗っておくと、
加水分解反応によって生まれた「リシノール」酸のピーリング効果で徐々に皮膚の表面が剥がれていき、
薄いシミやニキビ痕程度であればポロポロ剥がれていく…!
という理屈が通りますね!
もちろんあくまで「予想」ですが、
本当にシミが取れるとしたら、このように考える他無いのではないでしょうか(^^;)
◎ひまし油ピーリングの注意点
ただ、ヒドロキシ酸である以上本来は酸性が強い方が強力なピーリング効果を発揮するはずですので、
弱アルカリ性の炭酸水素ナトリウムで中和してしまっている以上、それほど強力なピーリング効果を得るのは難しいです。
噂によると塗った部位に絆創膏とかを貼ってずっと置いておくそうなので、
弱い効果を最大限活かそうとはしているみたいですが…。。
それでもあくまで効果は皮膚の表面の浅い部位までしか至らないと思います。
もしこれでシミが剥がれたとしても、ごく軽度のものに留まるでしょう。
「小さいニキビ痕」や、「炎症後色素沈着」であれば効果を発揮できるかもしれません。
ただし、
濃いホクロや、日光の影響で生じる「老人性色素斑」などの深い部位のシミには効果は薄いですし、
刺激で悪化する懸念のある「肝斑」には基本的に使用は控えるべきです。
まぁそもそもカソーダクリーム、「顔に使うのはダメ」って書いてあるので
何においても推奨はしないんですけどね…(^^;)
そもそも、「シミ」っていうのは日光によってのみできるわけではなく、
「刺激の蓄積」によってもシミが出来てしまうことがあります。
炎症後色素沈着なんてまさにそれですが、
このようにピーリング剤の刺激でも、
それが継続して蓄積していけばメラニンの生成が活発化して
シミを取ろうとして、かえって新たなシミを作ることにもなりかねません。
特に刺激を感じやすく、カソーダでもすぐに赤くなってしまう人は注意して欲しいと思います。
化粧品というわけでもないですし、おばあちゃんの知恵(?)的なもので
安全性とかは全く考慮されていないということにも是非留意してください。
僕としては、効くかどうか分からないむやみなチャレンジをするくらいなら
(今の時期はあまりお勧めはしませんが)
美容皮膚科でレーザー治療を受けた方が断然効果的ですし、速いと思います(^_^;)
というわけで本日は以上!
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