2020年春のブログです
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相田信男さんの『実践・精神分析的精神療法-個人療法そして集団療法』(2006・金剛出版)を読みました。
相田さんは精神科医で群馬県にある精神科病院の院長先生、そして慶応大学医学部の講師、さらに精神分析協会正会員というかた。
じーじはお名前を知っている程度でしたが(相田さん、ごめんなさい)、去年秋の札幌での精神分析学会の分科会でみっちりとお話をお聞きして、すごいちからのあるかただなと驚きました。
若手治療者のケース検討会の助言者をされたのですが、お話が的確で正確、かつわかりやすい語りで、本当に勉強になりました。
そして、その相田さんの本を読んでみたくなり、今回、本書を読みました。
この本もすごい本で、相田さんは正直に飾りなく、さまざまな事柄を率直に語っていらっしゃいます。
例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。
まずは、精神科病院での集団療法の実践。
一見、スタッフと患者さんの普通の話し合いのように見えるのですが、そこで集団療法的な味付けをするのは、その困難さがわたしのような未熟者にも多少ともわかるので、すばらしいなあ、と感嘆させられます。
できるところから、できることから、集団療法をやっていくという姿勢がすごいです。
二つめは、夫婦療法の時に、ビデオの電池が切れた際のエピソード。
それまですごい夫婦喧嘩を展開していたご夫婦が、電池交換の時だけ喧嘩が止まり、ビデオが再びまわり始めると、また激しい夫婦喧嘩が再開した事例をひいて、ビデオと治療者の似た関係を考察されます。少し遊びごころもあって、興味深いです。
さらに、小此木啓吾さんとの対談は、精神分析や集団療法について、わかりやすく語られていて、勉強になります。
いい指導者といい本に出合えて、幸せだなと思いました。 (2020.4 記)